2015/03/09Vol.288
首都圏と近畿圏、それぞれの中古マンション市況 (1)成約件数編
首都圏では公益財団法人東日本不動産流通機構(通称:東日本レインズ)が、近畿圏では公益社団法人近畿圏不動産流通機構(通称:近畿レインズ)が、それぞれ国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構として、会員(不動産会社)の登録する取引データに基づき、各エリアでの不動産市況の動向を公表しています。東日本レインズと近畿レインズの各公表データをもとに、中古マンション市況について首都圏と近畿圏を比較してみましょう。今回は「成約数」についてです。
首都圏と近畿圏は日本の二大都市圏ですが、中古マンション市況でそれぞれの特徴や違いはあるのでしょうか。図1・図2は、それぞれ首都圏と近畿圏の中古マンションの成約数(棒グラフ)と成約数の対前年比率(折れ線グラフ)の推移を表したものです。グラフには数値が出ていませんが、2014年の1年間の成約数は、首都圏で33,978件、近畿圏で16,339件となっています。
首都圏の人口は35,793千人ですから、人口1万人当たりの成約数はおよそ9.4件です。近畿圏はというと、人口は20,802千人で、人口1万人当たりおよそ7.9件が成約登録された事になります。レインズには、必ずしもすべての取引が登録されているわけではないので、一概に比較はできませんが、人口比でみると首都圏の方がより多くの成約登録がある、つまり取引量が多いと言えます。また、2006-2008年に比べ2012-2013年は両地域ともに成約数が多くなっています。しかし、近畿圏の方がよりはっきりとした増加を見せており、その点では、近畿圏の方が売行きの良さをより強く感じるかもしれません。
月間成約件数の対前年比の推移はどうでしょうか。ゼロ(右軸)のラインよりも上であれば前年の同時期に比べてプラス、下にあればマイナスです。首都圏では東日本大震災の影響もあってか、2010-2011年は前年比マイナスが続きましたが、2012-2013年では大きくプラスへ振れています。首都圏ではこの時期、一気に売れ行きが良くなった印象があるでしょう。
対して近畿圏では、2009年10‐12月期に一度大きくプラスとなり、それ以降は安定してプラスを維持しています。近畿圏では、ここ数年の間じわじわと売行きが良くなったことがうかがえます。
また、2014年には両エリアとも一転して前年比マイナスとなっています。2014年は、2013年に比べ成約件数は減少している事を表していますが、首都圏の方が落ち幅がより大きく、ここでも両地域の違いが見て取れます。
※グラフはすべて東日本レインズと近畿レインズの公表データをもとに野村不動産アーバンネットにて作成しました
(担当:伊東秀二)
企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課
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