2007/05/29Vol.178
女性労働力の増加
厚生省では「2006年版働く女性の実情(女性労働白書)」を発表しています。いわゆるM字カーブの変化が注目されますが、年々改善の傾向にあることが伺える結果となっています。「労働力人口」とは、働く意欲を持つ人を指し、仕事を持つ「就業者」と働く意志があって仕事を探している「完全失業者」の合計をあらわしています。今後の労働力人口の増加は、高齢者と女性がいかに労働参画するかにかかっていると言われています。
働く女性の実情
1) 平成18年の女性の労働力人口は、2759万人(前年比9万人増)で、3年連続で増加しています。男性は3898万人で3万人減)労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、女性45.5%で2年連続上昇し、男性73.2%で9年連続で低下となっています。
2) 女性の年齢階級別労働力率(下図)をみると、ボトムの30~34歳層では10年前と比較すると8%上昇しており、25~29歳層でも7.8%の上昇となっています。
この結果、結婚や出産育児の時期にあたる、25~39歳の労働力率が上昇していて、いわゆる「M字カーブ」は改善の方向にあるといえます。
3) 経済財政諮問会議の示した数値目標では、25~44歳の既婚女性の就業率の引上げ目標を、2006年の57%から2017年の71%へと14%UPとしています。これは、今後人口減少にともなう、働き手の減少による経済活動の停滞が懸念されるため、具体的な環境整備を図っていく為の数値目標の設定といえます。
■ 図1:女性の年齢階級別労働力率(10年前比較)
海外との比較
1) 平成16年版の女性労働白書によると、日本の女性の典型的な就労パターンは、結婚や出産を機にいったん労働市場から離脱するというものであり、年齢階級別労働力率は30~34歳台をボトムとするM字カーブを描いているとしています。カーブの底は次第になだらかになってきてはいますが、他の先進国と比較してM字型の形状が際立っている状況は平成16年段階ではまだ解消されていません。
2) 図2は諸外国と比較した日本のM字カーブの様子を表しています。これによると、日本と韓国が平成16年でもM字カーブを描いているのに対し、それ以外の欧米諸国は概ね「台形」の形状となっていることがわかります。平成18年ではかなり改善されていますので、欧米型に近づいてはいますが、もう少し時間が必要のようです。
■ 図2:女性の年齢階級別労働力率の国際比較
これからの課題
白書では、女性の側からみた現状は、全体的に子育て期の就業は依然として厳しい状況にあるのは変わっていないため、年齢階級別で見たときに、25~34歳層というM字のボトムの労働力率は上昇傾向にはありますが、未婚者の割合の上昇による変化が大きく、労働力率自体の上昇による変化は全体の3~4割にすぎず、さらに35~39歳層での労働力率の上昇はこのところ足踏み状態にあるとしています。政策の改善が求められている点といえるでしょう。
企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課
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