相続税・贈与税の連帯納付義務(1)(制度の概要)

提供:税理士法人タクトコンサルティング 株式会社タクトコンサルティング 2013年9月9日

相続税や贈与税は、相続、遺贈又は贈与により財産を取得した者(納税義務者)が、それぞれ取得した財産に係る相続税や贈与税について納付義務を負うのが原則です。ただし、国税債権の確保の見地等から、相続税法では次のような連帯納付義務を定めています。

1.相続人又は受遺者が2人以上いる場合の相続税の連帯納付義務

【1】制度の概要

同一の被相続人から相続又は遺贈(相続時精算課税制度の適用を受ける財産に係る贈与を含む。以下同じ。)により財産を取得した全ての者は、その相続又は遺贈により取得した財産に係る相続税について、その相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度に、互いに連帯納付義務を負います(相法34(1))。

なお、「相続又は遺贈により受けた利益の価額」とは、相続又は遺贈により取得した財産の価額(非課税財産の価額を含む)から債務控除の額とその取得した財産に係る相続税額及び登録免許税額を控除した後の金額をいいます(相基通34-1・後述2.において同じ)。

【2】適用除外

【1】の規定は、次の(1)~(3)のいずれかに掲げる場合は、それぞれに定める相続税については適用されません。

(1)相続税の申告書提出期限から5年を経過した場合

納税義務者の納付すべき相続税額に係る相続税につき、相続税の申告書提出期限から5年を経過する日までに、税務署長がその相続税の連帯納付の責めを負う者(連帯納付義務者)に対し、連帯納付義務の履行を求める納付通知書を発していない場合には、連帯納付義務者は、その納付すべき相続税額に係る相続税の連帯納付義務を負いません(相法34(1)一)。

(2)延納の許可を受けた場合

納税義務者が、相続税の延納の許可(物納申請の全部又は一部の却下に係る延納の許可及び物納の撤回に係る延納の許可を含む。)を受けた場合には、その相続税の納税義務者に係る連帯納付義務者については、その延納の許可を受けた相続税額に係る相続税の連帯納付義務を負いません(相法34(1)二)。

(3)納税猶予の適用を受けた場合

納税義務者が農地等に係る相続税の納税猶予(措法70の6)、非上場株式等に係る相続税の納税猶予(措法70の7の2)等の適用を受けた場合には、その納税義務者に係る連帯納付義務者は、その納税が猶予された相続税額に係る相続税の連帯納付義務を負いません(相法34(1)三)。

2.死亡した者に係る相続税の連帯納付義務

同一の被相続人から相続又は遺贈により財産を取得した全ての者は、“その被相続人に係る相続税”について、その相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を限度として、互いに連帯納付義務を負います(相法34(2))。

例えば、被相続人Zの相続人である長女Xが、Zの死亡に係る相続税(これが上記の“その被相続人に係る相続税”となります。)を未納のまま死亡した場合、Xの相続人の子Yと子Zが、Xからの相続又は遺贈により受けた利益の価額に相当する金額を上限として、Xが納めるべきであったZの死亡に係る相続税につき、互いに連帯納付義務を負います。

3.相続等により取得した財産が贈与等された場合

相続税の課税価格計算の基礎となった財産が、贈与、遺贈もしくは寄附行為により移転された場合においては、その贈与もしくは遺贈により財産を取得した者又はその寄附行為により設立された法人は、その贈与等をした者が納付すべき相続税のうち、取得した財産の価額に対応する部分の金額について、その受けた利益の価額に相当する金額を限度として、連帯納付義務を負います(相法34(3))。

4.財産を贈与した者の連帯納付義務

財産を贈与した者は、その贈与により財産を取得した者のその年分の贈与税額のうち、贈与した財産の価額に対応する部分の金額について、その財産の価額に相当する金額を限度として、連帯納付義務を負います(相法34(4))。

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