知っておきたい
一戸建て購入のキホン
- 選び方ノウハウ
- 2025.03.03
一戸建て購入時に後悔しない!初期費用や諸費用・ローン利用時の注意点を解説
一戸建ての購入は、人生の中でも一番といえるほど大きな買い物です。一戸建ての購入を決めたらまず何をするべきか、どれくらい資金が必要かなど、気になることも多いでしょう。本記事では、一戸建ての購入の流れや費用の相場、後悔しないためのポイントなどを詳しく紹介します。
目次
1. 一戸建て購入の流れ【まずやることは?】
2. 一戸建てを購入する際の主な選択肢
3. 一戸建ての購入費用の相場
4. 一戸建てを買うには物件以外にも費用がかかる
5. 一戸建てを買う場合も頭金も必要
6. 一戸建て購入後に発生する費用も知っておこう
7. 一戸建ての購入に必要な年収
8.【知っておきたい】一戸建て購入と年齢の関係
9. 一戸建ての購入で後悔しないためのポイント5つ
10.一戸建ての購入にはいろいろなお金がかかる!念入りな情報収集をしましょう
1.一戸建て購入の流れ【まずやることは?】
1.物件の情報収集・種別の選択
2.資金計画の立案
3.問い合わせ・物件(土地)の見学
4.候補の絞り込み
5.購入の申し込み
6.住宅ローンの事前審査
7.売買契約の締結
8.住宅ローンの申し込み・本契約
9.事前内覧会への参加
10.残金の決済
11.物件引き渡し・入居
一戸建てを購入する際の一般的な流れは、上記のとおりです。
まずはどのような一戸建てを購入するかを決めるために、物件に関する情報収集を行います。あわせて、予算を立てたり購入方法を考えたりしつつ、実際に物件(土地)の見学をしましょう。
購入する物件(土地)が決まれば、購入の申し込みへと進みます。並行して、住宅ローン審査や利用申し込みも行います。物件(土地)の売買契約、住宅ローンの本契約を完了したのち、残金の決済が完了すれば物件の引き渡しが行われ、晴れて入居します。
一戸建てを購入する場合、非常に多くの準備や手続きが必要です。大まかな流れを把握しておきましょう。
2.一戸建てを購入する際の主な選択肢
一戸建てを購入するにあたって、主に上記3つの選択肢があります。それぞれ、どういった種別の一戸建てなのかをみていきましょう。
2-1.建売住宅
建売住宅とは、デザインや間取りも決まっている物件です。これから住宅を建設できるように更地の状態で販売されているケースや、建物と土地がセットで販売されているケースなどがあります。
購入から入居までの期間は完成済みの物件で1カ月、建築前で4カ月ほどといわれています。実物を確認してから購入できるため、購入後に後悔しにくい点が特徴です。
なお、建売住宅とおおむね同じ意味で使われる言葉に、「分譲住宅」があります。分譲住宅は土地を区画分けして分譲地にし、似た規格の住宅を建てて販売する形態です。複数の一戸建てを販売するケース、一戸のみで販売するケースなどもあります。
2-2.注文住宅
注文住宅は、土地の購入から始まり、間取りやデザインを自由に決められる住宅形態です。最初に土地を探すことから始め、家の設計が決まってから建築を開始します。引き渡し・入居までに約1年以上の期間を要するケースが多いでしょう。
建売住宅に比べて物件の購入や引き渡しまでに時間はかかりますが、ハウスメーカー工務店や建材・設備を自由に選択でき、予算を柔軟に調整できる点が大きな魅力です。
2-3.中古物件
中古物件は新築に比べて購入価格を抑えられ、立地条件の選択肢が広がる点にメリットがあります。物件の状態も事前に確認でき、周辺環境がすでに確立しているため、入居後の生活のイメージが描きやすいでしょう。
ただし、築年数が古い一戸建ての場合、物件の購入費用に加えてリフォーム費用や維持修繕費用がかかるケースもあります。さまざまな費用を考慮した資金計画が必要です。
3.一戸建ての購入費用の相場
※注文住宅:建設費+土地取得費(1,000円以下の位切り捨て)で算出
※建売住宅、中古一戸建て住宅:購入価額(1,000円以下の位切り捨て)で記載
