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2016/06/30
「ふるさと納税」で地震の被災地を支援しよう

ふるさと納税で被災地を支援

平成23年3月11日に発生した東日本大震災では、全国から日本赤十字社や中央共同募金会に多額の義援金が寄せられました。しかし、それらが被災地(者)に届くまでには長い月数がかかり、多くの批判の声が上がりました。それから5年、平成28年4月14日夜の前震、16日未明の本震で大きな被害が発生した熊本地震では、被災地にできるだけ早く支援金を届ける方法が準備されました。その一つに「ふるさと納税」制度を利用した支援があります。実施しているのはふるさと納税総合サイトの「ふるさとチョイス」や「さとふる」で、「ふるさとチョイス」は約13億円(6月22日時点)、「さとふる」は約1.9億円(6月22日現在)を仲介しました。

災害支援にも利用できる「ふるさと納税」制度とはいったいどのような制度なのでしょうか。

納めた税金の一部を「ふるさと」に寄付

「ふるさと納税」とは、自分が納める所得税と住民税(=納税)の一部を、出身地や支援したいと思う都道府県・市区町村(=ふるさと)に寄付する制度です。納税者は、納めた所得税や住民税の使途について国や自治体に要望することはできませんが、「ふるさと納税」では税金の一部とはいえ複数の自治体にその使途を指定して寄付をすることができるのです。自分の意思を反映する納税制度と言えます。

では、ふるさと納税のお金の流れを見ていきましょう。

寄付額には上限がある

ふるさと納税額から2,000円を引いた額」が、所得税と住民税から控除されます。例えば、ふるさと納税2万円の場合、自己負担分が2000円で立替金が1万8,000円になります。この立替金は、「所得税+住民税」からの控除(=減額)で精算されます。1万8,000円が現金で戻ってくるわけではありません。

寄付できる額は所得に応じて上限があります。また、控除を受けるためには寄付をした翌年に確定申告を行う必要があります。ただし、一定の要件を満たす人はワンストップ特例制度の適用で確定申告は不要です。

*ワンストップ特例制度を利用できるのは、給与所得者のように確定申告をする必要がなく、かつ1年間の寄付先自治体が5団体以内の人です。

(1)「(ふるさと納税額-2,000円)×(所得税率+復興特別所得税率)」がふるさと納税した年の所得税と復興支援税から控除(=軽減)される。
(2)ふるさと納税した翌年度の住民税から税額控除(=軽減)される。控除は「基本分+特例分」からなる。

寄付金額の目安は、以下になります。

夫婦と子(16歳以上19歳未満)の場合

夫婦のみの場合(配偶者控除がある方)

単身、共働きの場合

年金受給者夫婦(70歳以上)の場合

※年収、寄附金額、家族構成、その他の控除額等によって、自己負担額や税の軽減額は変動します。
※平成27年4月現在の制度に基づいて試算していますので、今後の制度改正等で変更することがあります。
※社会保険料負担を考慮した場合の寄付金額の目安となります。
引用元:ふるさと納税サイト [ふるさとチョイス] | 私はふるさと納税をいくらできる?
※目安表はあくまでも参考値としてご利用ください。

では、所得税と住民税の控除額の算出式を見ていきましょう。

所得税は所得控除

ふるさと納税を行った年の所得税から所得控除されます。控除額は「(ふるさと納税額-2,000円)×所得税の税率×1.021」です。なお、控除できるふるさと納税の上限額は、総所得金額等の40%です。

*「所得税の税率×1.021」は、「所得税率+復興特別所得税率(=所得税率×2.1%)」です。

住民税は税額控除

控除は、基本控除と特例控除の2つから成り、ふるさと納税を行った翌年度の住民税から税額控除されます。
(1)基本控除額=(寄付金-2,000円)×10% 
*控除できるふるさと納税の上限額は、総所得金額等の30%です。

