マーケット
オフィスマーケットレポート(2025年5月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
活発なオフィス需要を背景に募集床の減少傾向が継続しており、周辺エリアへ需要が滲み出す動きも一部で見られる。今年の供給はピークを過ぎていることから、需給バランスは引き締まり傾向が続くと予想される。募集賃料の上昇ペースが更に加速していくか、今後の動向に注目したい。
(基準日:2025年4月30日)
※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率
2025年1-3月期。4四半期ぶりのマイナス成長を予想
ニッセイ基礎研究所によれば、5月16日に内閣府が公表する実質GDP成長率(2025年1-3月期)は年率マイナス0.9%と、4四半期ぶりのマイナス成長が予想される。4-6月期は、米国の関税引き上げに伴い輸出および国内生産が大きく下押しされ、2四半期連続のマイナス成長になると予測している。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から上昇(=悪化)。横ばい圏内の動きに止まる
3月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から上昇(=悪化)の2.5%となった。有効求人倍率(厚生労働省)、その先行指標である新規求人倍率はともに前月から上昇(=改善)している。失業率は悪化、有効求人倍率は改善となったが、両者とも横ばい圏内の動きに止まっている。(図表1)

Ⅲ.空室率
前月から大幅な低下。2021年5月以来の2%台
空室率は前月比マイナス0.84ポイントの2.71%となった。前月から大幅に低下し、2021年5月以来の2%台となっている。港区の新築・築浅ビルを中心にまとまった面積の空室が消化され、主な低下要因となっている。潜在空室率は前月比マイナス0.61ポイントの4.70%と大幅に低下し、2020年10月以来の4%台となった。

Ⅳ.募集賃料
上昇傾向が続く。2020年11月以来の30,000円/坪台
募集賃料は前月から上昇し、2020年11月以来の30,000円/坪台を回復した。17ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、上昇傾向が継続している。湾岸エリアでは依然としてテナント誘致に時間を要しているものの、都心部では品薄感が漂うエリアが多く、募集面積は2020年8月以来の30万坪台が目前に迫っている。

Ⅴ.募集賃料
対前年同月比。15ヵ月連続プラスで上昇ペースは加速
募集賃料の対前年同月比は、2024年2月から15ヵ月連続でプラスとなり、上昇傾向が継続している。プラス幅は直近3ヵ月では5~6%台に達し、上昇ペースが加速している。募集賃料はマーケットの動きに遅行する傾向にあるが、対前年同月比で見るトレンドは比較的安定しており、今後も上昇傾向が続くと考えられる。

Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)




※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
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