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住宅ローンコラム FP菱田雅生が伝授!住宅ローン、賢く利用するためのコツ

マイホームを買うタイミングはいつがいいの?

2020年11月25日

20年や30年といった長期の返済期間で住宅ローンを組んでマイホームを買う場合、最も重要なのは、将来の教育資金や老後資金などの準備も考慮に入れた安全な(=ゆとりのある)資金計画を立てることだと思います。

将来のライフプラン上の出費を冷静に見積もり、それらの準備も考慮したゆとりのある資金計画を立てることが可能な場合は、いますぐマイホームを購入しても大丈夫でしょう。逆に、ゆとりのある資金計画を立てることが困難な場合は、マイホームを購入するのは少し待ったほうが無難でしょう。

安易な資金計画で購入してしまうと、途中で返済が苦しくなったり、教育資金や老後資金などが準備できなくなったりする可能性が高まります。せっかくの「夢のマイホーム」が、いつの間にか「悪夢のマイホーム」に変容してしまうこともあるのです。

住宅ローン金利の水準や住宅ローン減税、不動産価格の動向などといった外部環境も気になると思います。例えば、最近(2020年11月時点)の住宅ローン金利は過去最低水準にあるといっても過言ではありません。変動金利型で0.5%を切る水準や、固定金利型で1%前後という水準は、過去にはなかった水準です。

もちろん、今後さらに下がる可能性もゼロではありませんが、下がる余地が小さくなっていることは間違いないと思います。住宅ローン減税についても、原則10年の期間が特例で13年に拡充されています。さらに近年、不動産価格が都心部を中心に上昇傾向にあると言われる状況を考えると、外部環境としては、好環境になってきていると思われます。

したがって、将来のライフプランを考慮した「ゆとりのある資金計画を立てられる人」にとっては、たまたま運よく好環境が整ったタイミングがやってきていると考えてもよいと思います。今後さらに不動産価格が上昇したり、住宅ローン金利が上昇に転じたりすると、現在のような好環境ではなくなっていくと思われるからです。

一方、「ゆとりのある資金計画を立てるのが困難な人」や、「今後のライフプランの不確定要素(結婚、出産、転職、転勤、離婚など)があると思われる人」は、いくら外部環境がよくても、急いでマイホームを買おうとするのはリスクが高いと思います。

ゆとりのある資金計画を立てられるようになるまで待つことや、ライフプランの不確定要素が少なくなるまで時間を置くほうが安全でしょう。

それでも、どうしてもこのタイミングを逃したくない、マイホームを早く買いたいという人は、不動産投資的なスタンスで物件を探してみるのもいいでしょう。不動産投資的なスタンスというのは、「自分が住むための物件」というよりも、「不動産投資をするための物件」を見極めるスタンスです。要は、いつでも売却できる物件や、いつでも賃貸へ出すことのできる物件を探すということです。

いつでも売却できる、または、いつでも賃貸へ出せるような立地条件のいい物件、つまり、誰もが欲しい、誰もが住みたいと思えるような物件であれば、購入後の物件価格の下落幅を多少なりとも小さく抑えることができるかもしれません。

そういう物件であれば、もし住宅ローンの返済が途中で苦しくなってきてしまったとしても、売却することで住宅ローンを完済し、仕切り直すことができるかもしれません。また、ライフプラン上の大きな変化があって、住み続けることが困難になってしまったとしても、賃貸に出すことで家賃収入を得て、それを住宅ローンの返済に充てることも可能かもしれません。そうするためにも、とにかく価値の下がりにくい物件を探すことが重要になります。

一般的な世帯の場合、ライフプラン上のタイミング(子どもの小学校入学など)でマイホームの購入時期を考えるケースも多いように感じますが、この場合も優先順位は、ゆとりのある資金計画を立てられるかどうかが最も重要になります。

仮に子どもの小学校入学時に住まいを購入するというタイミングが譲れない場合は、ゆとりのある資金計画にするためにも、手元の資金を多めに用意しておく、資金を多めに用意できない場合は希望する物件価格を下げるなどの対策を実行することで、資金計画にゆとりを持たせるようにしましょう。

なお、子どもの進学のタイミングとしては、保育園・幼稚園入園時、小学校入学時、中学入学時などがありますが、どのタイミングがベストかは一概には言えないため、それぞれのメリット・デメリットを考えて、比較してみるとよいかと思います。

例えば、保育園・幼稚園入園時にすると、子どもは幼馴染の友達ができる、親も同じ地域で長く暮らしていくことで第二の故郷になる、などのメリットがありますが、近所付き合いがうまくいかなくなると気まずくなったり、引っ越しを考える必要が出てきたりといったデメリットもあります。

また、子どもが少し大きくなったタイミング(中学入学など)で購入したとしても、その後10年程度で子どもが巣立っていったときに、住まいが広く持て余すようになり、住みかえを検討することも必要になるかもしれません。

資金計画だけではなく、このような面からもどのタイミングがいいのかは一概に言えないということを理解したうえで、家族と相談し、自分たちにとってベターなタイミングはいつなのかを見出していくことが重要でしょう。

一般的に、マイホームは一生のうちで最も大きな買い物と言われます。しかし、購入のベストタイミングは人それぞれです。慎重に検討を重ねたうえでの結論ならよいのですが、そうではない場合は要注意です。自分で資金計画をきちんと立て、その計画で大丈夫かどうかが心配でしたら、シミュレーション経験豊富なFPに相談するのもひとつの方法です。くれぐれも、ゆとりのある資金計画を目指すようにしましょう。

執筆者:菱田雅生(ひしだまさお)

ファイナンシャル・プランナー(CFP、1級FP技能士)、1級DCプランナー、住宅ローンアドバイザー

1969年東京生まれ。早稲田大学法学部卒業後、山一證券に入社し支店営業を経験。山一證券自主廃業後、独立系FPに。以後20年以上にわたり、資産運用や住宅ローンを中心とした相談、執筆、講師業に従事。2000年以降の講演回数は4,000回を突破!(2020年2月現在)。近著には「お金を貯めていくときに大切なことがズバリわかる本」(すばる舎リンケージ)がある。

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