知っておきたい
一戸建て購入のキホン
- 基礎知識
- 2018.03.22
おさえておきたい接道義務のポイント
中古一戸建てを購入する際には、敷地に関連する道路についても重要な検討ポイントになります。人や車の出入りなど利便性だけではなく、道路の状況によって建築の可否が左右されることも。さらに、土地の資産価値に大きく影響することもあるため、住宅の敷地に関連する「道路」についてしっかりと理解しておきましょう。今回は、建築基準法による道路の種類や「接道義務」のポイントを紹介します。
2m以上の間口で「道路」に接することが必要
都市部で指定されている「都市計画区域」では、建築基準法により、住宅など建築物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接しなければならない」と規定されています。これがいわゆる「接道義務」であり、道路にまったく接していない敷地や、2mに満たない間口で道路に接する敷地では、原則として建築確認(建築工事などの許可を受ける一定の手続き)を受けることができません。とくに、旗ざお状の敷地や不整形な敷地では注意が必要です。
一般的な長方形の敷地なら接道義務が問題になるケースは少ないのですが、気をつけなければならないのは、対象となる道路があくまでも「建築基準法で認められた道路」だということです。見た目は道路そのものであっても、それが建築基準法で認められたものでなければ接道義務を満たすことにはなりません。
建築基準法で認められた「道路」の種類
道路については建築基準法第42条に規定されており、分かりやすく整理すると次のようになります。
建築基準法 | 道路の種類 | 道路の種類の説明 |
第42条1項1号 | 道路法による道路 | 国道、都道府県道、市町村道、区道で、幅員が4m以上のもの |
第42条1項2号 | 都市計画法などにより造られた道路 | 都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法など、一定の法律により造られたもの |
第42条1項3号 | 既存道路 | 建築基準法が施行された昭和25年時点(※1)で既に存在した、幅員が4m以上のもの ※1 建築基準法施行後に都市計画区域に編入された区域では、その編入日時点 |
第42条1項4号 | 都市計画法などにより2年以内に造られる予定の道路 | 道路法、都市計画法、土地区画整理法、都市再開発法など一定の法律により、2年以内に新設または変更される予定のものとして特定行政庁(※2)が指定したもの(現に道路が存在しなくても、そこに道路があるものとみなされます) ※2 建築確認事務を取り扱う都道府県または一定の自治体の長 |
第42条1項5号 | 特定行政庁から位置の指定を受けて造られる道路 | 他の法律によらないで造られる幅員4m以上、かつ一定の技術的基準に適合するもので、特定行政庁からその位置の指定を受けたもの(いわゆる「位置指定道路」) |
第42条2項 | 幅員4m未満で一定の要件を満たす道路 | 建築基準法の施行日または都市計画区域への編入日時点で既に建築物が立ち並んでいた、幅員が4m未満の道路で、特定行政庁が指定したもの(いわゆる「2項道路」「みなし道路」) |
上表のうち、最後の「第42条2項」による道路は、接道義務に定められた「幅員4m以上」の要件を満たしていませんが、道路の両側の敷地でそれぞれ「道路中心線から2mのラインまで敷地後退(セットバック)をして、将来的に4mの幅員を確保する」ことを前提に、「道路とみなす」ものです。
これらの条件のいずれにも該当しないものは、たとえその形状が道路と何ら変わらなくても、建築基準法のうえでは道路として扱われないことになっています。
また、「建築基準法による道路か否か」と「公道か私道か」はまったく関係なく、「公道に接していなければ建築できない」などということはありません。
建築基準法の道路か否かは、役所の建築指導を行っている部署(建築指導課、建築審査課など)で調べることができますが、気になる場合は不動産会社に問い合わせてみると良いでしょう。
「不適合接道」ってどういうこと?
建築基準法による接道義務を満たしていない敷地の場合でも、一律に建築が禁止されるわけではありません。たとえば古くからある水路に蓋をした「暗渠(あんきょ)」部分が道路状に整備されているとき、分類上は「水路」であっても道路に準じた取り扱いがされるケースは多いでしょう。
また、上記の接道義務は火災や災害時などにおける安全確保を目的としたものですから、建築基準法上の道路には接していなくても、代わりに恒久的な広場や公園に接するなどして安全が保たれれば大きな支障はありません。そのような場合に適用されるのが「建築基準法第43条ただし書き」です。
しかし、建築基準法上の道路にまったく接していない、あるいは道路に接する間口が2m未満で、「第43条ただし書き」を適用する余地もない敷地が少なからずあります。そのような「不適合接道」の敷地では、建物を新築することも、建築確認手続きを要するような増改築工事などをすることもできません。そのような土地が販売される場合の不動産広告には「再建築不可」などと明記されているはずですから、しっかりと確認してください。
複雑な道路の見分け方は専門家に相談を
道路に関する部分では、法律の原則どおりにはいかない難しい問題が生じやすいのものです。
たとえば、「2項道路」における敷地のセットバックにあたり道路の中心線が基準とならないケース、前面が幅員4m以上の道路なのに敷地後退を求められるケース、大正時代からの古い規定が適用されている道路のケースなど。いずれにしても断片的な情報による早合点は禁物です。営業担当者や宅地建物取引士からの説明をよく聞くようにしましょう。