土地付き注文住宅、建売住宅、中古一戸建て住宅すべてにおいて、購入費用の相場がもっとも高いのは首都圏でした。首都圏はとくに土地の価格が高い傾向にあり、購入費用も高くなりやすいといえるでしょう。
土地付き注文住宅と建売住宅の購入費用を比べた場合、1,000万円以上の差が出ています。注文住宅は物件の間取りや設備、デザインなど細かな部分を自由に決められる分、建設費用が高く、土地を含めた購入費用も高くなりやすいといえます。
また、中古一戸建て住宅に関しては首都圏が圧倒的に高く、全国平均や他地域と比べても600万円以上の差があります。
参照:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
4.一戸建てを買うには物件以外にも費用がかかる
一戸建てを購入する場合、物件の購入費用以外にもさまざまな費用を考えておきましょう。具体的にかかる費用は、一戸建てを建てる地域や購入する物件の種類などによって異なります。
目安として、建売住宅の購入にかかる諸費用は、物件価格の6~9%程度です。すでに土地を持っている場合で注文住宅の購入にかかる諸費用は建築工事費の3~6%程度、土地付き注文住宅は合計費用の10~12%程度を見込む必要があります。
物件以外にかかる具体的な費用と金額の目安は、下記のとおりです。金額はあくまでも目安であるため、予算管理には注意しましょう。
【主な諸費用】
5.一戸建てを買う場合も頭金も必要
一戸建てをはじめ、住宅を購入する場合は、頭金も用意しておくべきです。その理由と頭金の目安をみていきましょう。
5-1.頭金を支払う理由
頭金は、住宅ローンの借入額と返済の負担軽減に役立ちます。一定以上の頭金を用意することで、借入金利が優遇される場合もあります。頭金を多く用意できるほど返済計画が立てやすくなり、将来の家計の安定性が高まるでしょう。
5-2.一戸建て購入時の頭金の目安
※全国平均、1,000円以下の位切り捨てにて記載
※表内()の数字は、購入価格に占める割合
一戸建ての購入方法によって、頭金の相場は異なります。頭金の目安はおよそ300万〜700万円です。注文住宅は物件の建設費用が高い傾向にあるため、頭金の割合も土地付き注文住宅や建売住宅に比べて高い傾向にありました。
頭金にいくら必要という明確な目安はありません。手持金からいくら出せるかによるため、金額は人によって異なります。住宅ローンの返済額の負担をできるだけ抑えたいという場合には、頭金を多めに出しておくことがおすすめです。
参照:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
6.一戸建て購入後に発生する費用も知っておこう
費用が発生するのは一戸建ての購入前だけではありません。将来を見据えた資金計画を立てるためにも、一戸建ての購入後に発生する費用もしっかりと確認しましょう。
6-1.税金の目安
一戸建ての購入後に発生する税金と金額の目安は、下記のとおりです。
固定資産税と都市計画税は、家を所有している限り毎年発生する税金です。セットで課税され、1年分をまとめて、または年4回に分けて納税します。
一方、不動産取得税は、一戸建ての購入時発生する1回限りの税金です。各自治体によって支払い時期は異なりますが、一般的には物件の取得日の半年から1年後となります。
6-2.保険料の目安
火災保険料と地震保険料は、セットで組むことが多い保険です。保険料は、「地域」「建物の構造」「補償内容」によって変動します。
ただし、地震保険料は全国どの保険会社でも保険料は一律です。具体的には、「建物の耐火性」や「地域の自然災害の起こりやすさ」「一戸建てかマンションか」などによって、一律の保険料が変わってきます。
6-3.家の修繕費の目安
築年数が経過するにつれて、キッチンや浴室、トイレといった水回りの設備や、雨風にさらされる建物の外壁や屋根などの劣化が進みます。いずれも一般的に、新築から10〜20年経った頃を目安に修繕が必要となる可能性があります。
水回りであれば200万〜250万円程度、外壁や屋根などの修繕には200万~300万円程度の費用がかかるケースが多いでしょう。
