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タワーマンション管理費と修繕積立金、高い?安い?

2015年6月 9日

根強い人気のタワーマンション。「管理費って安いの?高いの?」「積立金が大幅に値上がりするって本当?」と心配する人も多いようです。そこで今回は、タワーマンションの管理費と修繕積立金について考えてみました。

管理費に影響する駐車場稼働率。負担の大小は管理運営の腕次第?

今後、タワーマンションの管理費や修繕積立金がどうなっていくのかを考えてみましょう。

マンション分譲時の初期設定管理費は、戸数規模や階数に関わらず5~10%程度値上がりしているところもあるようです。これは、消費税率の引き上げ、物価上昇などの影響を受けているためです。管理費の内訳は様々ですから、どのくらい上昇するかについても、経済情勢全般の動きにリンクしてくるのではないでしょうか。

コンシェルジュなど人的サービスが多い大規模タワーマンションは、人件費の高騰の影響を受けやすいといった面もあるかもしれません。しかし、値上げの必要な場合でも、管理会社から一方的に管理費の値上げ通告が来るわけではありません。管理費の値上げは、管理組合総会の議決で決まります。

管理内容の仕様を変更することによって負担を少なくしたり、値上げを防いだりすることができるわけです。たとえば、清掃や植栽手入れなどの回数や範囲、コンシェルジュ・サービスの対応時間や日数を見直すなど、さまざまな対策が可能です。

注意したいのは、最近問題になっている駐車場の稼働率です。ほとんどのマンションで、駐車場利用料は管理費や修繕積立金に充当されています。駐車場の空きが多くなると利用料収入が減り、想定の充当額に足りなくなるおそれが出てきます。その結果、管理費や修繕積立金を値上げせざるを得なくなるケースもあるでしょう。

特にメンテナンス費用のかさむ機械式駐車場の場合は、利用の有無にかかわらず保守点検は必要なので、稼働率が低いと深刻な問題となります。対策として、機械式駐車場を撤去して平置きにしたり、駐輪場・バイク置き場に変更したりする管理組合もあります。

あるいは、空いているスペースを時間貸しやカーシェアリングで外部に貸すことによって、副収入を得るマンションもあります。以前は、一部でも外部に貸してしまうと、駐車場収入全体に課税されるおそれがあるために実行できないケースも多かったようです。しかし、国税庁から「課税対象は外部に貸して得た収入のみ」という見解が2012年(※)に出たため、有効活用の幅が広がりました。

タワーマンションの場合、棟内のタワーパーキング方式や地下駐車場にしているケースも多く、これらは撤去できないため、有効活用の道を検討するほうが賢明かもしれません。こうした管理に関する「経営努力」をしているマンションかどうかによって、管理費は変わってくるといえるでしょう。



(※)国土交通省の照会「国住マ第43号 平成24年2月3日」に対する同年2月13日の国税庁の回答。募集方法や契約内容など条件によっては、課税関係が変わる場合があります。個別に確認したうえで行う必要があることに注意してください。

タワーマンションも大規模修繕の事例が登場。修繕技術の進化に期待

修繕積立金についても、やや上昇気味といえます。震災復興需要の影響で職人不足が続き、東京五輪開催に向けた建築ラッシュで建築費も上がっているからです。今後も、経済情勢に応じて上昇する可能性はあります。プールや温浴施設など、特に維持コストの高い共用施設が併設されている場合には、修繕費の値上がり率が高くなるかもしれません。

月々の修繕積立金額を抑えるため、分譲時に一括で納める修繕積立基金の金額を増やす傾向もあるようです。東京都区部では平均50万円を超えました(マンション管理新聞社「2014年下半期管理費等初期設定調査」)。

タワーマンションのイメージ写真
イメージ(本文とは直接関係ありません)

タワーマンションは、2000年前後の比較的新しい物件が多く、まだ大規模修繕を経験した物件が少ないため、修繕費の高騰を過度に危惧する声もあります。専門家の間でも、さまざまな課題が指摘されているのも事実です。ただし、タワーマンションの大規模修繕の先例がないわけではありません。黎明期にできたタワーマンションは既に築20年を超え、何度かの大規模修繕を経験しているケースがあります。

たとえば、東京都中央区の総戸数400戸弱、40階建てのマンションは現在築26年で、これまで10年目と18年目の2度に渡り、外壁修繕を実施しています。どちらもゴンドラによる補修工事でしたが、この10年で超高層向けの新しい特殊ゴンドラが開発され、補修工法も進化しているため、1回目よりも2回目のほうがスムーズに進んだそうです。

今後も、大規模修繕の技術革新は期待できるしょう。点検や劣化診断にあたってロボットを活用する手法など、コストダウンの技術も研究されています。

もちろん、想定外の理由でコストが膨らむリスクもあり得ます。しかし、それは必ずしもタワーマンションだけの問題ではありません。最近のマンションは、販売時に30年程度の長期修繕計が作成され、12~15年目、24~30年目などに大規模修繕を行う予定が組まれています。そのために、修繕積立金が段階的に引き上げられる予定になっていることが普通なので、知らない間に極端な値上げをされるということは考えにくいのです。

また、長期修繕計画は5年程度ごとに調査・診断した上で見直すことが国土交通省のガイドラインで推奨されています。その都度、劣化状態や経済状況を踏まえて修繕コストのシミュレーションをして、その後の修繕サイクルの調整(予定通りか、前倒しにするか、先送りにするか)、計画に盛り込む項目を議論して長期修繕計画を作りなおします。

その上で、必要に応じて修繕積立金をどの程度値上げすればいいのか、借入金の活用も検討するかなど、方針を決めて行きます。その話し合いの主体は管理会社ではなく、マンションの区分所有者です。理事会で検討し、管理組合の総会で合意されてはじめて決定となります。

中古マンションの購入では、買ってすぐに修繕積立金が値上げされたとか、一時金が徴収されたという声を聞くことがあります。ただ、それは事前に調べることである程度防ぐことが可能です。物件選びの際に、不動産仲介会社の担当者に頼んで管理規約や総会の議事録を取り寄せ、過去の修繕履歴や長期修繕計画の内容、修繕積立金の見直し状況、現状の積立残高などを確認しておけば、購入した後に驚くことはないでしょう。

こうした修繕にかかわる書類が整っていないマンションがあるとすれば、それは要注意です。「マンション総合調査」によると、全体の数%程度と割合は少ないものの、長期修繕計画のないマンションも存在します。20階建て以上のタワーマンションの場合は、長期修繕計画の実施率が100%です。一般のマンションに比べて、タワーマンションのほうが大規模修繕問題に向き合っているといえるかもしれません。

編集協力:AllAbout

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