バブル期までは、土地は保有しているだけで意味がありました。確実な値上がりが見込め、将来的に多額の現金収入をもたらす可能性が高かったからです。
しかし今や、「土地神話」は崩壊しました。保有していても値段が下がり続ける可能性があり、その一方で、土地を持っていることで発生する「負担」が存在します。固定資産税や都市計画税が毎年かかりますし、さらには将来の相続税も心配しなければなりません。
土地は持っているだけでは価値がありません。「資産」として有効に活用してこそ生きてくるものです。
土地活用というと、「使っていない土地を充てるもの」とイメージされがちです。しかし、今、なんらかの活用をしている土地であっても、「収益力を十分に活かす」形になっているとは限りません。
実際、駐車場としてある程度の収益を挙げている土地であっても、「マンション経営に向いている土地であり、活用の仕方を変えれば、もっと高い収益を得られる」といったケースが数多く見受けられます。
土地は持っているだけでは意味がない資産ですが、「使ってさえいればいい」ということでもありません。その土地が備えた特徴を考慮した、最適な活用方法を考えるべきです。
相続税は、保有する預貯金を上回る税額となることがあります。遺産分割の方法によっては、相続税以外にも多額の現金が必要になることがあります。
また、平成27年より、「相続税の基礎控除の縮小」「最高税率の引き上げ」といった改正が行われます。従来は相続税がかからなかった人も課税対象となり、資産家の方の負担すべき税額はさらに大きくなります。相続税対策は、今後ますます重要になってきます。
土地の収益力を最大限生かすためには、「活用したい土地の使い方を考える」のではなく、「保有する土地一つ一つについて、今の使い方を見直す」ことが必要になります。すでに活用している土地であっても、活用方法に改善の余地があれば、手を打つのが望ましいです。
相続対策を並行して考える場合は、こうした視点は特に重要になります。相続対策では、「納税資金や分割資金を準備するために土地を売却する」ことが多くありますが、土地を売却すると、その土地が生み出してきた収益をも失うことになります。そのとき、他の土地の活用方法を改善することによって、「土地は一部手離したものの、収益は落ちなかった」ということも可能になります。
また、相続対策においては、相続税の額や、保有する金融資産の額によって、対策が変わってきます。相続税が少ない場合でも、金融資産が少ないのであれば、資金の捻出が必要になります。逆に、多額の相続税がかかる場合であっても、金融資産が十分にあれば、資金の捻出よりも節税に重きを置いた対策を採ることになります。したがって、土地以外のものも含めた「すべての財産」を把握しておくことが大切です。
土地活用は、「すべての土地」「すべての財産」を見据えた視点で考えるべきものです。
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