なお、修繕を行う時期はあくまでも目安です。突然の不具合や修理で慌てないよう、修繕費の積み立てを行うなどして資金計画を立てておくとよいでしょう。
6-4.維持費を抑えるための工夫
メンテナンスフリーの建材を選択することで、長期的な維持・修繕費用を抑えられます。ただし、まったく劣化しないわけではなく、自分でできる範囲の日常的な点検や補修によって大きな劣化を防げるということです。
耐久性の高い素材を使用することで、長期的に見て修繕費用を抑えられるでしょう。
7.一戸建ての購入に必要な年収
では、一戸建てを購入するには具体的にどれだけの年収が必要なのでしょうか。ここでは、必要な年収の計算方法と目安を紹介します。
7-1.必要な年収の計算方法
必要な年収を計算する上でポイントとなるのが「返済負担率」です。
返済負担率とは、年収に対する住宅ローンの年間返済額の割合を意味します。大手都市銀行で住宅ローンを組んだ場合、返済負担率は30~40%以内に抑えるのが無理のない範囲とされています。
ただし、借入額や金利条件によって必要な年収は変動します。ご自身の年収を踏まえて、無理のない返済計画を立てることが大切です。
7-2.必要な年収の目安
参考サイトの調査(※)によると、首都圏で土地付き注文住宅と建売住宅を購入するのに必要な資金の相場は以下のとおりです。相場をもとに必要な年収の目安を算出しています。
※建売住宅、中古一戸建て住宅:購入価額(1,000円以下の位切り捨て)で記載
※必要な年収の目安:購入金額÷返済期間35年÷返済負担率30%で算出(1,000円以下の位切り捨て))
なお、一戸建ての購入価格の相場は地域によって大きく変動します。周辺環境や最寄り駅のアクセスなど、利便性のよいエリアほど住宅自体の価値が高まるため、必要な資金も高くなるでしょう。
一戸建ての購入に必要な具体的な金額と年収を照らし合わせ、無理のない資金計画を立てましょう。
参照:住宅金融支援機構「2023年度フラット35利用者調査」
8.【知っておきたい】一戸建て購入と年齢の関係
結婚や妊娠・出産など、ライフスタイルの変化を機に一戸建ての購入を検討する方が多いでしょう。一戸建ての購入は、資金面を考えると年齢も関係してくるものです。ここでは、一戸建て購入と年齢の関係をみていきましょう。
8-1.30代で住宅購入を決断する人が多い
国土交通省の調査によると、下記の住宅種別では30代での住宅購入がもっとも多い割合を占めています。
- 注文住宅
- 注文住宅(新築)
- 分譲一戸建て住宅
- 分譲集合住宅
30代は結婚や出産などのライフイベントが多い年代であり、住宅購入はそのタイミングと合致していることがうかがえます。その背景には、若いうちに購入することでローンの返済期間を長く設定できる利点があることが考えられます。
8-2.住宅ローンの審査に通りやすい年齢
一般的には、35歳前後が住宅ローンの審査にもっとも通りやすいといわれています。なぜなら、その年代は安定した収入と将来の返済能力が評価されやすい時期であるからです。勤続年数やキャリアを積み上げることで年収も上がっていくため、資金面での将来性に期待できる年代ともいえます。
そのため、一戸建て購入を検討するには、勤続年数と年齢のバランスがよい貴重な時期を大切に考えるとよいでしょう。
8-3.月々の返済額を考慮する
年齢が上がるほど返済期間が短くなり、月々の返済額が増加します。年金は老後の生活費に充てると考え、マイホームは定年退職までに返済を終えることを考慮した計画が必要です。なお、住宅ローンの返済期間は平均35年で設定されるケースが多くみられます。
8-4.早いうちから計画的な貯蓄がおすすめ
住宅購入を見据えた貯蓄は、20代のうちから始めることが望ましいでしょう。自己資金が多いほど物件選びの幅が広がり、理想の住まい・暮らしを実現できる可能性が高まります。
住宅は購入して終わりではなく、継続的にかかるお金は住宅ローンの返済だけではありません。購入費用だけでなく、将来の修繕費用も考慮した資金計画を立てることが必要です。
