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キャップレートの動向 ~最新の不動産投資家調査(2024年10月)より~
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11月27日、日本不動産研究所が「第51回 不動産投資家調査」(2024年10月現在)の結果を発表しました。キャップレートは、オフィス、賃貸住宅、物流施設で横ばい傾向が強まりましたが、東京・大阪の商業店舗が低下したほか、全国のホテルで継続的な低下傾向がみられました。
Ⅰ.オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは全国的に横ばい
オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは、全国的に横ばいとなりました。丸の内・大手町は4回連続の横ばいです。日本銀行の利上げ方針が明確な中、金利の先高観がキャプレートに影響を与えたと考えられますが、安定した水準を維持しているとも言えます。デフレ脱却への期待が高まる状況のもと、オフィスの賃料は上昇傾向にあり、今後の投資について積極的な姿勢を示す投資家が増えています1。
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1同調査の設問「今後1年間の不動産投資に対する考え方(複数回答あり)」では、『新規投資を積極的に行う』との回答数が増えています。また、その場合の不動産の種類の選択(複数回答あり)では、『オフィスビル(Aクラス)』・『オフィスビル(Aクラスビル以外)』の回答数が増えています。
Ⅱ.賃貸住宅のキャップレートは横ばい傾向が強まる
ワンルームタイプは、横浜・京都など大都市周辺のキャップレートに低下がみられたものの、東京・大阪のキャップレートは横ばいでした。また、ファミリータイプは名古屋のみが低下し、他の地区は横ばいでした。賃貸住宅については、需給のひっ迫と賃料上昇への期待などにより、キャップレートの低下が続いてきましたが、直近、横ばい傾向が強まりつつあると考えられます。
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Ⅲ.商業店舗のキャップレートは東京銀座・大阪で低下
都心型高級専門店のキャップレートは、インバウンドによる売り上げの拡大を背景に、東京銀座・大阪で低下しました。また、前回、ほとんどの地区で低下した郊外型ショッピングセンターは一転して、多くの地区で横ばいとなりました。個人消費の減退リスクはあるものの、相対的なキャップレート水準は高いことから調整局面にある可能性があります。
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Ⅳ.物流施設のキャップレートは内陸部の東京(多摩地区)で過去最低を更新
物流施設のキャップレート(マルチテナント型・内陸部)は、東京(多摩地区)で前回比0.1ポイント低下し、調査開始以来の最低水準を更新しました。内陸部のその他の地区は横ばいでした。
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Ⅴ.ホテルのキャップレートは多くの地区で低下
ホテルのキャップレートは、観光需要の回復から多くの地区で前回比0.1ポイント低下しました。
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※キャップレート(期待利回り)・・・投資物件の収益性を評価する際の指標の一つ。通常、対象不動産が生み出す純収益(家賃収入から管理費や固定資産税などの諸経費を差し引いた純粋な収益、NOI)をキャップレートで割ると投資価値となる。
提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部
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