1.被相続人1人から相続する相続人の人数が減少

相続税の対象となった被相続人1人から財産を承継する法定相続人の人数が、減少する方向にシフトしています。

 このグラフ1は、国税庁の統計年報のデータを基に平成13年分から平成23年分までの相続税の課税対象となった法定相続人人数別に見た被相続人の人数の動向をプロットしたものです。

 ご覧の通り、この10年間で、相続人が2人以下だった被相続人と、3人だった被相続人の人数が急増しています。2人以下の細かい内訳を示すと、相続人が1人だった被相続人の人数は、平成13年に2,984人でしたが、平成23年には5,195人と1.7倍に膨らんだほか、相続人が0だった被相続人の人数も平成13年から平成23年までに128人から393人と倍増しています。

 一方、相続人5人以上の被相続人の人数が減少しています。全体的に被相続人1人当たりの相続人の人数は4人以下へとシフトしていると考えてよさそうです。

2.相続税増税に拍車

 さて、平成27年以降の相続・遺贈から、相続税の増税が実施されます。具体的には、相続税の非課税枠に当たる「基礎控除」が次の表1の通り4割引き下げられます。これにより、年間の死亡者全体に対する相続税の対象となった被相続人の割合である「課税割合」は改正前4%程度だったものが改正により6%ほどに上昇するといわれています。これまで相続税がかからなかった人でもかかる可能性が高まるのです。

表1       相続税の基礎控除額
基礎控除の改正 改正前 改正後 縮小額
定額分 5,000万円 3,000万円 2,000万円
法定相続人1人当たり 1,000万円 600万円 400万円

 さらに被相続人1人当たりの相続人の人数の減少は、こうした増税に拍車をかけることになりそうです。というのも基礎控除の金額は「定額控除+法定相続人1人当たりの基礎控除額×法定相続人数」で求めるため、相続人数の減少に連動して減るからです。

3.これからのこと

相続人は子だけでなく、親や兄弟ということもあります。しかし配偶者と子、または子のみの相続がごく一般的な姿だと考えられます。そうすると今後の出生数低下は、相続人の減少に結びつくのではないでしょうか。次のグラフ2は、平成25年人口動態年間推計の「出生数及び合計特殊出生率の年次推計(厚生労働省HPより引用)です。

 グラフ2によれば第2次ベビーブームでは出生数が増えます。これによりこの世代が相続を受ける時代では被相続人1人当たりの相続人数は盛り返すかもしれません。しかし第2次ベビーブームの山を越えると出生数は再び減少していきます。これにともなって被相続人1人当たりの相続人の人数は、さらに減少に向かうのではないでしょうか?その時代には相続税の対象が大衆化し相続税対策はもっと身近になるのかもしれません。

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