9.一戸建ての購入で後悔しないためのポイント5つ
一戸建ての購入は、人生のビッグイベントです。それだけお金もかかり、今後の生活にも大きく影響します。後悔しないためにも5つのポイントを押さえましょう。
9-1.周辺環境を慎重に確認する
一戸建てを購入するとその地にとどまることになるため、周辺環境は非常に大切です。スーパーや商業施設、病院や最寄り駅など、生活に必要な施設が自宅から行きやすい場所にあるか、ご近所さんの雰囲気のよさや閑静さなどは重要なポイントです。
物件の見学だけでなく、周辺にある施設やご近所さんの印象などの外部環境も可能な限り事前に情報収集しましょう。
9-2.家族構成や生活の変化も想定して物件を選ぶ
子どもを持つことや親との同居を考えている方などは、将来の家族構成やライフスタイルの変化も想定して物件を選ぶことがポイントです。たとえば、今の子どものことだけ考えて間取りを決めてしまうと、将来また子どもが増えたときに部屋が足りなくなってしまうでしょう。
とくに、すでに間取りが決まっている建売住宅や中古物件などの場合は要チェックです。
9-3.無理のない住宅ローン返済計画を立てる
一戸建ての購入には、物件(場合によっては土地も含む)の購入費用に加えて、購入後の税金や保険料、修繕費などさまざまな費用がかかります。一戸建てを購入したことで生活が困窮してしまわないよう、ゆとりある資金計画を立てることが大切です。
住宅ローンの返済も無理のない範囲で計画しましょう。
9-4.修繕費や維持費もゆとりを持って確保する
とくに、中古物件の場合は選ぶ物件によっては修繕費が大幅にかかるケースもあります。新築に比べると建物自体の購入費用はそれほどかかりませんが、物件の状態によっては高額な修繕費がかかるでしょう。
そのため、購入費とは別で修繕予算なども念頭に置き、ゆとりを持った資金計画を立てることがポイントです。
9-5.信頼のおける不動産会社に相談する
一戸建ての購入は、人生で一番ともいえるほど大きな買い物です。購入した住宅に後悔しないためにも、信頼のおける不動産会社を選び、しっかりと相談しながら購入を決めることがおすすめです。
野村不動産グループの野村不動産ソリューションズ株式会社が運営する「ノムコム」では、新築・中古一戸建ての物件を多数掲載しています。首都圏、関西、名古屋エリアで一戸建ての購入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
10.一戸建ての購入にはいろいろなお金がかかる!念入りな情報収集をしましょう
ひとくちに一戸建てといっても、注文住宅や建売住宅、中古住宅とのその種類はさまざまです。新築か中古かによってもかかる費用は大きく変わってきます。さらに、物件の購入費以外にもさまざまな費用がかかります。一戸建ての購入で後悔しないためにも、さまざまな観点から購入する物件を選ぶことが大切です。
野村不動産グループの野村不動産ソリューションズ株式会社が運営する「ノムコム」では、首都圏、関西、名古屋エリアの新築・中古一戸建ての物件を多数掲載しています。一戸建ての購入をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
【監修者プロフィール】
萱谷 有香
叶税理士法人 東京事務所代表
不動産投資に特化した税理士事務所で働きながら収益物件について税務と投資の面で多くの知識を得られたことを活かし、自らも不動産投資を手がける。大手管理会社、ハウスメーカーや賃貸フェアなどでの講演実績があり、記事執筆も行う。
不動産投資の規模を拡大していくために、なくてはならない金融機関からの融資についても積極的に紹介やアドバイスを行う。金融機関から融資を引きやすい、または金利交渉をしやすい決算書の作成を得意とする。
物件購入前、物件保有中、物件売却時、相続時、どの時点で相談を受けても必ず投資家にプラスになるアドバイスを心がけている。
著書に『減価償却節税バイブル』( 技術評論社)、『売却益と節税を最大化 収益不動産「売却」バイブル』( 技術評論社)がある。