2017年にリセールバリューが最も高かった駅は「京都市役所前」の153.5%
対象駅の約1/4が100%超え
リセールバリューと相場賃料には明確な"正の相関関係"
近畿圏におけてリセールバリューが算出可能だった駅は291駅で、その平均値は92.0%となった。
従来から住宅地として人気の高い阪神間エリアで資産価値が維持・向上している駅が多いことはもちろん、2013年から直近にかけての価格高騰局面において国内外の富裕層からのセカンドニーズが旺盛な京都エリア、さらに駅前や街の大規模再開発によって生活利便性が高まったことで職住近接の居住エリアとして実需・投資の両ニーズを集めている大阪市中心部に位置する駅でもリセールバリューの上昇が目立っている。
主要駅におけるリセールバリューを色分けした路線図を見ると、青色で示されたリセールバリューが100%以上の駅は大阪市、神戸市および京都市の各中心部に多く分布しており、その他にも大阪市中心部へのアクセスが良好な阪神間エリア、北摂エリアおよび京阪間エリアなどにも確認することができる。
大阪市中心部に関しては、梅田北ヤードでの大規模再開発を端緒に市内各所でも商業施設や日常生活を送る上での利便施設などが整備されて職住近接の居住エリアとして新たに認識され始めたこと、さらにやや抑え目な価格で分譲されていたことも相俟って、今回のように高いリセールバリューを示す結果となった。
対象となった291駅の内訳を見ると、青色が71駅(シェア24.4%)、緑色が68駅(同23.4%)で、全体の5割弱の主要駅で近畿圏平均のリセールバリューを概ね上回っていた。
なお、駅数では橙色の100駅(同34.4%)が最多で、基本的には近郊~郊外エリアに分布しているものの、前述の3都市中心部にもいくつか散見されている。また、赤色は42駅(同14.4%)を数え、新築分譲時に比べて資産価値が3割以上も目減りした桃色については僅か10駅(同3.4%)に留まっている。
2017年に最もリセールバリューが高かった駅は、京都市営地下鉄東西線「京都市役所前」の153.5%で、築10年中古流通時のマンション価格が新築分譲時に比べて5割以上も上昇していたことになる。
京都エリア、とりわけ市内中心部では景観保護条例の下で分譲マンションの供給が事実上抑制されており、中古マンションといえども希少性の高さから元々資産価値が保たれやすい状況にある。
さらに、最近では世界的にも人気の観光地として知名度が年々高まるに連れて、国内外の富裕層がセカンドハウスとして買い求める動きも強まってきていることから、築10年中古流通時のマンション価格は近畿圏で最も高い坪351.0万円を記録している。
京都市中心部からは、京都市営地下鉄烏丸線の「丸太町」や「烏丸御池」もランクインしている。第 2 位以下の大半は大阪市や神戸市の中心部に位置している駅となっているが、数的には大阪市中心部の方が圧倒的に多い。
また、「大阪」や「梅田」、「心斎橋」や「難波」など、主だった商業エリアに位置する駅名が並んでいることからも、職住近接エリアに対するニーズの高さが垣間見られる。
主要駅におけるリセールバリューと相場賃料を散布図にグラフ化したものを示すと、賃料水準が高いほどリセールバリューが高くなるといった"正の相関関係"にあり、賃料水準が同程度の場合においては表面利回りとリセールバリューの関連性についても認められる。
また、賃料水準が高い駅ほど表面利回りも高く、例えば相場坪賃料が8,000円/月以上で表面利回り=4%未満の駅は存在していない。
高い表面利回りを示す駅の大半は大阪市中心部に位置しているのだが、これらの駅においては新築マンション価格が賃料見合いで割安に設定されていたことになる。
最近では高額なタワーマンションが数多く供給され、かつてほど賃料水準に対する価格の割安感もなくなってきてはいるものの、近畿圏においてもマンション購入に際して資産性を重要視する場合には、賃料水準が高いエリアや物件を極力選ぶことが肝要であるという認識は十分当てはまる。
高価格帯の上位駅は、その半数が京都市中心部に位置している。特に、百貨店をはじめとする多くの商業施設が集中している四条烏丸交差点を中心としたエリアに偏在しており、JR 京都駅からのダイレクトアクセスが可能な京都市営地下鉄烏丸線の沿線駅が6駅も登場してきている。他にも鴨川沿いに位置し、有名な神社・仏閣などに近い駅が名を連ねている。
これらの駅は富裕層による旺盛なセカンドニーズによって資産価値が高く保たれているわけだが、やはりシーズン毎に利活用する上で優れた利便性や市内観光の拠点性を有していることがエリア選別における重要なポイントとなっているようだ。
中価格帯の上位ランキングでは大阪市中心部に位置する駅が13駅を数える。第 1 位は「なにわ橋」の149.4%で、上位20駅の全てでリセールバリューが100%を大幅に上回っている。
大阪市中心部では大規模再開発を契機に職住近接に適した居住エリアとしての認識が広まったことで実需・投資ニーズが高まりつつあると言及したが、資産価値の上昇度合いからもニーズのトレンドが大きく変化している様子を窺い知ることができる。
低価格帯の上位ランキングに登場する駅の大半は、阪神間エリア、北摂エリアおよび京阪間エリアに位置している。それ以外もほとんどが大阪府、兵庫県ならびに京都府といった主要な府県に該当し、例外は第11位にランクインした「南草津」のみである。
当該駅の新築マンション価格は京阪間エリアに比べて 2 割程度も安価で、JR 線の新快速を利用すれば大阪駅まで 1 時間程度、京都駅まで 30 分程度でアクセスすることができる。
近年では住環境の良さを求めて移り住む子育てファミリー層も増えており、その支持を受ける形で資産価値が1割ほど高まる結果となった。
竣工から10年間が経過した分譲マンション(本調査ではサンプル数を確保するために築後9年~11年の物件)のうち、現在中古流通している物件を抽出し、分譲当時の価格と現在の価格から算出した指数。
リセールバリュー(%) = 中古流通時の価格 ÷ 新築分譲時の価格 × 100
なお、専有面積 30 m2未満、事務所・店舗用のユニットは集計から除外している。また、駅毎で数値を算出するにあたっては一定以上のサンプル数を有する駅に限って掲出している。
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