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キャップレートの動向 ~最新の不動産投資家調査(2023年10月)より~
米欧の長期金利が高い水準を維持する中、国内では慎重な金融政策を背景にキャップレート(期待利回り)は横ばいもしくは低下傾向を維持した。
11月27日、日本不動産研究所が「第49回 不動産投資家調査」(2023年10月現在)の結果を発表した。キャップレートは、ファミリータイプの住宅、都心型高級専門店、物流施設の多くの地区で前回比低下したほか、ホテルにおいてはすべての地区でキャップレートが低下した。
Ⅰ.オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは主な政令指定都市を中心に低下
オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは、東京都心3区内の地区を中心に横ばいとなった。日銀の慎重な政策運営が取引の減少を抑制するなど、キャプレートに影響を与えたとみられる。また東京都のその他の地区と主な政令指定都市を中心にキャップレートが低下した。賃貸市場の堅調さがキャップレートに反映されたと考えられる。
Ⅱ.賃貸住宅のキャップレートはファミリータイプの多くの地区で低下
東京城南・ファミリータイプのキャップレートは、調査開始以来最低となった前回をさらに下回り、3.8%となった。またファミリータイプの多くの地区でキャップレートが低下した。ファミリータイプの好調な賃貸市況が要因で、今後、ワンルームタイプとのスプレッドが注目される。
Ⅲ.商業店舗のキャップレートは地方都市の都心型高級専門店で低下
商業店舗のキャップレートは、地方都市の都心型高級専門店で低下した。訪日外客数・個人消費の回復をうけた出店ニーズの増加等が、キャップレートに示される結果となった。
Ⅳ.物流施設のキャップレートは東京で過去最低を更新
物流施設のキャップレート(マルチテナント型・湾岸部)は、東京で前回比0.1ポイント低下し、調査開始以来の最低水準を更新した。大阪・福岡も前回比0.1ポイント低下した。
Ⅴ.ホテルのキャップレートはすべての地区で低下
ホテルのキャップレートは、観光需要の回復からすべての地区で低下、京都・那覇で前回比0.2ポイント低下した。
※キャップレート(期待利回り)… 投資物件の収益性を評価する際の指標の一つ。通常、対象不動産が生み出す純収益(家賃収入から管理費や固定資産税などの諸経費を差し引いた純粋な収益、NOI)をキャップレートで割ると投資価値となる。
提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部
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