2012/07/26Vol.260
老後の居住デザイン(高齢夫婦世帯の永住・住みかえ意向)
第一生命経済研究所では、ライフデザインをテーマとして様々な研究報告が継続されています。我々不動産流通業においては、住宅を中心として仲介取引をおこなっていますが、高齢層の方々の割合が年々増加しています。今回の研究報告「老後の居住デザイン」は、「住みかえ」を考える上で興味深い内容を含んでいますので、ここにその一部をご紹介することで、皆さまの参考にしていただければと思います。
※出典:第一生命経済研究所HP「ライフデザインレポート:老後の居住デザイン」より 、当社にて抜粋・要約して掲載しています。
第一生命経済研究所の今回のレポートでは60歳~74歳の夫婦2人暮らし世帯の方々へのアンケートを基に「老後の居住デザイン」というテーマで、永住・住みかえ意向についての調査研究がまとめられています。
理想の永住・住みかえ意向
持家に居住している人の場合、資金面での制約がないと仮定しても、今の住まいに永住することを理想だと考える人が多く、また、マンションより戸建に居住している人の方がより永住希望が強いという結果です。(図1)
持家居住者における永住予定の理由
居住形態が戸建・マンションに拘わらず、「住み慣れているから」と「住みかえる必要がないから」が最も多い回答でしたが、次に来る理由として、戸建では「今の住まい」への愛着が「今の地域」への愛着を10ポイント上回って第3位を占めたのに対し、マンション居住者では「地域」への愛着が「住まい」への愛着を2ポイント上回って第3位になっていることが特筆されます。(図2)
地域周辺で愛着のある場所
全体の回答のベスト3は、1商業施設、2社会教育施設、3公園ですが、これを持家居住者の戸建とマンションで比較すると、商業施設や公園、飲食店、商店街などでマンション居住者が戸建居住者を上回っています。(図3)
これらの調査結果から、持家居住者の永住志向には、戸建では「住まい」そのもの、マンションでは「地域のさまざまな場所」への愛着が関連していることが示唆されています。このレポートでは、こうした傾向が高齢者の永住志向に対して、住みかえを余儀なくされる場合に、住みかえ先の選択性を考える上で、重要な意味を持つのではないかと指摘しています。当社の昨年度仲介実績において、売却のお手伝いをさせていただいた個人の方の4割近くが60歳以上の方々であることを考えると、この報告の指摘は、我々不動産仲介業者が「住みかえ」をお手伝いする上でも、重要なテーマを提供されているように思います。
(担当:池田 徹)
企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課
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