知っておきたい
一戸建て購入のキホン
- 購入の流れ
- 2017.03.06
知っておきたい、一戸建て購入の流れ・段取り
一戸建ての購入は、ほとんどの人にとって初めての経験。どのタイミングで何をすれば良いのか、分からないことも多いはずです。思わぬ失敗や勘違いをしないためにも、物件の情報収集から契約、引き渡し、入居までの基本的な流れを理解しておきましょう。
物件の情報収集を始める前に
一戸建て購入の段取りは物件の情報収集から始まりますが、あらかじめ希望条件を整理しておくことの他に確認しておきたいのは資金計画です。細かな内容は物件探しをする中で営業担当者のアドバイスを受けながら詰めていけば良いのですが、明確にしておきたいは次の2点です。
□ 購入費用に充てることができる自己資金はいくらか
□ 毎月負担することができる金額はいくらか
手持ちの現金や預貯金をすべて購入費用に充てたのではいざというときに困りますから、ある程度の余裕を持たせたうえで「住宅購入の自己資金」として使える金額がいくらなのかを確認しておきましょう。
また、住宅を購入した後は住宅ローンの返済だけでなく固定資産税や都市計画税、保険料などもかかるため、それらを含めたうえで「無理なく住居費として毎月負担できる金額」がいくらまでなのかを明らかにしておきます。
物件購入の基本的な流れ
一戸建てを購入する際の流れや段取りは、物件によって細かな部分で少し違うケースもありますが、基本的なところはほぼ共通です。主なポイントを理解しておきましょう。
1.情報収集をする
まずは自分が希望するエリア、沿線、最寄り駅にどのような物件があるのか、物件検索サイトや広告などで確認してみましょう。このとき自分の希望とは違う物件も含めて、初めは幅広く見ていくことで次第に相場観がつかめるようになります。いくつかの物件をチェックするうちに、買いたい物件のイメージも具体的になっていくでしょう。
2.仲介会社へ問い合わせをして物件見学をする
見てみたい物件、気になる物件があれば、仲介会社に問い合わせをして見学の段取りをしてもらいます。鍵の手配や、居住中の中古一戸建てでは売主との調整なども必要なため、少し余裕をみて希望日時を伝えましょう。新築一戸建てで「現地売出し」をしている場合には、直接出向いて見学することも可能です。
3.見学を繰り返しながら購入候補物件を絞り込んでいく
1件目の見学をしただけで購入を決める必要はありません。物件を見極めるためには慣れも必要です。見学を何度か繰り返すことで、次第に自分の希望条件やこだわりポイントなどが明確になっていくこともあるでしょう。
ただし、物件を数多く見過ぎることで、かえって購入物件を絞り込むことができない状態になってしまうケースもあります。別々の仲介会社で1件ずつ見学することも非効率なばかりか、なかなか希望条件にマッチする物件にたどり着けない結果にもなりかねません。
そのような事態を避けるためには、信頼できる営業担当者を見つけたら、あとは見学する物件の紹介を任せてしまうほうが良いでしょう。営業担当者とのコミュニケーションを深めることで、物件に対する希望や優先順位、資金計画の詳細などをしっかりと理解してもらうことができます。
最終的に購入候補物件を決めるため再び現地を見学したいときには、遠慮なく営業担当者へ伝えるようにしてください。
4.購入の申し込みをする
納得できる物件が見つかったら「購入申込書」に必要事項を記入します。これは売主に対して購入意思を明確にするためのものですが、契約条件の交渉などがあるときもその内容を記載します。また、新築一戸建てでは数万円の「申込証拠金」が必要になる場合もあります。
購入申込書に対して、売主から「売渡承諾書」が出される場合もありますが、これはケースバイケース。常に発行されるとはかぎりません。
5.住宅ローンの事前審査を受ける
住宅ローンを借りるつもりでも、金融機関がそれに応じてくれなければ先に進むことができません。そのため、事前審査を受けて「仮承認」を得ておくことが一般的です。
6.重要事項説明を受ける
