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都心で新築より中古マンションが選ばれる、本当の理由

2017年10月17日

首都圏では中古マンションの流通量(成約件数)が新築マンションの供給量を上回りました。実は、都心部では数年前から中古のほうが多かったエリアもあります。なぜ、新築より中古を選ぶ人が増えているのでしょうか。

都心の中古マンション市場は、多様な需要を呑み込む

都心の中古マンション・マーケットが新築を陵駕する理由の一つは多様性です。

都心の不動産仲介の店舗には、所得層もライフスタイルも異なる、実にさまざまな人々が訪ねてきます。

何代も続く資産家、弁護士などの"士業"の方々、ビジネスで成功したニューリッチ層、マスコミ関係者、個人投資家や投資会社の担当者、そして若いサラリーマン層もいます。

都心の中古マンションは「プレミアム」や「ヴィンテージ」の冠が付く億ションばかりではありません。こうしたバラエティに富んだニーズに応えられるほど層が厚く、懐が深いのが都心の中古マンション・マーケットなのです。

たとえば、30代前半のDINKSが、「いつかは、あのヒルトップのヴィンテージに住みたい」という目標をもって、職場の近くにある手ごろなマンションからスタートするとしましょう。16坪(約53m2)・2LDKで4,800万円(坪単価300万円)の中古マンションなら、港区や渋谷区でも見つかります。

■例:千代田区周辺で、2LDK×5000万円までのマンションを探す≫≫

また、築30年以上でも1,000~1,500万円かけてフルリノベーションすれば、新築に負けないほど見違えるでしょう。総額6,000万円前後で、自分たちのこだわりのデザイン、インテリアをとりいれた空間を作ることができます。リノベーション済みマンションなら、中古と新築の中間の価格帯で選ぶことが可能です。

■港区赤坂のリノベーション事例

大きめのアイランドキッチンはダークブラウンの木目調で、フローリングやインテリアと統一感を持たせている。
デベロッパー(開発業者)・仲介業者・リフォーム業者が連携して、既存の中古マンションをリノベーションするサービスも。
写真は野村不動産グループの「bespo」(ビスポ)より。

ファッションもグルメも最先端のものが揃う街で感性を磨き、仕事も住まいもステップアップしていく。そのためのエネルギーを与えてくれるのが、職住近接の都心ならではのライフスタイルです。

そんなストーリーが夢物語ではなく実現可能な目標となり、「中古を買ってリノベーション」「リノベーション済みマンション」を志向する若い層が増えたことも、中古の流通量を押し上げている要因の一つでしょう。


進化したリフォームとの連携で中古住宅への不安を払しょく

中古マーケットが活性化してきた背景を探ると、国の住宅政策が「フローからストックへ」と転換した2000年までさかのぼります。図4のような流れをたどって、徐々に中古ストックの流通や活用を促進する政策が整備されてきました。

こうした政策が、中古マンションやリフォーム市場にじわじわと影響を与え、優れたリフォーム事業者、リノベーション済マンションの販売事業者が増えてきました。そのおかげでリフォーム技術もデザイン・センスもコストパフォーマンスも、以前に比べて格段に進化しているのです。定額制リフォームの普及など、予算面での安心感につながるサービスの充実も需要を後押ししています。

リフォームの内容についても、設備や内装など目に見える部分にとどまらず、床下の給排水管の更新、遮音対策、開口部の省エネ性対策など、機能や性能を改善する工事を同時に実施する例も少なくありません。

仲介会社が提供し始めた「検査保証サービス」と併せて、中古住宅流通のネックの一つだった「耐久性や品質への不安」が払しょくされつつあるのは間違いないでしょう。

中古住宅の流通を促進する政策のサポート、民間サービスの充実はますます進みことが期待されます。そして、新しい中古ストックの活かし方、中古マンションの暮らし方が生まれて来るかもしれません。

編集協力:AllAbout

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