住宅ローン減税、省エネ住宅に手厚く
2021年12月08日
自民党税制調査会(宮沢洋一会長)は7日、22年度税制改正での住宅ローン減税の見直し内容を固めた。21年末で期限切れとなる同制度は、各種見直しを講じた上で、25年入居分まで4年間延長する。現行1%の控除率は、一律0.7%に引き下げる。
減税を受けられる控除期間は、現行では新築の場合原則10年、特例で13年となっているのを、原則13年に改める。借入限度額は、省エネ性能の高い住宅ほど手厚くした。
見直しの概要を表にまとめた。取得する住宅の環境性能によって控除額算定のベースとなる借入限度額に段差を付けたことが今回の見直しの最大の特徴だ。これまで、借入限度額の上限は原則4000万円で、高性能の長期優良住宅・低炭素住宅(認定住宅)の場合は優遇され5000万円だった。
22年度改正では、認定住宅の借入限度額は最高ランクの5000万円を維持。現行の原則部分を、性能が高い順に「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」「その他の住宅」の3つに分け、借入限度額に差をつけた。国土交通省によると、19年度着工の新築住宅のうち、省エネ基準適合住宅以上の住宅は81%だった。
省エネ基準を満たさない残りの19%の住宅取得者で、22年に入居する人が、借入限度額が現行の4000万円から3000万円に下がる対象になる。省エネ基準を満たさない住宅は、24年からは借入限度額が2000万円に下がる。また、24年以降に建築確認を受ける新築住宅は、省エネ基準に適合しなければ対象外になる。
所得要件は、現行の3000万円から2000万円に引き下げる。床面積要件は、23年以前に建築確認を受けた新築住宅については、合計所得1000万円以下の取得者に限って40m2に緩和する。
既存住宅流通の観点では築年数要件の緩和で対象が増加することがポイント。従来は、耐火住宅25年、非耐火住宅20年より古い住宅は、耐震基準適合証明書が必要だった。これを「昭和57年(82年)以降に建築された住宅」に緩和。国交省内からは「既存戸建てはローン減税の対象が2倍以上に増える」との声がある。
今週末決定の与党税制改正大綱に最終案は盛り込まれる。
7日の税制調査会終了後、宮沢洋一・税制調査会長は本紙の取材に応じ、「消費税の引き上げに伴い、住宅ローン減税は相当枠を広げてきた。消費税の影響はほぼなくなってきているが、コロナの影響などで経済的に好況というわけではない。来年、再来年は、今と同じような形(減税規模)だ。良質な住宅は優遇し、一般の住宅と差を広げた。住宅政策の方向性としては、良い方向の税制改正になるのではないか」と住宅業界に対してコメントした。
(提供:日刊不動産経済通信)
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