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キャップレートの動向 ~最新の不動産投資家調査(2024年4月)より~
5月29日、日本不動産研究所が「第50回 不動産投資家調査」(2024年4月現在)の結果を発表しました。キャップレートは、西日本の賃貸住宅、郊外型ショッピングセンターで低下した一方、オフィスのキャップレートは東京・大阪で横ばい傾向が強まりました。
Ⅰ.オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは東京・大阪で横ばい
オフィス(Aクラスビル)のキャップレートは、水準の高い一部の都市で前回比0.1ポイント低下した一方、下記の東京・大阪で横ばいとなりました。丸の内・大手町は3回連続の横ばいです。長期金利が一時、10数年ぶりの高水準となるなど金利の先高観がキャプレートに影響を与えたと考えられ、現状では、オフィスへの投資がやや弱まっているとみられます。一方で、直近の賃貸オフィス市況の改善傾向を受け、今後の投資意欲について前向きな姿勢も見受けられます。
Ⅱ.賃貸住宅のキャップレートは西日本の全都市で低下
東京城東・ワンルームタイプのキャップレートは横ばいから低下に転じ、調査開始以来最低の3.9%となりました。また大阪・神戸では、ワンルーム・ファミリーともに前回比0.1ポイント低下しました。需給のひっ迫と賃料上昇への期待などが要因で、京都・広島・福岡のキャップレートにも影響を及ぼしているとみられます。
Ⅲ.商業店舗のキャップレートは郊外型ショッピングセンターで低下
都心型高級専門店のキャップレートは、多くの都市で横ばいとなりました。一方、郊外型ショッピングセンターは、下記全都市で低下しました。特に札幌では0.3ポイント低下しています。相対的なキャップレート水準の高さが影響したと考えられます。
Ⅳ.物流施設のキャップレートは千葉・名古屋・福岡で過去最低を更新
物流施設のキャップレート(マルチテナント型・内陸部)は、千葉・名古屋・福岡で前回比0.1ポイント低下し、調査開始以来の最低水準を更新しました。東京と大阪は横ばいでした。
Ⅴ.ホテルのキャップレートは多くの地区で低下
ホテルのキャップレートは、観光需要の回復から多くの地区で前回比0.1ポイント低下しました。
※キャップレート(期待利回り)・・・投資物件の収益性を評価する際の指標の一つ。通常、対象不動産が生み出す純収益(家賃収入から管理費や固定資産税などの諸経費を差し引いた純粋な収益、NOI)をキャップレートで割ると投資価値となる。
提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部
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