• 地価動向

[地価動向]上昇傾向は終わりつつあるものの、まだ下落基調ではない

提供:法人営業本部 CRE情報部 2020年9月24日

Ⅰ.歌舞伎町、心斎橋が大きく下落

全国的な地価の上昇傾向は終わりつつあるようだ。8月21日に国土交通省が発表した令和2年第2四半期の「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」は、全100地区中、99地区が横ばいまたは下落となった。本調査は2020年7月1日時点のもので、新型コロナウィルス感染症の影響が店舗やホテルが集積する商業エリアに直接的な影響を与えた。

下落地点が38地区(前回4地区)、横ばい地点が61地区(同23地区)、と大幅に増えた一方、上昇地点は仙台市青葉区の商業地「中央1丁目」の1地区(前回73地区)のみとなった。75地区で変動率区分が下方に移行、24地区で不変、1地区のみが上方に移行した。訪日外国人が大幅に減少し、国内でも旅行や飲食の自粛が広がり、店舗やホテルの収益性が低下したことから、商業地に影響が大きく出た。今回最も下落が大きかった8地区は、東京の歌舞伎町や大阪の心斎橋など都心の中心商業地である。

用途別の下落地区の割合は、商業系地区が68地区中33地区(約49%)、住宅系地区が32地区中5地区(約16%)。圏域別の下落地区の割合は、東京圏が43地区中5地区(約12%)、大阪圏が25地区中17地区(約68%)、名古屋圏が全9地区(100%)、地方圏が23地区中7地区(約31%)。地方圏よりも大阪や名古屋での下落地区が顕著で、大阪はこれまで外国人観光客の増加による地価への影響が特に大きかったことから、名古屋は企業業績の先行きの不透明感などから、不動産取引の停滞がみられるためであると推察される。

Ⅱ.マンションやオフィスの取引価格に大きな変化はない

ただし、地価の上昇傾向は終わりつつあるものの、下落基調かというとまだそうではない。郊外での住宅販売を主力とする各社の業績は好調であり、デベロッパーからは完成在庫となっていた郊外マンションの売れ行きが回復し始めたとの意見も聞かれる。他方、都心マンションの需要が大きく減退したということでもなさそうだ。リーマンショックの時と違い、マンションやオフィスの需給バランスにはまだ大きな変化はみられておらず、現時点でこれらの取引価格に大きな変化はない。

「主要都市の高度利用地地価動向報告 ~地価LOOKレポート~」の概要

・調査目的
主要都市の地価動向を先行的に表しやすい高度利用地等の地区について、四半期毎に地価動向を把握することにより先行的な地価動向を明らかにする
・対象地区
三大都市圏、地方中心都市等において特に地価動向を把握する必要性の高い地区
東京圏43地区、大阪圏25地区、名古屋圏9地区、地方中心都市等23地区 計100地区

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