(2)特例控除額=(寄付金-2,000円)×(90%-所得税率×1.021) 
 *控除できるふるさと納税の上限額は、住民税所得割額の20%です。 

次に寄付金控除の手続きの流れを見ていきましょう。

受領書を付けて確定申告するだけ

ふるさと納税で寄附金控除を受けるためには、原則寄附をした翌年の3月15日までに住所地等を所轄する税務署で確定申告を行う必要があります。その際には、寄附をした自治体が発行した受領書等の添付が必要です。

確定申告を行うと、税務署では所得控除額を計算しその年の所得税から控除します。また、住所地の地方自治体にふるさと納税の情報を伝えます。地方自治体はその情報を基に住民税からの税額控除額を算出し、ふるさと納税した年の翌年度の住民税から控除
します。

*総務省「ふるさと納税ポータルサイト」を参考に作成

ふるさと納税は意外に簡単にできることがおわかりになったと思います。簡単だからこそそのメリットとデメリットを理解しておく必要があります。

メリットは豪華なお礼

ふるさと納税は、寄付できる金額の上限がわかりづらかったり、確定申告が必要だったりと少し面倒です。しかし、それを超えるメリットがあると考える人が多く、平成26年中の実行者は約43.6万人に上ります。代表的なメリットは次の4つです。

1. 納税先から特産品等の返礼品がもらえる。
2. 確定申告を行うと所得税の還付や住民税の減額を受けることができる。
3.複数の自治体を選ぶことができる。
4.使い道を指定できる。

1.の返礼品の中には、寄付金額の50%を超える豪華なもの、商品券・パソコン・電子レンジのような現金化しやすいものなどがあります。このため、支援したい地方というより、返礼品のお得度等で寄付先を決める人も少なくありません。返礼品競争にしのぎを削る地方自治体もあり、2016年4月に「現金化しやすいものや豪華すぎる返礼品は送らないように」と自治体に総務大臣名の通知がありました。しかし従わない自治体が多いことから、総務省は実態調査に乗り出し、結果に問題がある場合は個別指導も検討しているようです。

目に見えないデメリット

2,000円の自己負担で、米・肉・魚・果物・海産物・麺類・野菜、お菓子などがお礼として送られてくるふるさと納税は、個人にとっては魅力的です。上限まで寄付したい、と考える方も多いと思います。しかしそれが住んでいる自治体の財政にダメージを与えている、というところまでイメージできる人はそれほど多くはいません。

ふるさと納税をする金額が多くなれば自治体では住民税控除額が増え、その分行政サービスに使う財源が減ります。個人の懐が潤うかわりに、自治体の施設利用料が上がったり、介護サービスが見直されたりといった行政サービスの劣化を引き起こします。東京都の平成26年中のふるさと納税による減収は約48.6億円にのぼり、ふるさと納税をする人(金額)が多い地方自治体は、税収の減少に悲鳴を上げています。

Win-Win(ウインウイン)の関係に育てよう

地方創生を目的に作られた「ふるさと納税」制度は、現時点ではその趣旨から逸脱する利用者を多く生んでいます。一方で返礼品とは一線を画し、被災地にすぐに届く「支援金」として利用するという新しい使い方も広がっています。「ふるさと納税」制度は個人の意思を尊重し税金の使い道を指定することができる唯一の方法です。利用者と自治体がWin-Win(ウインウイン)の関係になるような制度に成長することが望まれます。

執筆者:大沼恵美子

専業主婦の身から外貨預金に興味を持ったことを機会にファイナンシャル・プランナーの勉強を始め、2000年にCFP (FPの上級資格)の試験に合格。2002年に独立開業し、個人向けにリタイアメントプラン、年金、貯蓄、賃貸経営などの相談業務を行う。また各種セミナーの講師も担当。1級ファイナンシャルプランニング技能士、福祉住環境コーディネーター2級、年金アドバイザーなどの資格を持つ。
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