平成25年度税制改正において事業承継税制はどう変わったか

提供:税理士法人タクトコンサルティング 株式会社タクトコンサルティング 2013年8月5日

 事業承継の切り札として平成21年4月にスタートした事業承継税制は、平成25年度の税制改正により、次のように適用要件が緩和されます。前倒し適用される一部を除いて、平成27年1月1日以降の相続若しくは遺贈または贈与について適用されます。

 使い難いと言われてきた、雇用の確保要件「3」と役員退任要件「7及び8」が改正されたことにより、今後の事業承継問題に際して、事業承継税制は必ず検討すべき内容になったと言えます。

項目現行改正後
1 事前確認の廃止 相続・遺贈又は贈与前に、経済産業大臣の確認を受けておくことが必要(~平成25年3月) 相続・遺贈又は贈与前に、経済産業大臣の確認を受けなくても利用可能となった(平成25年4月~)
2 親族外承継の対象化 先代経営者の親族以外の後継者への遺贈又は贈与は適用対象外とする。 先代経営者の親族以外の後継者への遺贈又は贈与についても適用対象とする
3 雇用確保要件の緩和 適用後5年間の各年において、適用開始時における雇用の8割以上を維持する必要 適用後5年間において、平均して適用開始時における雇用の8割以上が維持されていれば良い
4 利子税の負担軽減(1) 納税猶予打切りの際の利子税率は、現行年2.1% 利子税率が、特定基準割合2%の場合、年0.9%に引下げられる(平成26年1月~)
5 利子税の負担軽減(2) 納税猶予が打切りとなって猶予税額を納付する場合、利子税の納付が必要 適用5年経過後に納税猶予が打切りとなって猶予税額を納付する場合には、当該5年間の利子税を免除
6 民事再生等による免除 (新設) 適用5年経過後の民事再生、会社更生、中小企業再生支援協議会での事業再生の際に、猶予税額の一部免除
7 役員退任要件の緩和 先代経営者は、贈与時に対象会社の役員であってはいけない(贈与税) 先代経営者は、贈与時に対象会社の代表権を有していてはいけないが、代表権のない取締役であれば退任の必要はない(贈与税)
8 無給役員要件の撤廃 先代経営者(贈与者)は、5年間は会社から役員給与を受けてはいけない(贈与税) 先代経営者は、有給役員(例:代表権のない取締役会長)として残留可(贈与税)
9 債務控除方式の変更 被相続人の債務・葬式費用は、対象株式の価額から控除して納税猶予の課税価格を計算する(相続税) 被相続人の債務・葬式費用は、対象株式以外の財産の価額から控除して納税猶予の課税価格を計算する=猶予税額が増加(相続税)
10 手続の簡素化 ・株式を担保提供する場合、株券不発行会社は、定款を変更して株券を発行しなければならない
・経済産業局と税務署に同一書類を提出する必要がある
・株式を担保提供する場合、株券不発行会社は、株券発行の必要なし
・経済産業局への提出書類は、税務署に提出不要となる
11 延納・物納の選択 納税猶予が打ち切りとされた場合、納税猶予税額の金銭一時納付が必要 雇用確保要件が満たされないために納税猶予が打切りとされた場合、延納又は物納を認める
12 適正化措置 (新設) (1)資産管理会社を通じて上場株式等1銘柄につき3%以上保有する場合、納税猶予税額の計算から当該上場株式等の価額を除外する
(2)資産管理会社の要件の見直し
・後継者の生計一親族は、常時使用従業員数5名に含めない
・商品の販売・貸付け等から、後継者の同族関係者に対する貸付けを除外
・納税猶予取消事由である「総収入金額が零になった場合」に、総収入金額の範囲から営業外収益及び特別利益を除外する
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