東京23区中古マンション売買高(2023年度下期)

2023年度下期の売買高は対前年同期比15%増の4,955億円
売買高は港区が最大、江東区は2割超の大幅増

東京23区における中古マンションの売買高が拡大しています。
レインズによる2023年度下期1における東京23区中古マンションの売買高は、前年同期比14.7%増の4,955億円となりました。本記事では、年度・半期ベースで区やエリアにおける動向をレポートいたします。

Ⅰ.3月は1,000億円越えで調査開始以来の最高額を更新

図表Ⅰは、年度・半期ベースの東京23区中古マンションの売買高です。売買高は2021年下期以降の4半期連続で増加し、2021年度下期4,019億円、2022年度は上期4,159億円(前期比+3.5%)、下期4,320億円(同+3.9%)、2023年度は上期4,537億円(同+5.0%)、下期4,955億円(同+9.2%)となりました。

月次においても、全ての月で前年比プラスとなりました。売買高は、10月770億円(前年同月比+5.3%)、11月814億円(同+18.4%)、12月793億円(同+13.0%)、1月647億円(同+8.3%)、2月891億円(同+18.5%)、3月は1,040億円(同+22.4%)で、単月の売買高が1,000億円を超えたのは調査開始以来初めてです。

エリアでみると、2022年度上期の城南・城西・城北2を除き、売買高は継続して増加しました。直近の売買高は、都心5区1,743億円(前年同月比+16.9%)、城南1,101億円(同+11.8%)、城東1,133億円(同+15.7%)、城西414億円(同+12.3%)、城北547億円(同+10.4%)です3。東京23区の中古マンション市場では、都心5区などを中心に海外からのマネー流入が目立つほか、従来から旺盛な富裕層の不動産投資・相続対策ニーズが好調です。また周辺区においても、パワーカップルによる実需ニーズが旺盛で、市場全体では活況を呈しています。

【図表Ⅰ】東京23区中古マンションの売買高(年度・半期ベース)

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20240723_image2.jpg単位は億円
出所:レインズより野村不動産ソリューションズ作成
(以下図表すべて)

1上期4~9月、下期10月~3月。
2都心5区:千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区 城南:品川区、目黒区、大田区、世田谷区 城東:台東区、墨田区、江東区、荒川区、足立区、葛飾区、江戸川区 城西:中野区、杉並区、練馬区 城北:文京区、豊島区、北区、板橋区
3成約件数に平均成約単価を乗じて売買高を算出しているため、エリア合計数値は東京23区とやや差異がある。

Ⅱ.売買高は目黒区・台東区で安定的に伸張、直近では中野区で大きく拡大

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図表Ⅱは、2021年度下期の売買高を100とした各区の売買高指数と順位です。すなわち上位の区ほど、売買高の増加がより大きくなっています。

各期とも、都心部と湾岸部の区が上位に位置しています。中央区・新宿区・港区は全4半期、渋谷区・文京区・品川区・江東区は3半期で上位となっています。安定的な売買市場が形成され、拡大してきたことが分かります。都心部と湾岸部以外の区では、目黒区と台東区でおおむね安定的に伸長しています。また直近では、中野区が売買高を大きく拡大させています。

当該期の売買高指数は、中央区が最大の149.9、次いで中野区141.8、台東区136.9となりました。特に中野区では、成約単価と成約件数が大幅に増加、在庫も減少しており、今後の動向が注目されます。

【図表Ⅱ】東京23区中古マンションの売買高指数と順位(2021年度下期=100)
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Ⅲ.売買高は港区が最大、江東区は前年同期比+26%の大幅増

【図表Ⅲ】東京23区中古マンションの売買高とシェア(2023年度下期)
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図表Ⅲは、当該期の各区の売買高と23区におけるシェアです。

売買高が最も大きいのは港区で、前年同期比+8.7%の604億円となりました。4半期連続の増加で、シェアは12.9%です。次いで江東区が、同+26.2%の522億円となりました。当該期の増加率は23区中最大で、シェアは10.5%です。3番目は中央区で、同+23.1%の455億円となりました。シェアは9.2%です。以下、世田谷区、品川区の順となっています。

一方で、千代田区・墨田区・豊島区など、売買高が減少している区もあります。東京23区における中古マンション売買市場は引き続き活況を呈すると予想されますが、各区における動向には注意が必要です。

提供:法人営業本部 リサーチ・コンサルティング部

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