オフィスビルとしての賃料は、アパートやマンションの家賃を大きく上回るのが一般的です。
アパート・マンションを建築した場合と同様の優遇措置があります。
相続税評価において、オフィスビル用地は「貸家建付地」となり、更地や駐車場の場合と比べ、2割前後下がります。また、建物は固定資産税評価額で評価されることになりますが、これは建築コストの6割前後になります。その差額分、節税が図れます。
賃料収入を蓄積することにより、相続が発生した場合の「納税資金」を確保することができます。
蓄積された納税資金も相続財産ですので、相続税そのものは増えていきますが、納税の「しやすさ」は大幅に高まります。
経営開始当初は、損益収支が赤字になることが多いです。この赤字は他の所得と通算できますので、結果、課税所得が少なくなります。
もちろん、「税金が減っても損失が発生しては意味がない」のですが、「減価償却費」によって損失が出た場合は、実際の現金収支はプラスとなっており、純粋な「節税」となります。
アパート・マンションの場合、周辺環境や土地の形状などで厳しい要件があります。
例えば、接道部分が短い土地には建てられなかったり、採光のための窓が必要であったりということが建築基準法で規定されており、また、周辺がにぎやかな商業地域である場合などは、入居者が集まらないこともあります。
オフィスビルの場合、建築基準法の要件も緩く、周辺環境の影響も少ないので、立地の制約は緩和されます。
OA環境の整備や電気容量設備など、アパートやマンションより充実した設備や仕様が必要ですので、建築コストもその分高くなります。
アパートやマンションの場合、「住宅用地」として固定資産税・都市計画税の軽減が受けられましたが、オフィスビルは住宅ではないので、こういった軽減措置はありません。
借主が決まらない、あるいは借主が退去してしまうといった「空室リスク」は高いです。
企業の業績が低迷し、縮小や倒産が起こると、その企業は退去します。当然賃料収入は途絶えます。景気や企業業績といった、外部的影響を受ける分、安定性に欠けます。
アパートやマンションは、各部屋ごとに入居者がおり、別個の契約を結んでいます。例えば10室あるうちの1室が空いたとしても、影響は「10分の1」です。
しかしオフィスビルの場合、一つの企業がたくさんの部屋を使うことがあります。10室あっても、契約している企業は2~3社、場合によっては1社だけ、ということもあるでしょう。退去された場合失う賃料収入はそれだけ大きくなります。
近年、六本木ヒルズをはじめとして、規模の大きいオフィスビルが相次いで建てられています。都心部の地価が低くなったことや、企業が使っていた用地が市場に出ることで、このような大規模開発によるビル建築が可能になりました。この傾向が続けば、中小ビルの競争力は相対的に低下する恐れがあります。
また、少子高齢化により、オフィスで働く人(オフィスワーカー)が減っていくと予想されます。これにより、オフィスそのものが減少し、オフィスビルへの需要も低下する可能性があります。
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