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オフィスマーケットレポート(2025年2月)
【東京都心5区 大規模ビル】
アナリストの視点
今年竣工する大規模ビルの現時点での内定率は5割程度と見込まれ、今後、空室を抱えた新築ビルの竣工により空室率が上昇する局面もあるとみられる。ただし、供給は好立地のビルが中心となっていることに加え、足元の需要は拡大傾向が続いており、新規供給分は消化されていくと考えられる。区別に見ると、港区以外の区では供給が限られるため、空室率の低下傾向が続くと予想される。
(基準日:2025年1月31日)
※東京都心5区: | 千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 |
※大規模ビル: | 1フロア面積200坪以上の賃貸オフィスビル |
※空室率: | 貸付総面積に対する「現空面積」の割合 |
※潜在空室率: | 貸付総面積に対する「募集面積」の割合。既存ビルにおいて、テナント退去前を含む募集床が対象 |
※募集面積: | 各統計日において公開されているテナント募集面積の合計 |
※統計開始: | 1994年1月1日 |
Ⅰ.実質GDP成長率
2024年10-12月期。3四半期連続のプラス成長を予想
ニッセイ基礎研究所によれば、2月17日に内閣府が公表する実質GDP成長率(2024年10-12月期)は年率プラス1.0%と、3四半期連続のプラス成長が予想される。2025年1-3月期も年率1%程度の成長を見込んでいるものの、物価の上振れ等により、民間消費を中心に下振れリスクは高いとしている。(図表1)
Ⅱ.失業率
前月から低下(=改善)。女性の就業者数は過去最高を更新
12月の完全失業率(労働力調査 総務省)は前月から0.1ポイント低下(=改善)の2.4%となった。有効求人倍率(厚生労働省)は前月から横ばいだったが、その先行指標である新規求人倍率は前月から上昇(=改善)している。女性の就業者数(季節調整値)は5ヵ月連続で過去最高を更新している。(図表1)

Ⅲ.空室率・潜在空室率
5ヵ月連続の低下。緩やかな低下傾向が続く
空室率は前月比マイナス0.26ポイントの3.36%となった。空室を抱えて竣工したビルがあったものの、新築・築浅ビルや湾岸エリアのビルで空室消化が進み、前月から低下している。潜在空室率は前月比マイナス0.28ポイントの5.26%となった。空室率・潜在空室率ともに5ヵ月連続の低下となり、緩やかな低下傾向が続いている。

Ⅳ.募集賃料
14ヵ月連続で前月比上昇・横ばい。上昇傾向が継続
募集賃料は前月から小幅に上昇し、14ヵ月連続で前月から上昇または横ばいとなり、緩やかな上昇傾向が継続している。立地条件が良好なビルでは複数のテナントの引き合いを集めるケースも多く、募集床の品薄感が漂うエリアを中心に募集賃料を引き上げる動きが広がっている。

Ⅴ.新規供給面積
2025年は前年のほぼ倍となる17万坪
2024年の大規模ビルの新規供給は9万坪と比較的低水準に止まったが、2025年は前年のほぼ倍となる17万坪の大量供給を予定している。中でも港区では15万坪の供給量を見込んでおり、2023年同様に供給が集中する。

Ⅵ.エリア別募集賃料(円/坪)




※規模 (1フロア面積) |
・大規模(200坪以上) ・大型(100坪以上200坪未満) ・中型(50坪以上100坪未満) ・小型(20坪以上50坪未満) |
※「-」は、調査時点においてテナント募集を行ったビルが少なかったため、適正データが算出できなかったエリアです。
Ⅶ.空室率の推移(6大都市 大規模ビル)

Ⅷ.募集賃料の推移(6大都市 大規模ビル・主要駅前地区)

※募集賃料:共益費込
※外税表示
提供:三幸エステート株式会社
会社HP:https://www.sanko-e.co.jp/
当レポートは情報提供を目的とし、情報の正確性に十分配慮して作成されておりますが、その内容を保証するものではありません。使用にあたっては貴社の責任と判断にてお願い致します。
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