駅近だけじゃない。意外なマンションお得エリア探し

2011年10月28日

マンション選びでは利便性が重視されるのは事実ですが、駅近が一番とは限りません。少し駅から離れたほうが人気の高いエリアもあります。皆さんは、見落としていませんか？　中古マンションの幅広い魅力を。

一般的に、都市部の住宅は、鉄道の最寄駅に近いほうが人気は高くなります。一戸建て購入希望者よりもマンション購入希望者のほうがその傾向は強いでしょう。利便性を重視する方がマンションを希望するケースが多いともいえます。

そのため、「駅から徒歩5分以内」のように条件を限定して探している方も珍しくありません。通常は駅に近いほど価格も高くなりますから、予算が合わない場合に「仕方なく」駅から徐々に離れた立地で探すというパターンです。

希望条件は人それぞれですから、利便性を優先順位の第１番目に挙げているなら、それもいいでしょう。ただ、住環境や居住スペースのゆとりも併せて吟味したい場合は、あまり利便性の条件を限定しすぎるのは得策ではありません。選択肢を狭めてしまうおそれがあるからです。そこで今回は、少し立地条件の枠を広げて検討することのメリットを紹介します。

「駅に近いほうが、人気が高い」と最初に書きましたが、エリアによっては、この法則が当てはまらないケースがあります。特に都心部の富裕層が好むエリアに関しては、正反対の反応です。

都心部でも、緑豊かな元麻布の街並み

たとえば港区の広尾や麻布といえば、高級住宅地として人気の高いエリアですね。このエリアの購入希望者は、駅に近いエリアよりも、駅から少し離れた丘の上にある元麻布や南麻布で物件を探しているケースが少なくありません。こちらのほうがハイグレードなマンションが多いからです。周辺は、平安時代に遡る古刹の麻布山善福寺などを擁する由緒ある場所であるとともに、大使館やインターナショナル・スクールがあるなど国際色が豊かな装いがあります。こうした雰囲気も富裕層に好まれる条件の一つです。

あるいは、品川区では、池田山、島津山、花房山、御殿山、八ツ山という「城南五山」と呼ばれるエリアが高級住宅地として知られています。その名の通り、小高い丘の上にあり、駅からは徒歩10分以上です。江戸時代には大名の武家屋敷があった歴史の古いエリアで、明治時代から政財界の大物が屋敷を構えていました。その跡地にハイクラスなマンションが点在しています。渋谷区では、松濤や神山町などが同様のエリアです。

これらのエリアに共通するのは、1区画の敷地が大きい一戸建てを中心とした低層住宅が集まり、緑が豊かで風格のある街並みを形成していること。マンションも3階建て以下の低層タイプが基本です。低層でも高台にあるため、通風や日当たりの条件は整っています。

前述したエリアの評価が高いのは、今現在の住環境が優れているだけでなく、将来に渡って優れた環境が保たれると期待されるからです。

都市計画法で定められた用途地域としては、第一種や第二種の「低層住居専用地域」といわれる地域が多いため、建ぺい率・容積率、高さ制限などが厳しく、４階建て以上の中高層住宅は建築できないようになっています。そのため、商業ビルやオフィスビルが混在した中高層マンションが多い駅近のように、近隣に高層ビルが建って景観や開放感が損なわれる心配はありません。住環境を乱すような商業・遊戯施設も規制されています。

閑静な住宅街には、低層のハイグレード・マンションが似合う

また、プラン面でも優れているマンションが並んでいます。事業主のデベロッパーが目の肥えた富裕層を満足させるために付加価値を高めているからです。ゆとりを持った敷地計画に始まり、建物の外観、エントランスやロビーなどの共用部分、各住戸の間取り・設備仕様まで、非常に凝ったつくりになっています。いわゆる「ヴィンテージ・マンション」が建っているのも、多くはこれらのエリアです。

少し視野を広げて探してみると、こうした価値あるマンションが見つかる可能性が高くなります。