不動産サイト nomu.com > 不動産コラム > 不動産価格の話題 > Vol.270 平成25年1月地価公示が公表。「地価下げ止まり」へ。

地価や不動産の法律・税制、時事の話題などの情報を、さまざまな視点から解説・紹介しております。

不動産価格の話題

2013/03/26Vol.270不動産価格

平成25年1月地価公示が公表。「地価下げ止まり」へ。

1月1日地価公示は全国平均で住宅地が前年△2.3%⇒今年△1.6%、商業地も前年△3.1%⇒今年△2.1%と下落率が縮小しました。平成20年秋のリーマンショック以降、5年連続の地価の下落となりましたが、各大都市圏及び地方圏共にそろって下落率が縮小し、国土交通省では、「上昇・横ばいの地点も大幅に増加し、一部地域において回復傾向が見られる」としています。

 

東京圏の住宅地

1.東京圏全体では平均で△0.7%(前回△1.6%)と下落率が縮小しました。エリア別で最も下落率の小さい東京都が△0.3%、下落率の大きい埼玉県千葉県でも△1.2%と、下げ止まり傾向が明らかとなりました。

2.東京圏で変動率プラスの市区としては、川崎市全体+0.7%(前回△0.2%)横浜市全体+0.2%(前回△1.1%)と、この2都市の回復ぶりが目立ちます。特に川崎市中原区+2.6%、横浜市都筑区+1.3%など大幅な上昇傾向を示しています。東京都では多摩地域に上昇地域が見られ、国立市+0.4%、武蔵野市+0.3%など健闘が目立ちます。住環境良好あるいは交通利便性の高い地点で地価の上昇が見られるようです。

※ 大阪圏も全体平均で△0.9%(前回△1.3%)と下落率は縮小です。エリア別では大阪市中心6区で+1.0%、神戸市東部4区で+0.3%と上昇エリアが見られます。

表1:東京圏住宅地年間変動率
東京圏住宅地年間変動率

東京圏の商業地

1.東京圏全体では平均で△0.5%(前回△1.9%)と下落率が大幅に縮小しました。

2.東京圏の変動率プラスの市区としては、川崎市全体で+2.1%(前回+0.1%)となったほか、横浜市全体+0.5%(前回△1.3%)と神奈川県の回復ぶりが顕著です。特に幸区+5.4%(前回+0.7%)、中原区+4.9%(前回+1.2%)などで高い上昇率を示しました。

3.東京都では墨田区+0.4%(前回△1.0%)、足立区+0.1%(前回△0.1%)、目黒区+0.1%(前回△1.6%)、立川市+0.1%(前回△1.1%)と再開発周辺や商業集積地点がプラスとなり、優良なオフィスやマンション適地等の地価が下げ止まっています。

表2:東京圏商業地年間変動率
東京圏商業地年間変動率

今回の公示地価が示す特徴

1.東京圏は5年連続の下落となりましたが、東京都・神奈川県はほぼ横ばいと言えるでしょう。

2.国土交通省の分析では、年前半に比べ後半の下落率が縮小したこと、前回上昇地点が見られなかった東京都で上昇地点が現れた点が特筆されています。こうした下げ止まりの状況に至った要因として、低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えがあったとしています。

3.今回、横浜市や川崎市及び多摩地域で上昇傾向となったことについて、都心への接近性に優れたエリアであり、再開発事業の進展などからマンション需要を初めとした住宅需要が堅調であったことが地価の上昇傾向を牽引したと言えそうです。

(担当:池田 徹)

企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課

地価や不動産の法律・税制、時事の話題などの情報を、さまざまな視点から解説・紹介しております。