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不動産価格の話題

2012/07/17Vol.259不動産価格

2012年路線価の公表

2012年分における相続税・贈与税の評価基準となる「路線価(1月1日現在)」が7月2日国税庁より公表されました。全国約36万地点ある標準宅地の対前年比の変動率の平均は△2.8%の下落(前年△3.1%)となりました。ただ、下落率は都市部を中心に縮小傾向が続いています。路線価は3月に公表された公示地価等を基準としてその8割を目安に算出されています。

 

全国ベースでは、平均で2010年△4.4%⇒2011年△3.1%⇒2012年△2.8%と下落幅は縮小しています。都道府県別で平均が上昇した都道府県はゼロでした。昨年から、国税庁では、圏域毎の平均変動率を公表しなくなったため、都道府県毎の変動率の平均を下記に掲載します。

<メモ>路線価は1/1時点の地価公示の8割を目安として国税庁が算出していますが、一昨年までは、公表される平均変動率の数字は、地価公示に比較して路線価の変動率が総じて大きな数字になっていました。これは路線価の平均稼働率が評価基準額の平均額の変動率を算出していたため、高地価地点の変動率の影響を受けやすかったためですが、昨年の発表から、各評価地点の変動率を単純平均する方法を採用したことにより、公示価格に近い平均変動率を示す結果となっています。

 

今年の路線価は、すべての都道府県で対前年変動率の平均値は下落しました。主な下落率の推移をみると、東京都で前年△2.0%⇒今回△1.2%、神奈川県で前年△1.4%⇒今回△1.1%と縮小しています。また大阪府では前年△3.4%⇒今回△1.7%となり、関西圏の方が下落率の縮小が顕著になっていて、さらに愛知県では△0.5%と全国で最も小さい下落率となっています。下落率は、全国の23都道府県で縮小しています。

都道府県庁所在地都市の最高路線価地点では、札幌「札幌停車場線通り」が+3.3%、名古屋「名駅通り」が+0.9%の上昇を示しました。横ばいだったのは大阪「北区角田町御堂筋」のほか、福岡・京都・那覇・奈良・金沢・大津・津の8都市となり、その他の都市はすべて下落となりました。全国最高路線価である東京「銀座中央通り」は、△2.2%の下落率となっています。また下落率ワースト3位は、松江・鳥取・大分の順となっています。

東京都では、前回と比較可能な税務署管内毎の最高路線価47地点のうち、上昇地点が「足立区北千住駅西口駅前広場通り+3.6%」「墨田区曳舟川通り+2.1%」「北区赤羽駅東口広場通り+0.6%」の3地点、横ばい地点が「練馬区豊玉北5千川通り」「足立区西新井駅西口駅前通り」「多摩市聖蹟Uロード」の3地点あり、その他の41地点では下落となりました。東京都内で最も下落率の大きい地点は、「台東区上野中央通り△3.9%」でしたが、昨年最も下落した地点は△10.1%でしたので、かなり下げ幅は縮小しています。また上昇した3地点はいずれも昨年も横ばいを示した地点であり、城東城北地域の再開発効果が継続しています。

神奈川県では、前回と比較可能な税務署管内毎の最高路線価17地点のうち、上昇地点が「川崎市川崎駅東口広場通り+1.6%」「青葉区たまプラーザ駅前通り+1.0%」「川崎市溝口駅前広場通り+0.9%」の3地点、横ばい地点が6地点、その他8地点が下落となりました。

埼玉県の県内15税務署最高路線価では、横ばい地点はなく、全地点で下落となりました。

千葉県の県内14税務署最高路線価では、横ばいが3地点(千葉西・木更津・成田)で、最大下落率の千葉駅前△7.1%をはじめその他地点は下落となりました。

大阪圏6府県の83税務署の最高路線価地点をみると、上昇地点が「阿倍野区あべの筋+3.6%」「大阪市北区芝田1丁目+0.9」の2地点、横ばいが28地点と前回より増加しています。

(担当:池田 徹)

企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課

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