知っておきたい
一戸建て購入のキホン

最新動向
2017.02.14

東京都内でも一戸建てとマンションの価格差が縮小! 一戸建てが買いやすくなった!?

最近は新築・中古ともマンション価格の上昇が目立つ一方で、一戸建て価格は比較的安定して推移しているため、両者の価格が接近。さらに「一戸建てが買いやすくなった」という声も聞かれます。いったいどのような状況なのか、データをもとに確認してみましょう。

一戸建てとマンションの価格差は年々縮小し、2016年には逆転

大都市圏における不動産価格の上昇傾向が表れ始めたのは2012年後半あたりからですが、その大きな要因は建設コストの上昇です。景気対策による公共投資の増加、東日本大震災の復興需要、それに加えて2013年秋には東京五輪の開催も決まり、建設資材だけでなく建設作業員の人件費も高騰しました。

その影響を強く受けたのが新築マンションです。一戸建てでは価格に占める土地の割合が大きいのに対して、マンションは建物の割合が大きくなります。さらに、建設コストの上昇はとくに鉄筋コンクリート造などの建物に大きく作用したのです。

そのため、まず新築マンションの販売価格が上昇傾向を強め、それにつられるようにして中古マンション価格も上昇しています。その一方で、一戸建て価格は建設コスト上昇の影響をあまり受けず、長期的にみればほぼ横ばいの状況だといえるでしょう。

公益財団法人東日本不動産流通機構(東日本レインズ)のデータをもとに、首都圏における2002年以降の「平均成約価格」(四半期:3か月ごと)の推移をまとめたのが次のグラフです。

2002年には「中古戸建住宅」のほうが圧倒的に高く、その価格差は1,200万円以上ありました。その後の上昇局面で、2008年には600万円あまりの価格差に縮まりましたが、リーマン・ショックによる景気後退でどちらも下落傾向に転じています。そして、「中古マンション」が2013年頃から上昇傾向を強めたのに対し、「中古戸建住宅」には大きな変動がみられません。

マンション価格の上昇が4年ほど続いていることにより、2016年第4四半期(10~12月)には価格が逆転し、「中古マンション」が3,144万円、「中古戸建住宅」が3,023万円となっています。

地域別の価格傾向はどうなっている?

価格の傾向は地域によっても大きく異なります。平均成約価格(2016年)を都県別にみると、東京都と神奈川県はいずれも「中古戸建住宅」のほうが、依然として500万円あまり高い状態です。しかし、かつては2,000万円を超えるような価格差もあったことを考えれば、かなり接近してきたといえるでしょう。

埼玉県では戸建てとマンションの価格が僅差になり、千葉県では逆転しています。

さらに細かな地域区分でみるとどうでしょうか。東京・都心3区(千代田・中央・港)では戸建ての物件数が少なく集計対象になっておらず、マンション価格が突出しています。また、都心寄りのエリアでは地価が高いために戸建価格も高くなりがちですが、都心から離れるにしたがってマンション価格と戸建価格が接近する様子が分かるでしょう。

東京23区でも城東地区(台東・江東・江戸川・墨田・葛飾・足立・荒川)では、中古マンション価格が戸建価格を上回っています。

また、東京都の城南地区(品川・大田・目黒・世田谷)や城西地区(新宿・渋谷・杉並・中野)におけるマンション価格は、城北地区(文京・豊島・北・板橋・練馬)の戸建価格に近く、同じ23区内でも視点を変えることで選択肢が広がりそうです。

価格指数でみるとマンション価格の上昇が際立つ結果に

「平均成約価格」のデータはある程度まで平準化されているとはいえ、物件の築年数や立地条件などによるバラツキも含まれます。そこでもう一つ、国土交通省がまとめている「不動産価格指数(住宅)」を紹介しましょう。

これはIMF(国際通貨基金)などが中心となってまとめた国際指針に基づくもので、物件の立地や特性による価格への影響を除去した「同一品質の物件」を仮定し、2010年の平均値を100として指数化したものです。

このグラフは東京都における指数の推移を表していますが、マンション価格が近年、右肩上がりで上昇している様子が一目瞭然でしょう。前年同月比でみると2013年4月から43か月連続で上昇しており、2016年10月は132.5でした。

それに対して2016年10月の「戸建住宅」は104.4で、2015年3月から小幅な上昇傾向が続いているものの、ここ数年間はあまり変わっていない状況といえそうです。

東京都における新築分譲平均価格の推移も確認してみましょう。建売住宅は東京都全体、新築分譲マンションは区部と多摩地域を分けたデータであり単純には比較できませんが、2013年に区部の新築マンション価格が建売住宅価格を上回り、2014年、2015年とその差が開いています。

その一方で、多摩地域の新築分譲マンション価格にはあまり大きな変化がみられません。供給エリアや供給戸数が絞り込まれていることの影響も考えられそうです。

いまならどちらも比較検討できる

マンション価格が上昇し、一戸建て価格が高いままなら、以前より買いにくくなったのではないかと疑問を抱く人もいらっしゃるでしょう。しかし、物件価格だけでなく住宅ローン金利の動向も加味して考えるとどうでしょうか。

長期固定金利の【フラット35】では、2013年時点で2%前後だった金利が現在は1%前後で推移しています(融資率9割以下の場合)。仮に35年返済で4,000万円を借りれば、総返済額は金利2%で約5,565万円、金利1%で約4,742万円となり、800万円あまりの差が生じます。価格があまり変化していない一戸建ては、そのぶん以前よりも買いやすくなっているといえそうです。

従来は「予算が足りないから一戸建てを諦めてマンション」という選択をする人も少なくありませんでした。しかし、いまは同じ予算で両方を検討できるエリアが多くなっています。あまり先入観にとらわれず、営業担当者のアドバイスも受けながらよりよい物件選びをしてください。

※本コラムは、執筆者の知識や経験に基づいた解説を中心に、分かりやすい情報を提供するよう努めております。掲載内容については執筆時点の税制や法律に基づいて記載しているもので、弊社が保証するものではございません。

注目情報

価格差が縮小? 一戸建ては今が買い時!
マンション価格上昇が続くなか、一戸建てとの価格差が接近。今なら、同じ予算内で一戸建てが選択肢に入るかも?
さっそく物件をチェック!
  • 新築一戸建て
  • 中古一戸建て

一戸建て・土地を探す

不動産の売却・査定

売却・買いかえの第一歩は、まず価格を把握することから!

査定したい物件の郵便番号