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特集 21年地価動向(1)・基準地価から

2021年09月24日

21年都道府県地価調査では、新型コロナウイルスの影響は住宅地に対しては軽微だった。前年よりも上昇率は落ちたものの、都心部を中心にプラスは維持された。上昇エリア周辺で地価がマイナスからプラスに転じた場所も多くみられ、住宅地は変動率プラスの範囲が拡大している。

地点数でみると、東京圏の住宅地で上昇した地点は887地点(前年782地点)に増加、横ばいも831地点(484地点)に増え、下落は748地点(1202地点)に減少した。大阪圏の住宅地の上昇地点は244地点(257地点)、横ばい434地点(346地点)、下落は424地点(512地点)。名古屋圏は上昇191地点(38地点)、横ばい189地点(148地点)、下落159地点(355地点)。大阪圏だけがまだ住宅地の上昇地点の増加は弱いが、東京は増加、名古屋は大幅増となった。

今回の都道府県地価調査で全国的にみても好調エリアとして挙げられるのが札幌市を中心とする周辺だ。札幌市は+7.4%(+6.1%)で、都道府県庁所在都市の住宅地では全国トップ。また、住宅地の変動率上位トップ10(表)をみると、1位の沖縄県の「宮古島-8」を除き、2~10位を北海道の住宅地が占めた。リゾート地の5位の倶知安を除いて、北広島市、恵庭市、石狩市、江別市は、全て札幌市の隣接市。札幌の中心で価格が上昇したことから、周辺市が割安感で住宅需要が広がった。

商業地は、全国平均が△0.5%(前年△0.3%)で下落幅が拡大した。商業地のなかでも国内外の来訪客の増加で地価が上昇していた店舗・ホテル・飲食店の集積地は、下落が目立つ。店舗等と都市中心部のオフィスを比べると、オフィスの地価は緩やかな下落または横ばいで推移している。

東京の丸の内・銀座地区で店舗系とオフィス系の地点の地価を比べると、下落の程度に差があることが分かる。オフィスに分類される「千代田5-1」(千代田区大手町1-11番外)は△1.5%(+0.4%)、同じくオフィス立地の「中央5-8」(中央区日本橋3-11番1)は△1.9%(0.0%)。一方、店舗系「中央5-14」(中央区銀座6-4番13外)は△7.2%(△3.2%)、同「中央5-15」(中央区銀座7-102番19外)は△9.0%(△5.9%)。オフィスと店舗では店舗の下落が目立つ。

オフィスは今後、テレワーク普及がどう影響するかが注目ポイント。「鑑定士から、テレワークの影響でオフィスに面積縮小の動きがあると聞いている。今回の地価動向に(テレワークの影響が)どれくらい反映しているのかは不明だが、今後動きを注視していく」(国土交通省不動産・建設経済局地価調査課)。

(提供:日刊不動産経済通信)

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