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中古マンション最新トレンド

中古マンションの「査定価格」と「売出価格」の違い

2015年9月15日

「今すぐ自宅を売り出したら、いくらぐらい?」「隣のマンションが高く売れたみたいだけど、うちならもっと高く売れるのでは?」「そもそも中古マンションの価格って、どう決まるの?」――そんな疑問に答えます。

都心タワーマンションは特殊なマーケット

前頁では基本的な査定の「方程式」を紹介しました。ただし、都心のタワーマンションの場合には、こうしたマニュアルが通用しないため、査定が難しくなっている面があります。

通常の査定マニュアルは、最寄駅から徒歩10分前後、築10年前後、12~14階建て、総戸数100~200戸程度までの一般的なファミリータイプのマンションを想定して組み立てられています。

こうしたマンションの6~7階部分の中間住戸を標準住戸として平均坪単価を出し、階数が上がればプラス、下がればマイナスします。向きでは、東南角住戸が一番高く、南→東→西→北の順に下がるという具合に、ある程度まで機械的に評価できるのです。

しかし、40~50階建て以上の超高層タワーで、総戸数が500戸を超えるようなメガマンションでは、マンションそのものの個別性が高く、従来のマニュアルが想定している状況とは一致しません。都心のタワーマンションの場合、たとえ隣同士でも「マンションが違えば街が違う」とすらいえるほど、それぞれ独自の"相場観"が形成されています。そのため、マーケットで売れる価格を導き出すアプローチも異なるのです。

そこで、ひとつのツールとして重要になるのが、新規分譲時の価格表です。分譲では、1棟のマンションの全ての住戸にバランスよく申し込みが入るよう、階数や向きの違いを比較しながら、買主がもっとも納得できるであろう金額を、緻密なマーケティングによって値付けしているものだからです。

併せて、倍率が高くて人気があった住戸なのか、逆に売れ残って値下げしたのかなど、分譲当時の販売状況も吟味します。さらに注意したいのは、分譲してから現在までの環境変化です。眺望が売りのタワーマンションで、隣に新しいマンションができて正面の視界が遮られるようになってしまうと、評価はガクンと下がります。

それから、昨今の購入者層の変化についても考慮する必要があります。都心のタワーマンションに対しては、外国人投資家の"インバウンド投資"や国内富裕層の相続税対策の取得が目立ち、価格に対する判断が、マイホームのために購入する実需層とは異なるためです。グローバルな視点から、分散投資する目線で判断した投資利回り税務上の評価なども検討します。

このようにして割り出した査定価格に、「流動性比率」と私たちが呼んでいる係数を掛け合わせます。これは不動産会社ごと、あるいは営業担当者ごとに「営業力」や「自信」を点数化したものです。また、不動産会社によって売却をサポートするサービス体制も異なります。不動産会社による査定価格の違いが出るのは、こうした要素もあるからといえるでしょう。

売主の希望、事情、同一マンション内の売出状況を見て「売出価格」を決める

不動産会社が出した査定価格を基に、売主の希望を取り入れながら売出価格を決めます。売主としては「なるべく高く売りたい」と思うのが人情でしょう。査定価格より少し高めで売り出したい、という方がほとんどです。しかし、査定価格より大幅に高い価格を付け、それが相場とあまりにもかけ離れてしまっていると、購入希望者からの問い合わせもなく、売れ残ってしまうリスクも高まります。

どのレベルで折り合いをつけるかを考える上で、売主の置かれている事情を重視するのが一般的です。売主が買いかえで新居の引き渡し時期が決まっているなど、何らかの事情で現金化を急いでいるような場合には、信頼できる仲介業者の査定価格に近い価格で売り出すのが、安全かもしれません。

逆に、特に期限を決めず「この金額以上で売れるなら売りたい。ダメならやめる」という期待感で売り出すなら、少し強気で「査定価格+5~15%」くらいに設定するケースもあります。相場より高いと長期化するリスクが高いのですが、買主の側にも色々な事情があり、相場より多少高くても「この場所でどうしてもマンションが欲しい」という人もいるため、うまくマッチングできれば売買が成立することもあります。

最近のように、都心の不動産価格が右肩上がりの時には、「高く売れるなら売る」という売主が増加します。相場が過熱していると、それでも売れてしまうこともありますが、いくら人気のあるタワーマンションでも同時に10戸以上も売りに出ていると危険です。現に7月以降、都心のタワーマンションの中には、強気の売出価格が連鎖して値段がつり上がってしまい、買い手がついてこれずに物件が滞留しているマンションが散見されるようになりました。


買主側も勉強しており、インターネットで売出状況をウォッチングしたり、同好の士と情報交換したりしています。購入検討者が「いずれ下がるはず」と一斉に様子見に入ると、相場全体が値上がり基調でも、個別物件ごとに価格調整が入る可能性があります。


このように、市況の動きに加えて、同一マンション内の売出状況も考慮しなければなりません。何戸くらいが売り出されたのか、反響はどうか、売れ残りは何戸くらいあるか...を把握しておく必要があるのです。それによって、売出価格の設定も変わりますし、場合によっては、売り出すタイミングそのものを考えるべきでしょう。



編集協力:AllAbout

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