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2021年地価公示・コロナ禍で全用途平均が6年ぶり下落

2021年03月24日

国土交通省は23日、21年1月1日時点の地価公示(標準地=2万5993地点)を発表した。全国の全用途平均は6年ぶりに下落に転じ、△0.5%(前年は+1.4%)となった(表1)。全国の住宅地は△0.4%(+0.8%)で5年ぶりの下落。全国の商業地は7年ぶりの下落となる△0.8%(+3.1%)。

新型コロナウイルスの影響が織り込まれる地価公示は今回が初で、インバウンドの消滅と飲食店の需要減が商業地の地価を直撃した。住宅地は一部で上昇を維持し、全体の下落幅は商業地より小幅でとどまった。また、三大都市圏が住・商ともに軒並みマイナスとなるなか、地方4市(札幌、仙台、広島、福岡)が上昇を維持した。

コロナの影響で地価は全国的に弱含みとなったが、用途とエリアで様相は異なる。用途別の明暗は、上昇・横ばい・下落の地点数の割合で明らかだ。全国住宅地は上昇19%(前年44%)、横ばい23%(21%)、下落58%(35%)。全国商業地は上昇17%(59%)、横ばい19%(15%)、下落64%(26%)。

住宅地は取引減少や雇用・賃金情勢の弱まりはみられたものの、中心部の高級住宅地や近郊の住宅地で上昇が継続した。商業地は、観光をベースにしてこれまで上昇してきた地域や飲食店の集積エリアで大きく下落したものの、三大都市圏中心部から離れ、日頃の生活に密着した近郊の商業地では上昇地点もみられた。

下落圧力が強まるキーワード「商業×都心」が最も色濃く出たのは、インバウンド需要が強かった大阪圏だ。大阪圏の商業地は△1.8%(前年+6.9%)で、圏域別・用途別で最も低い変動率となった。今年、全国で最も下落した地点は、道頓堀の旧づぼらや(ふぐ店)があった「大阪中央5-19」で、△28.0%(+23.8%)。商業地の変動率全国ワースト10地点のうち、8地点を大阪中心地が占める結果となった。

名古屋圏も住宅地、商業地とも下落が目立つ。名古屋も商業地はこれまでインバウンドをはじめホテル需要が上昇を牽引してきたが、コロナでその部分が弱くなった。ただ、名古屋の場合、名古屋を基盤とする産業の先行き不透明感が影響して住・商とも弱含んでいるという独特の要素がある。

(提供:日刊不動産経済通信)

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