相続等により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例

提供:税理士法人タクトコンサルティング 株式会社タクトコンサルティング 2013年6月24日

1.個人株主が非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税(原則)

(1)個人株主の配当所得の課税
 非上場株式を譲渡した個人株主が対価として取得した金銭等のうち、その譲渡株式に対応する資本金等の額を超える部分は配当の受取りとみなされ、配当所得として課税されます(所法25①四。これを「みなし配当課税」といいます)。配当所得は他の所得と総合して課税され、最高で50%(所得税率45%・住民税率5%)の税率で課税されます。配当とみなされる金額については、発行会社により20%相当額の所得税が源泉徴収されますが、これは確定申告で精算されます。また、配当控除の適用もできます。

(2)個人株主の譲渡所得の課税
 譲渡対価として取得した金銭等から、上記(1)の配当とみなされる金額を除いた金額は、株式に係る譲渡所得の金額の総収入金額とされます(措法37の10③四)。その総収入金額から株式の取得費(取得価額)を控除した金額が、株式に係る譲渡所得の金額となります。株式に係る譲渡所得の金額は他の所得と分離して、一律20%(所得税率15%・住民税率5%)で課税されます。

2.個人株主が相続等により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例(措法9の7①)

(1)現行税制の取扱い
 相続又は遺贈により財産を取得して相続税を納付すべき個人が、相続の開始があった日の翌日から相続税の申告書の提出期限の翌日以後3年を経過する日までに、その相続税額に係る課税価格計算の基礎に算入された非上場株式を発行会社に譲渡した場合、特例として上記1.(1)のみなし配当課税が行われず、譲渡対価の全額が株式に係る譲渡所得の総収入金額とされ、これに基づき株式に係る譲渡所得の金額を計算します。

(2)平成25年度税制改正による適用対象者の拡大
 上記(1)の特例については、相続又は遺贈により財産を取得した個人であることが適用の大前提でしたが、平成25年度税制改正により、相続又は遺贈により財産を取得していない個人であっても、「相続税法又は租税特別措置法70条の7の3の規定により相続又は遺贈により財産を取得したとみなされたもの」(具体的には、次の①と②に該当する個人をいいます。)についても、新たに適用対象となります。
  ①相続時精算課税制度(相続税法21条の9)に係る贈与により非上場株式を取得した個人で、 その贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しなかったもの。
  ②贈与税納税猶予制度に係る贈与により非上場株式を取得した個人で、その適用後に贈与者が死亡し、租税特別措置法70条の7の3の規定により相続又は遺贈により非上場株式を取得したとみなされたもの。
 なお、この改正は平成27年1月1日以後に開始する相続又は遺贈により財産を取得したとみなされる個人について適用されます。

<個人株主が非上場会社にその会社の株式を譲渡した場合の課税のイメージ>

個人株主が発行会社より交付を受けた金銭等の額(譲渡対価)の全額
譲渡益(譲渡所得) 【原則】みなし配当(配当所得)
総合課税:最高税率50%(現行)
【特例】譲渡益(譲渡所得)
分離課税:税率20%
取得費(取得価額)
分離課税:税率20%
発行会社の資本金等の額のうち譲渡株式に対応する部分
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