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特定複合観光施設(IR)の状況について(第3回)
IRのメリット・デメリットについて
「特定複合観光施設(IR)の状況について」の第三弾として、本レポートでは多岐に渡るIRのメリット・デメリットについて、運営から直接的に発生するものと副次的に発生するものに分けて検討します。
【サマリー】
●IRのメリットはこれまで開催できなかった規模の国際会議を誘致できること、経済効果が大きいこと、観光プロモーションに一役買うこと、国際的地位が向上することが挙げられます。
●デメリットは、ギャンブル依存症、マネーロンダリング等危険に関わることがあることその対策に手間と費用が必要であることが挙げられます。国外への資金流出は貿易のルールに則って行われており、日本にもメリットがあります。
Ⅲ-Ⅰ.IRのメリット
これまで述べた通り、IRのメリットは経済効果が大きいことです。東京を除く、どの自治体も財政的には非常に厳しい状況で、IRが想定通りの経済効果を発揮するのであれば、財政の課題が大きく軽減することとなります。
そのように大きなメリットがある上に、我が国の観光プロモーションに一役買うことや運営上のリスク・負担が公共団体ではなく、民間になることも大きなメリットとなると考えます。
そして大規模国際イベントや来日者の増加を通して、国際的な地位が向上し、ノウハウの増加や人材の育成が進んでいくことも期待されます。その結果、国内いずれかの都市が強い競争力を持ち続ける国際金融都市に選ばれ続けることが望まれます。
Ⅲ-Ⅱ.デメリット
デメリットはまずギャンブル依存症の増加やマネーロンダリング等危険の増大、治安の悪化の可能性があげられます。大都市では人も多く弊害が大きくなること、地方都市では人材不足による対応への不安により、反対意見も大きくなると思います。
次に運営会社が外資系の場合、賭け金の一部が国外に資金流出することやギャンブル依存症等への対策費用という資金に関する事項があげられます。
たしかに日本のお金(しかも中心は賭け金)が海外に流出するのは望ましくはありません。また「カジノ」は「日本には運営会社が乏しい」ため、IRを設置すれば必ず「外資に食い荒らされる」という内容で否定的な論調も目立ちます。
一方で大型のIRに外資の門戸をあけるのは、世界貿易機関(WTO)が設定する貿易ルールです。このルールでは我が国も多くの利益を享受しています。
「食い荒らされる」ことについては、賭け金全体から見れば、納付金・運営費用・税金を通じて国内に還流するお金の比率は高くなっています。お金の流れだけを考えるのであれば、趣味性の高い高価な外国製品を購入することと類似の取引ではないかと考えることもできます。
Ⅲ-Ⅲ.メリット・デメリットのまとめ
メリットは今後の波及効果を含め主に経済的な事項となります。デメリットは資金面もさることながら、単純にお金では解決できない身体の危険に関するものが、より大きく挙げられています。
その中には資金や準備を入念に行うことやメリットを減少させることにより軽減できるものもあると考えます。デメリットに挙げられた事項の解決は、官民ともに真摯にそれに向き合い全力で解決に向かい力を注ぐことが、ともすれば反対意見が少なくないIRの継続的理解につながるものと考えます。
提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部
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