売買契約に先立って、宅地建物取引士から重要事項説明を受けます。購入物件について法律による制限の内容や設備の状況、契約条件に関することなど説明は多岐にわたり、いきなり説明されても分かりづらい部分があるでしょう。
できれば事前に重要事項説明書と売買契約書のコピーを受け取り、しっかり目を通しておきたいものです。分からないことがあれば、納得できるまで質問をして構いません。
7.売買契約を締結する
重要事項説明を受けて問題点がなければ売買契約に進みます。通常は売主が同席したうえで売買契約書の読み合わせを行い、双方が署名・押印をします。それと同時に買主は手付金を支払います。この手付金は残金決済のときに売買代金へ充当されます。
売買契約が成立した後は原則として後戻りすることができません。買主の都合で契約をやめようとすれば支払った手付金を放棄したり、タイミングによっては違約金の支払いを求められたりすることになりますから、内容をよく理解したうえで契約に臨むことが大切です。
8.住宅ローンを申し込む
売買契約を締結したら速やかに住宅ローンの正式な申し込みをします。事前審査はあくまでも仮のものであり、正式な申し込みを受けて金融機関は本審査をします。事前審査で承認を受けていても本審査が通らないこともあるので注意しなければなりません。万一、本審査で承認が得られなかった場合には、契約書の条項に基づいて売買契約は白紙解除されることが一般的です。
9.内覧・引き渡し前の現地確認をする
売買契約の際に未完成だった新築一戸建ての場合には、引き渡し前に建物の状態をチェックする機会が設けられます。建物の仕上がりなどに問題があれば指摘し、引き渡しの日までに直すよう依頼しましょう。
中古一戸建ての場合には、売買契約が終わってから現地で売主立会いのもと、隣地との境界確認をするほか、物件見学をしたときから変化はないか、売主が退出した後の残置物がないかなど、引き渡し前の現地確認をします。それ以外にも契約条件に基づく現地確認が行われる場合があるでしょう。
10.住宅ローンの契約、残金決済をして物件の引き渡しを受ける
住宅ローンの契約(金銭消費貸借契約といいます)を事前に済ませたうえで残金支払いの当日に融資が実行される場合と、残金支払い日に住宅ローンの契約と融資をまとめて行う場合がありますから、営業担当者の指示に従ってください。
売買金額から手付金を差し引いた残りの代金全額を支払うのが「残金決済」です。この残金決済によって物件の所有権が買主へ移り、通常は司法書士に対して所有権移転登記(新築建物は所有権保存登記)の申請を依頼します。また、固定資産税・都市計画税は1月1日現在の所有者(売主)が支払うため、残金決済日(引渡日)を境にして売主との間で日割清算をすることが一般的です。
物件の引き渡しは鍵や必要書類の授受によって行われますが、新築一戸建ての場合には設計図書一式など、かなりの量の書類が渡されることもあります。これらの書類はしっかりと整理して大切に保管するようにしましょう。
11.入居する
引き渡しを受けた物件にいつ入居するのかは自由ですが、住宅ローン控除の適用を受けるためには「6か月以内に入居すること」が一つの要件です。入居まで6か月以上かかるケースは少ないでしょうが、年末近くに引き渡しを受けたときは12月31日までに入居しないと、その年は住宅ローン控除が適用されないので注意しなければなりません。
なお、住宅ローン控除の申告は入居した年の翌年3月15日までにすることが原則です。住宅ローン控除などの「還付申告」は1月から受付が始まるため、早めに手続きを済ませると良いでしょう。給与所得者であれば、2年目以降の住宅ローン控除を年末調整で受けることもできます。
12.不動産取得税の申告をする
一定の要件を満たす一戸建ては、不動産取得税の軽減措置を受けることができます。その申告期限は自治体によって異なり、取得した日から10日以内、30日以内などまちまちです。期限を過ぎても特段の罰則はありませんが、手続きをスムーズにするためにも期限内に申告しておきたいものです。
13.登記識別情報を受け取る
登記手続きが完了すると、法務局から登記識別情報が送られてきます。これは従来の不動産権利証に代わるものですから大切に保管しておきましょう。