狙い目物件が隠れている？「東急沿線」の注目エリア

2012年10月23日

首都圏の2大人気沿線といわれる「東急田園都市線」「東横線」に隠れがちではあるものの、住み心地の良い住宅地として知る人ぞ知る存在が、城南エリアを走る複数の東急線沿線です。その魅力を解剖します。

東急沿線といえば、「東急田園都市線」と「東急東横線」の2大沿線の人気が高いですね。どちらも、JR山手線の渋谷駅を起点に、東京の城南エリアから横浜方面まで伸び、周辺に良好な住宅地が続いています。

ただ、この2つの沿線の周辺エリアで中古マンションを探そうとすると、価格もそれなりに高くなります。都内では予算が合わない場合には、横浜方面まで幅を広げて探すケースが多くなるかもしれません。なかには、どうしても都内に欲しいというこだわりを持っている人もいるでしょう。

そんな方におすすめなのが、東急田園都市線と東急東横線のように、都県をまたがって遠距離に渡る本線ではなく、都内近距離圏を中心に走る東急沿線、「大井町線・目黒線・多摩川線・池上線」の周辺です。目黒区、世田谷区、品川区、大田区といった城南エリアを中心に網の目のように路線があるため、複数沿線／複数駅を利用できる住宅地が多くなっています。

このエリアは、東急2大沿線にくらべると相対的に価格が低くなります。その一方で、江戸時代から徐々に形成された古くからの街で、神社仏閣や緑が多く、教育施設や庶民的な商店街も充実しています。都心の近くにありながら、住環境が整い、子育てファミリーにも暮らしやすいエリアといえるでしょう。次に各沿線の特徴を紹介します。

都内近距離圏の東急沿線の中で、比較的価格帯が高めなのが「東急大井町線」沿線です。特に、「自由が丘」駅と「二子玉川」駅に挟まれた世田谷区内に入るエリアでは、駅より数分歩いたあたりから高級な住宅地が広がっています。

たとえば「上野毛」には"お受験"で知られる「伊東学園上野毛幼稚園」があります。幼稚園から高校まで一貫教育を行う「田園調布雙葉学園」も、最寄駅は「九品仏」です。このエリアの近くに住む著名人や芸能人も多く、隠れた人気エリアといわれています。

等々力の戸建て住宅街に溶け込むようにたたずむ低層マンション

「等々力」には23区内唯一の渓谷「等々力渓谷」に加え、全長80mを超える都内随一の大型の前方後円墳「野毛大塚古墳」などがあり、自然環境にも恵まれ、歴史的にも古くから居住されていた安心・安全なエリアであることが伺えます。

中古マンションのストックは、容積率が150％以下の低層住居系の地域がほとんどのため、3～5階建て以下の中低層タイプが中心です。敷地周りに豊富な植栽をあしらい、一戸建て住宅地の中に溶け込むように建ち、重厚なたたずまいを見せている物件が少なくありません。

比較的高級な住宅地としては、「東急池上線」の「旗の台」から「東急目黒線」の「洗足」にかけてのエリアも挙げられます。実は、東急電鉄の前身である田園都市株式会社が大正時代に最初に手がけたのが「洗足田園都市分譲住宅」でした。田園調布の先駆けとなる開発で、購入者のほとんどは、高級官僚、軍人、会社重役で占められる高級住宅地だったのです。現在も、一区画の敷地面積が広い邸宅が残っています。

東急池上線・大井町線「旗の台」駅から徒歩5分の「ホーマット・レオナ」。集合住宅とは思えないゆとりある敷地周りと手の込んだ和風庭園が風格を醸し出す

一戸建て中心の住宅地のため、中古マンションも低層タイプが豊富です。都心の高級住宅地にしかないヴィンテージ・マンションの代名詞ともいわれる「ホーマット」も、このエリアに建っています。都心以外で億ションとして流通しているマンションがあることが、地域の魅力の高さを物語っているといえるでしょう。

池上線沿線では、蒲田に近い「久が原」や「池上」あたりまで良好な住宅地が広がっています。久が原は城南エリアの会社役員の居住者が多い街としても知られています。

庶民派商店街の代表「戸越銀座」は全国区の知名度

逆に、五反田に近い都心寄りのエリアには、「○○銀座」の発祥の地であり、関東有数の長さを誇る商店街である「戸越銀座」があります。東急目黒線にもアーケード商店街で有名な「武蔵小山」があります。いずれも下町風情の残った生活しやすい街として根強い人気があります。大型マンションは少ないのですが、幹線道路沿いに高層マンションが並び、中古マンションのストックも豊富です。