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中古マンション最新トレンド
30年後も「マンション価格が下がりにくい街」とは?
2018年2月27日
<今回のポイント>
- 30年たってもマンション価格が下がりにくい駅は?(P.1)
- 江戸時代から変わらない区画割り、震災にも耐えた「牛込台地」(P.1)
- 「神楽坂」駅のすぐ近くにも、中古マンションが豊富(P.2)
- ブランドマンションが集まる隠れた邸宅地「市谷○○町」(P.2)
30年たってもマンション価格が下がりにくい駅は?
一般に「都心マンションの資産価値は高い」と言われます。しかし、同じ都心部でも、マンション価格の変化の仕方はどのエリアも同じというわけではありません。市況変化に敏感に反応するエリアもあれば、ジワジワと変化するエリアもあります。今回は、後者の注目エリアを紹介しましょう。
図1は、不動産鑑定・調査会社である東京カンテイの調査・分析による「築30年の中古マンションの利回りの低い駅」のランキング上位5駅です。都心3A(青山、赤坂、麻布)エリアにある「麻布十番」や「広尾」もランクインしていますが、意外なことに、第1位は都営大江戸線「牛込神楽坂」駅です。駅名を聞いても、ピンとくる人は少ないかもしれません。
このランキングは、「低利回りが維持されている=賃料下落より価格下落がゆるやか」、つまり価格が下がりにくいという前提に基づいています。新築時から10年ごとにマンションの平均利回りを調べ駅別に分析、築30年の利回りが低い順番にランクを付けたものです(利回りの考え方について、詳しくは下記の注記と図2を参照)。
※注:利回りは「年間賃料÷物件価格」。首都圏全体の傾向では、築年が経過するにしたがって利回りは上がり、新築で4.44%、築30年で6.19%となる(図2)。これに対して、図1の駅は築年数が経過しても低利回りを維持しており、「賃料の下落より価格の下がり方が小さい」ということになる。
ではなぜ、都心部の中でも「牛込神楽坂」駅周辺のマンション価格が特に下がりにくいのでしょうか。
江戸時代から変わらない区画割り、関東大震災にも耐えた「牛込台地」
都営大江戸線「牛込神楽坂」駅は、2000年12月に開業した比較的新しい駅です。ここでは、同駅を中心に、少し範囲を広げて「神楽坂」駅(東京メトロ東西線)から「市ヶ谷」駅(東京メトロ有楽町線・JR総武線)にかけてのエリアについて考えてみましょう。行政区としては新宿区の北東部にあたり、神田川、外堀通り、外苑東通りに挟まれた範囲です。
もともとこのエリアは「牛込台地」にあたります。実は、牛込地域を表す江戸切絵図を現代の地図に重ね合わせて見ると、道路がほとんど一致します。つまり、江戸時代から現代まで街の基本的な区画がほとんど変わっていないということです。
しかも、江戸時代の地名の多くが、そのまま現在も生きています。箪笥町(たんすまち)、細工町(さいくまち)、納戸町(なんどまち)、払方町(はらいかたまち)など、いずれも徳川幕府の旗本・御家人などの下級武士が、職制ごとに集まって住んでいた組屋敷でした。さしずめ「江戸の公務員宿舎」といってもいいかもしれません。
組屋敷は間口の狭い小規模な敷地割のため、区画の大きな大名屋敷が多かった千代田区番町や麹町とは違い、明治以降も大がかりな再開発が行なわれなかったようです。市谷砂土原町、市谷船河原町も江戸時代に由来を持つ町名です。
神楽坂通りの周辺には職人や商人が中世から住み、また多数の寺院周辺は門前町として賑わっていました。山の手の武家文化と下町文化が混在し、独特の風情を醸し出す街だったといえます。明治時代になると、武家地が町屋に変わると共に、花街・演芸場・寄席などの遊興施設が発達し、名物料理店などが揃う粋な街として、文士や学者などが移り住んできました。
牛込台地は、関東大震災の被害も軽微でした。被害を受けた下町の大手百貨店がこぞって神楽坂に臨時店舗を出し、一時は「山の手随一の繁華街」と呼ばれたそうです。太平洋戦争の東京大空襲では、建物の多くは消失したものの、区画が大きく変わる復興開発は行なわれませんでした。こうした経緯が、古い地図と同じ状態に保たれることにつながったのでしょう。
昭和から平成の初期にかけてのバブル期には、新宿・渋谷などターミナル駅を核とした巨大開発、自由が丘や代官山など若者向けの刺激的な街づくりに押され、目立たない時期もありました。しかし、2000年以降には、新しいコンセプトのレストランやバーが進出するようになり、「大人が楽しめる粋な街」として再び注目度が高まっています。
江戸のカタチと情緒を受け継ぐ街並み、そして、リニューアルを繰り返しながら人々を惹きつける文化やグルメ、これらが根強い住宅ニーズを支え、地域の資産価値を維持しているのではないでしょうか。
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