知っておきたい
一戸建て購入のキホン

選び方ノウハウ
2018.02.20

一戸建ての耐震性能。知っておきたい4つのポイント

頻繁に大きな地震が発生している日本。住宅を買うときにも、その耐震性能が気になりますよね。一戸建ての購入を検討するときには何に気をつければ良いのか、あらかじめ知っておきたいポイントをまとめてご紹介します。

「新耐震基準」と「旧耐震基準」の違い

一般的に、1981年5月までの耐震基準を「旧耐震基準」、それ以降の耐震基準を「新耐震基準」と呼んで区別しています。

「旧耐震基準」とは
1950年の建築基準法制定により、国内のすべての建築物に耐震設計が義務付けられました。その規定は日本各地で大きな地震が起きるたびに何度か強化されたものの、耐震基準の内容はおおむね「震度5程度の地震に耐えること」を想定したものにすぎず、それより大きな規模の地震は考慮されていません。

「新耐震基準」とは
1978年に発生した宮城県沖地震を経て、1981(昭和56)年6月に耐震基準が大きく見直されました。木造住宅における耐力壁の量の規定などが見直され、基本的に震度6強~7程度の大地震でもすぐには倒壊・崩壊せず、人命が損なわれるような壊れ方をしないことが想定されました。

震災の経験を踏まえた、2000年の建築基準法改正

「旧耐震基準」で建てられた住宅を購入するときには、その耐震性能をしっかり確認するとともに、必要に応じて耐震改修工事を実施することも考慮しなければなりません。しかし、1981年6月以前に建築された住宅は既に築37年、あるいはそれ以上経っています。そのような古い中古一戸建てを買うケースは少なく、また、古い中古を買うのであれば大幅な改修工事やリノベーションを前提にすることが多いでしょう。

木造の一戸建てを買うときには「新耐震か旧耐震か」よりも、むしろ意識しておきたいのは2000(平成12)年6月の建築基準法改正です。この改正により、地盤の特性に合わせた建物基礎の仕様が明記され、実質的に事前の地盤調査が必須となりました。また、耐力壁の配置に関するバランス計算が求められるとともに、柱や筋交いなどの接合部を固定する金具の種類などが具体的に規定されました。

この改正は阪神・淡路大震災の経験を踏まえたものであり、「2000年基準」あるいは「H12年新耐震基準」などとも呼ばれています。

それ以前に建築された一戸建てでも、設計者の裁量によって十分な対応をしている場合があります。しかし、1981年以降の「新耐震基準」であっても2000年までに建てられた木造一戸建てでは、基礎、耐力壁の配置、柱や筋交いの接合部などに弱点がある可能性も理解しておかなければなりません。

耐震等級の目安

■耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
等級3 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.5倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度
等級2 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)の1.25倍の力に対して倒壊、崩壊等しない程度
等級1 極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第3項に定めるもの)に対して倒壊、崩壊等しない程度
■耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)
等級3 稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第2項に定めるもの)の1.5倍の力に対して損傷を生じない程度
等級2 稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第2項に定めるもの)の1.25倍の力に対して損傷を生じない程度
等級1 稀に(数十年に一度程度)発生する地震による力(建築基準法施行令第88条第2項に定めるもの)に対して損傷を生じない程度

※参照:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」

2000年10月にスタートした「住宅性能表示制度」による「住宅性能評価書」では、耐震性能が等級1から3に分かれています。新築一戸建てのすべてが「住宅性能評価書」を受けているというわけではありませんが、評価書があるときはその内容をしっかりと確認しておきましょう。

ちなみに、国土交通省によると「住宅性能評価書」を受けた新築一戸建ては、「耐震等級3」の評価が多くの割合を占めています。また、中古一戸建てでも制度開始後に建てられていれば、建築当時の「住宅性能評価書」が交付されている場合もあります。

参考:国土交通省「新築住宅の住宅性能表示制度ガイド」

中古一戸建てを選ぶ基準

一戸建ての耐震性能を判断するためには建築年や耐震等級の数字だけではなく、以下のような観点でチェックすることも必要です。

【住宅の工法】
2×4(ツーバイフォー)工法はもともと壁の量が多く釘でしっかりと固定するため、地震には比較的強いものとされています。また、住宅メーカーによるプレハブ工法では独自の耐震技術を採用しているケースが多いでしょう。在来木造工法は2000年以降の建築かどうかが大きな節目となります。

「2×4(ツーバイフォー)工法」とは
一般の住宅で用いられることの多い「枠組壁工法」は、2インチ×4インチの規格化された部材を基本とすることから「ツーバイフォー」と呼ぶことが一般的です。枠組部材に構造用合板や石こうボードを張り付けたパネルを組み合わせて床、壁、天井を造っていくため、工期を比較的短くすることができ、耐震性、耐火性に優れるというメリットがあります。

「在来木造工法」とは
日本で最も普及し、歴史も古い工法ですが、時代に合わせてさまざまな改良が加えられています。鉄筋コンクリート造の基礎のうえに木材で土台を造り、柱や梁を組み合わせた骨組み(軸組)に床、壁、屋根を取り付ける工法です。間取りなど設計の自由度が高いほか、増改築工事が比較的容易にできるなどメリットも多い工法です。

【経年劣化の状態】
中古一戸建てでは経年劣化の状態にも注意しなければなりません。所有者のメンテナンス状況にも大きく左右されるため、しっかりと確認することが大切です。耐震性能に影響を及ぼす主な経年劣化には次のようなものがあります。

・ 壁や基礎のコンクリート部分や内壁に大きなヒビ、亀裂がある
・ 室内に雨漏りの跡がある(壁の中の見えない部分が腐っている可能性)
・ 室内の扉や窓、玄関など建具のたてつけが悪い(家や基礎に傾きが生じている可能性)
・ 床下にシロアリ被害がある

【一戸建ての形状】
あちこちデコボコしたような形状では、地震の際の揺れが不均一になり、負荷が一点に集中して損傷につながることもあります。1階よりも2階が出っ張っている、あるいは四隅が出窓などになっていて柱や壁が配置されていないなどの場合も注意しなければなりません。

【増改築の状況】
何度も増改築工事を繰り返していると、構造上で弱い部分が生じている可能性もあります。建築確認が必要な増改築工事の際に申請をしていなければ違反建築物の可能性も疑われるので、売主や営業担当者から、書類をしっかり見せてもらうことも必要です。

一戸建ての耐震性能は、専門家のアドバイスを

一戸建ての耐震性能についていくつかポイントを見てきましたが、どれかに当てはまったら絶対にダメというわけではなく、総合的に判断することが必要です。問題がある場合でも、耐震診断を受けて適切な耐震改修工事をすれば、解決できるケースも少なくありません。疑わしいところがあるときには営業担当者に確認し、耐震改修に必要な費用も含め、しっかりとアドバイスを受けるようにしましょう。

※本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めております。掲載内容については執筆時点の税制や法律に基づいて記載しているもので、弊社が保証するものではございません。

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