知っておきたい
一戸建て購入のキホン
- 基礎知識
- 2017.10.11
一戸建て購入に必要な諸費用はどれくらい?
一戸建てを購入するときには、土地・建物の売買代金だけでなく、さまざまな諸費用が必要です。購入にかかる諸費用をあらかじめ見込んでおかないと、契約を終えた後で慌てることにもなりかねません。いったいどのような諸費用が必要なのか、その種類とおおまかな目安を知っておきましょう。
諸費用の総額の目安はどれくらい?
一戸建て購入における諸費用の目安は、一般的に新築の場合が売買価格の7〜8%程度、中古の場合が売買価格の6〜10%程度(いずれも仲介手数料を含むとき)とされることが多いようです。中古の場合の金額幅が広いのは、物件の条件などによる違いが大きいためです。
しかし、新築、中古のどちらであっても、物件による違いのほか、契約条件による違い、買主個人の条件(住宅ローンの借り方など)による違いもあるため、購入時に必要な諸費用が変わることもあります。住宅ローンの保証料を一括前払いにするのではなく、毎月の返済額に加算することで、購入時の諸費用は抑えられる代わりに毎月の負担が増えるケースもあるでしょう。
一戸建ての購入にかかる税金は?
一戸建てを購入するときの諸費用には、いくつかの税金が含まれます。軽減措置が適用されるかどうかによって金額が大きく変わることもあるので、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
登録免許税 | 【一定の要件を満たす場合の軽減税率】 土地の所有権移転登記:固定資産税評価額×1.5% 住宅用家屋の所有権保存登記:課税標準価格×0.15% 住宅用家屋の所有権移転登記:固定資産税評価額×0.3% 抵当権の設定登記:(土地)債権額×0.4% (建物)債権額×0.1% ※認定長期優良住宅、認定低炭素住宅などの場合はさらなる軽減があります。 |
不動産取得税 | 【軽減措置が適用される場合の税率】 土地:固定資産税評価額×1/2×3%-軽減額 住宅:(課税標準額-1,200万円)×3%(1997年以降に建築された住宅) ※認定長期優良住宅の場合は(課税標準額-1.300万円)×3% |
印紙税 | 【売買契約書の印紙税額の例】軽減後の税額 記載金額が1,000万円超、5,000万円以下の場合:税額1万円 記載金額が5,000万円超、1億円以下の場合:税額3万円 |
消費税 | 【消費税(8%)の課税対象】 課税業者が売主の建物部分(諸費用の目安には含まれていない金額) 仲介会社、金融機関、司法書士、土地家屋調査士などへ支払う手数料(報酬) |
贈与税 | 【2017年・2018年の場合】 省エネ性など一定の要件を満たす住宅購入の場合:非課税限度額1,200万円 それ以外の一般住宅購入の場合:非課税限度額 700万円 |
※軽減措置にはそれぞれ適用期限があります。
▼登録免許税
土地の所有権移転登記、家屋の所有権保存登記(新築の場合)・所有権移転登記(中古の場合)、住宅ローンに対する抵当権の設定登記などを申請する際に課税される国税です。床面積が50平方メートル以上で耐震性を有するなど一定の要件を満たす「住宅用家屋」には軽減税率が適用されます。
▼不動産取得税
購入後しばらく経ってから請求される都道府県税ですが、家屋の床面積が50平方メートル以上240平方メートル以下で耐震性を有するなど一定の要件を満たす一般的な住宅なら、軽減措置によって税額がゼロとなるケースも少なくありません。
▼印紙税
売買契約書、建築工事請負契約書、金銭消費貸借契約書(住宅ローンの契約書)などに課税される国税です。契約書の記載金額に応じて印紙税額は変わりますが、それぞれ軽減措置が適用されています。
▼消費税
新築住宅(課税業者が売主となる中古住宅を含む)の建物代金部分に課税されますが、それとは別に、諸費用として仲介会社、金融機関、司法書士、土地家屋調査士などへ支払う各種の手数料(報酬)に消費税が含まれることを理解しておきましょう。
▼贈与税
金銭などの贈与を受けたときに課税される国税ですが、親などからの一定の要件を満たす住宅取得資金の贈与であれば非課税措置の対象になります。
購入する際の手数料(報酬)は?
