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不動産価格の話題

2013/11/15Vol.278不動産価格

東日本レインズデータから見た首都圏中古マンション市況

公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)は、首都圏における不動産物件情報交換のために国土交通大臣の指定を受けた指定流通機構です。会員の不動産業者より物件情報が登録され、会員間での情報交換を行う事で、不動産取引が促進されています。東日本レインズでは、物件の登録状況データをHP等で公開しています。今回は、東日本レインズが公開する「中古マンション」の登録データをもとに、『首都圏中古マンション市況』について見てみましょう。

東日本レインズでは、毎月および四半期毎の成約件数、平均価格、新規登録数等を公表しています。これらデータを基にグラフにしました。

首都圏における2013年1-3月、4-6月の中古マンション成約件数は、それぞれ9,663件、9,344件と2006年以降で最高と2番目、7-9月期は、8,338件で同4番目と、2013年以降は高い水準で推移しています。(図1)また、対前年同期比でプラスが8期連続したのも2006年以降初めてとなります。リーマンショックのあった2008年10-12期の落込みからいったん回復しかけましたが、その後の東日本大震災の影響で再び大きく落込んだ経緯をみると、今後成約件数が安定して推移するかどうか注目です。

図1:首都圏中古マンション成約件数の推移

成約価格の推移をみると(図2)、2006年から2008年4-6月期にかけて一貫して約30%程度上昇しました。その後リーマンショックや東日本大震災での成約件数の落込みに合わせるように成約価格も落込みが見られましたが、対前年同期比で▲5~▲7%程度にとどまり、2006年のレベルまでは下がっていません。また、上昇幅も概ね対前年同期比5%程度となっており、比較的安定した状態が続いている、と言えます。

図2:首都圏中古マンション成約平均価格の推移

新規登録数の推移を見ると(図3)、長期的には2006年と2009年の30,000件前後から、2008年と2012年の45,000件超まで、50%程の大きな増減が見られます。2006年から2008年、そして2010年までは、新規登録数の増減と成約価格の高低とが概ね一致するのに対し、2011年以降では、これらが一致していません。つまり、ほぼ同じ動きをしていた成約価格と新規登録数の関係が、2011年以降逆の動きになったのです。 対前年同期比の推移では、概ね3年ごとのサイクルで上下動している事が見て取れます。この傾向が今後も続くとすれば、新規登録数は、今後しだいに対前年比で増加していくとも見えます。前年も高いレベルだったので、今後の新規登録数は、かなり高いレベルになるかもしれません。注目したいところです。

図3:首都圏中古マンション新規登録数の推移

(担当:伊東 秀二)

※グラフはすべて(公財)東日本不動産流通機構公表データをもとに当社にて作成。

企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課

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