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資産価値も左右する「マンションのコミュニティ」

2014年5月30日

マンションの管理サービスは、ここ数年で大きく進化しています。その背景にある重要なキーワードが「コミュニティ」です。マンションでの快適な暮らしにおいて、管理とコミュニティがどう関わるのかを考えてみました。

良好なコミュニティとは?

マンション選びにあたって、管理の良し悪しを重視する人が増えてきました。「安心安全快適なマンションライフ」を送り、資産価値を維持していくには、管理がポイントになることが一般に知られるようになってきたからです。

マンションの管理をチェックする上で「良好なコミュニティの形成」が重要だといわれています。初めてマンション購入を検討している人にとっては、マンションの「コミュニティ」といってもピンとこないかもしれませんね。しかし、今後はより重要なキーワードになってくると思われます。今回は、なぜコミュニティが重要なのかについて考えてみましょう。

大規模マンションのイメージ写真
大規模マンションは、開発規模だけでなく、居住者のコミュニティも大きい

コミュニティというのは、直訳すると「共同体」です。「地域のコミュニティ」の大切さについてよく耳にしますが、マンションにおける場合の大きな特徴は、一つの建物に集まって暮らしていることです。困ったときの助け合いという観点だけでなく、物理的な「建物」と生活空間の管理という共同作業をしています。

ですから、マンションにおける「良好なコミュニティ」のポイントの一つは、居住者同士の交流が活発であるだけでなく、維持管理を含めた共同で行う活動やそのための話し合いがスムーズに行われていることです。

「良好なコミュニティ」が生まれていないと、資産価値にも悪影響を与える可能性があります。たとえば、外壁などの大規模修繕を必要なタイミングで実施するには、事前に管理組合の中で活発に議論され、一定の合意形成が行われていなければなりません。

ところが、管理に無関心な居住者が多いと、話し合いがうまく進まずに、ずるずると意思決定が先延ばしになってしまいます。適切な修繕工事ができなくなるおそれがあるのです。

小規模なマンションでは、管理会社がリードして居住者の意見をまとめ、計画修繕を進めることもあります。しかし、規模が大きくなるほど、居住者の意見の集約に手間がかかるため、コミュニティの存在感も増して来るといえるかもしれません。

デベロッパーがコミュニティ形成のサポートに力を入れ始めた

コミュニティの重要性の高さは、専門家の間では以前から指摘されていました。しかし、良好なコミュニティを形成するのは難しいといわれています。こうした状況に対して、マンションを分譲した大手デベロッパーが管理会社と協力して、コミュニティ形成のサポートをする動きが広がっています。

「エアーズシティ」のイベントの様子
野村不動産分譲「エアーズシティ」のイベントの様子。子どもからお年寄りまで多様な世代が集まって交流する

たとえば、従来の「管理合同説明会」に代えて、入居予定者同士の自己紹介やゲームを交えて交流のキッカケづくりにつなげる「入居挨拶会」や「顔合わせパーティー」などを行うケースも少なくありません。引き渡し後も、定期的な防災訓練や、普段は入れないマンションの屋上や機械室、備蓄倉庫など、共用部の見学会も行われています。
また、外部の企業と連携して子供向けのスポーツ教室やガーデニング講座、田植え体験などのユニークなイベントを提案・開催しているマンションも増えています。

大手デベロッパーが、建物や設備の保証を行うアフターサービスというハード面だけではなく、コミュニティ形成の支援のようなソフト面のサービスを始めた背景の一つに、自社ブランドのマンションを購入した既契約者の満足度を高めたいという意図があります。立地や建物のプランが良いだけでなく、実際に住み始めてから満足しているかが、ブランド価値につながることを意識し始めたからともいえます。

たとえば「野村不動産」は、「プラウド」というマンション・ブランドを立ち上げて5年後の2007年に、既契約者に対する「住み心地満足度調査」を実施しました。その結果、「現在の住まいを不満に思う」要素の第1位に「コミュニティ・住民の意識やマナー」が挙がったのです。これを機に、前述のようなコミュニティ重視の活動を始めたところ、3年後の2010年の同様の調査では、コミュニティが原因で不満に思う比率が下がり、満足度が改善しています。
その後も、グループの管理会社である「野村不動産パートナーズ」と連携してコミュニティサポート活動を充実させており、人気ブランドマンションとしての地位向上に繋がっています。

2011年の東日本大震災を機に、防災対策におけるマンション・コミュニティの重要性が改めて見直されるようになりました。災害が発生したときの安否確認助け合いがスムーズに行われるためには、普段から居住者同士が顔見知りになり、共同作業の経験を持っていることが大切だからです。

そのため、デベロッパーや管理会社の取り組みも、以前にも増して活発になっています。管理会社による「防災ガイドブック」の配布や、マンションごとの「震災対応マニュアル」作成のサポートなどもコミュニティ支援の活動の一つです。

「コミュニティが良好かどうか」は、外からは見えにくいものです。確認するには、管理組合総会の議事録を閲覧する、管理員に日頃のコミュニティ活動の状況を聞く、などの方法があります。
それでも分からない場合は、コミュニティ支援に積極的なデベロッパーが分譲した物件を選ぶのも一つの方法でしょう。

編集協力:AllAbout

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