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都心3区とは?築年数よりも立地が重視される理由

2017年7月14日

千代田区、中央区、港区などの高級マンションを購入しているのは、一部の“お金持ち”が多いと思われがちですが、実は30代の会社員も少なくありません。どのようなライフスタイル、物件選びをしているのでしょうか。

【資金計画】無理せず、賢く低金利の住宅ローンをフル活用

続いて、都心派の資金計画や物件選びの特徴を紹介します。都心派のみなさんは、資金計画について自身で事前に勉強されていて、自分なりのポリシーを持っている方が多いようです。

マイホームを持つ際の一般的なセオリーでは「購入価格の2割の頭金が必要」といわれますが、都心派の方は、必ずしもこうした考えにとらわれていません。例えば、手元に2,000万~3,000万円の余裕資金があったとしても、すべてを頭金に投入せず、「超低金利の追い風を最大限に活かして借入を増やしたい」という傾向が強いといえます。

こうしたニーズに応えてくれる金融機関も増えています。購入価格の全額を借りるフルローン、リフォーム代も含めて購入価格以上の融資をするオーバーローン(リフォーム資金セット型)もめずらしくありません。前ページのAやBがこの例です。

手持ちの自己資金は、別の投資商品などで運用し、いざというときはまとめて繰り上げ返済することもできるという考え方です。もちろん、手持ち資金が不足している方で、全額ローンを利用しているケースもあります。

その一方で、Cのように年収(課税所得)は1,000万円以下でも、自己資金を豊富に持っていれば都心マンションを購入できる場合があります。年収800万円で計算した借入可能額は5600万円程度(年収の7倍相当)ですから、住宅ローンだけで8,000万円の物件は購入できません。このケースでは、手持ち資金に親からの資金援助を合わせて、自己資金を3,000万円用意できたので購入できました。

たとえ親からでも、多額の資金をもらうと贈与税がかかります。しかし、図3のような贈与税の非課税制度住宅取得等資金贈与の特例)を活用すれば、贈与税はかかりません。この他にも「相続時精算課税制度」「親子間融資」など、自己資金を増やす方法はいろいろあります。適用条件や利用上の注意点がありますので、税務や融資の専門家に相談してみましょう。

また、民間金融機関は自営業者に対する融資審査が厳しい傾向がありますが、前述のCの例では、自営業者でも融資を受けやすい半公的制度である「フラット35」を利用しました。フラット35は、35年固定の金利が1.1%程度(2017年6月現在)と史上最低水準にあり、融資限度は8,000万円以下です。都心のマンション購入にも幅広く利用可能です。


【物件選び1】新築志向よりも、立地のバリューを重視! 築年の古さは気にしない

マンションの希望条件として、まず「新築か中古か」に分かれます。ここ数年で新築と中古を併せて検討する方の割合が増えてはいますが、一般的には、まずは新築を望む人が多い傾向です。最終的に中古を購入する場合も、予算内で広さや立地などの条件を満たす新築がないため、中古に流れるという傾向が見られます。

しかし、都心派の場合は、早い段階から中古に絞って検討しているケースが少なくありません。理由は2つあります。

【理由1】希望エリアを重視している。新築マンションに絞ると都心部の物件数は非常に少ないため、新築にはこだわらない。
【理由2】新築と中古との価格差が郊外に比べて大きい。中古の割安感が目立つ(相場をネットで調べているケースも多い)。


現在、都心の新築マンション価格は、坪(3.3m2)あたり700~800万円を下回りません。特にプレミアムな物件では坪あたり1,000万円を超えるケースもあります。総額では、20坪(66m2)の2LDKでも1億5,000万~2億円です。そうなると、年収2,000万円程度までの会社員では手が届かないかもしれません。

それに比べて、中古マンションであれば、都心3区でも坪あたり400万~500万円台にとどまっています。築年数の許容範囲を広げると坪あたり300万円台後半くらいから探せます。つまり、新築価格に比べて4~5割も低く、中古の割安感が目立ってくるわけです。

その結果、20坪程度の2LDKが7,000万~1億円の価格帯に収まるため、年収1,000万~1,500万円程度でも充分に購入可能です。やや築年数の古い、坪あたり350万円の中古マンションを買って、坪あたり50万円でリフォームかけ、総額で坪あたり400万円に収まるようにするというプランもよくありますね。


【物件選び2】「アクセスかアドレスか」で志向が分かれ、妥協しない

エリアへのこだわりが強いのが都心派に共通する点ですが、その中で「アクセス重視」と「アドレス重視」という2つのタイプに分かれます。

首都圏以外の地域から都内へ就職した方の場合、山手線ターミナル駅からの所要時間を限定するといった、「アクセス(交通の利便性)」へのこだわりが強いといえます。地方の富裕層が都内でセカンドハウスを購入する場合も同様です。

一方で、もともと都内で生まれ育った方は、広尾・麻布・青山などピンポイントの「アドレス(住所)」を希望する傾向が強いようです。道一本隔てた利便性に差がないところでもこの住所でなければ対象外、という強い思いがあります。その点でも、エリアやアドレスにこだわればこだわるほど、新築では条件に合う可能性が低いため、中古オンリーで探す割合が高くなります。

エリア以外にも、妥協できない条件を持っている都心派は少なくありません。中間エリア(都心と郊外の中間のエリア)で総額4,000万~5,000万円台の予算で探す場合は、希望条件の70点くらいを合格点とするようアドバイスされます。限られた予算内で、それ以上満足する物件は出てこないからです。しかし、都心派は、あくまでも80点、90点を超える物件を目指します。「その条件に合わなければ無理して買う必要がない」という考え方です。

それでいて、購入したマンションに永く住み続けようという意識が薄いのも特徴です。「家族が増えたから」といったライフステージの変化に加え、「大型のアンティーク家具が入るリビングが欲しい」「山側の眺望が飽きたから、オーシャンビューのタワーに移りたい」といった理由で、3~5年で買い換えるケースもあり、同じマンション内や近隣マンションに引っ越す例もあります。つまり、賃貸で住み替えるのと変わらない軽やかさで買い替えるのです。

こうした自由な買い換えができるのも、他のエリアに比べて立地によって資産価値が保たれるからこそ。エンドユーザーを始め、投資家にも幅広いニーズがある都心のマンションならではといえるでしょう。

実際、都心派のお客様からは「資産価値はどうか」「いくらで貸せるか」という質問は、決まり文句のように出てきます。家賃相場を確認するのは、実際に貸すためではありません。投資家と同じように賃料から売れる価格を計算する収益還元法の目で見ているわけです。

今回は、都心派の中でも、シングル、DINKS、小ファミリー層の考え方の一端を紹介しました。理想の立地や物件を妥協せず、手の届く範囲で無理なく損なく実現しようとする彼らの考え方は、都心以外のエリアで検討している方にも参考になるのではないでしょうか?

編集協力:AllAbout

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