一戸建てを購入する際には、いくつかの手数料(報酬)が必要です。仲介手数料は金額も大きいため、支払いのタイミングも含めて事前によく確認しておきましょう。
仲介手数料 (仲介会社への媒介報酬) |
売買金額(消費税抜き本体価格)の「3%+6万円(別途消費税、売買金額が400万円超の場合)」が上限額になる。 |
司法書士報酬 | 登記申請手続きを代行してもらうための報酬。 |
土地家屋調査士報酬 (新築の場合) |
新築建物の表題登記をするための調査・図面作成費用などを含む。 |
住宅ローンを借りるときかかる諸費用
住宅ローンの申し込みや借り入れをする際にかかる、さまざまな諸費用にも注意が欠かせません。必須のものだけでなく、自分が選択することによって必要になるものもありますから、事前にしっかりと確認しておくことが大切です。
住宅ローン保証料 | 保証会社を利用するために必要。 ただし、借入時に現金で支払う場合(一括前払いまたは一部前払い)、保証料を差し引いて融資が実行される場合、毎月の返済金利に上乗せされる場合などがあり、必要な金額は借入条件によって大きく変わる。 |
事務手数料、融資手数料 | 借入手続きに伴う費用。 |
団体信用生命保険料 | 加入することが契約条件になっている場合が多い。 |
特約火災保険料、地震保険料 | 特約火災保険は加入することが契約条件になっている場合が多いが、地震保険は任意加入。 |
住宅ローン返済支援保険料 | 任意加入。 |
適合証明書交付手数料、物件検査手数料 | 住宅金融支援機構によるフラット35(全期間固定金利の住宅ローン)を利用するときには、その申し込みにあたり一定の検査機関による検査を受けて適合証明書を交付してもらう必要がある(有料)。 |
印紙税 | 住宅ローンの契約書(金銭消費貸借契約書)に課税。 借入金額1,000万円超、5,000万円以下の場合の税額は2万円。 |
さまざまな書類を取得するための諸費用
金額はそれほど大きなものではなく、それぞれ数百円程度ですが、一戸建て購入に伴い、一連の段取りの中でさまざまな書類が必要になります。
課税証明書・納税証明書取得費用 | 金融機関へ住宅ローンの審査を申し込む際、一定収入があることを証明するために必要。 |
住宅用家屋証明書取得費用 | 登録免許税の軽減を受けるために必要。 |
住民票・印鑑証明書取得費用 | 住宅ローンの申し込みや登記申請の際に必要。 ※必要な通数や取得するタイミングなどは営業担当者に確認。 |
登記事項証明書取得費用 | 司法書士へ依頼する場合、取得実費とは別に郵送手数料や取得手数料などが加算されることもある。 |
その他の諸費用
これまで見てきた諸費用以外にも、購入する物件によって、あるいは契約条件によって必要になる費用があります。その主なものを確認しておきましょう。
各種の清算金 | 固定資産税・都市計画税、土地の権利が借地権の場合の地代、私道負担金、町内会費などがあり、一般的に、引き渡し日を境にして日割りで清算する。 |
一時金 | 新築の場合の水道加入金(水道施設負担金)のほか、地域によっては町内会や自治会の一時金として、転入時にある程度の負担を求められる場合がある。 ※水道加入金制度がない自治体もある。 |
リフォーム・リノベーション費用 | 希望条件などによって大きく異なる。 |
耐震改修工事費用 | 築年数が古い一戸建てを購入するときに必要になる場合がある。 |
耐震基準適合証明書取得費用 (売主が取得していないとき) |
築年数が20年を超える木造一戸建ての場合は、耐震基準適合証明書を取得することで、住宅ローン控除をはじめとしたさまざまな税制特例の対象になる。 |
家屋調査費用・地盤調査費用 (売主が実施していないとき) |
売主が実施していない場合、買主の負担で実施。 |
老朽設備機器の交換費用 | 耐用年数を過ぎたような設備機器があれば、安全のためにも入居前に交換が必要。 |
さらに諸費用とは別に、購入した一戸建てへ入居する際には引越し費用や新しい家具・家電品の購入費用も必要になります。とくに家具や家電品は予算オーバーになりがちなので、計画的に購入することが欠かせません。
一戸建ての購入にはさまざまな諸費用がかかります。物件によってはさらに異なる費用が必要なことも。売買契約の前の段階で営業担当者にしっかりとチェックしてもらい、事前に分かる費用はできる限り明らかにしておくことが大切です。自己判断せずに、必ず営業担当者にアドバイスをもらうようにしましょう。