ノムコム60→ > 老後の暮らしとお金のコラム > 知らないと損をする相続・贈与対策 > 世の中、相続ブーム。対策は今でしょ!?
2013年は、「大増税時代」の幕開けの年と言えるでしょう。1月より所得税を2.1%上乗せする「復興増税」が始まり、個人住民税も2014年6月から1,000円が上乗せされます。
消費税も2014年4月から8%になることが決まりました。
併せて、相続税も2015年から改正されます。今まで相続税はかからないと安心されていた方にも課税される場合があり、今までも相続税の課税対象だった方には、さらに相続税が増えることは確実です。
主な改正は、相続税の基礎控除が下がることで、現行では「5,000万円+1,000万円×法定相続人数」ですが、改正後は、「3,000万円+600万円×法定相続人数」になります。最高税率も50%から55%に引き上げられ、6段階が8段階となります。
しかし、相続税は"申告"ですから、対処する余地はまだ、残されています。これから迎える"大増税時代"に備え、賢く節税しながら、家族が争ったり、困ることのないよう、「相続プラン」を用意することは時代のトレンドとなる必須項目となることでしょう。
世の中、「相続ブーム」。大増税時代に備えるための前兆はもう始まっています。
まさに、「相続対策、いつやるの?今でしょ?」。スタートは早いほうがいいですね。
Nさん(男性50歳代)の両親は80代で、Nさんと妹はそれぞれ結婚して同居はしていません。両親は長年二人暮らしをしてきましたが、母親が骨折したことから自宅で生活することが困難となり、介護施設に入所しました。父親はその後、なんとか自宅で独り暮らしをしていましたが、やはり、不自由で不安なことも多いため、母親と同じ施設に入ることになりました。そうなると自宅は空き家となり、今後のことを相談に来られました。
Nさんも妹も自宅を取得しており、実家に戻って住むことはないということで、両親が元気なうちに売却することを提案しました。ともに80代で、もし認知症が進み本人の意思確認ができなかった場合には、売却できないという事態にもなりかねません。自宅は両親の共有名義にしてあり、3,000万円の特別控除を二人とも適用できるメリットがあります。
そこで、Nさんは両親を説得し、自宅を売却する段取りを整えました。その後、売却代金で収益マンションを購入し、資産組み替えも実行されました。立地を分けて4ヵ所の収益マンションを購入することでNさんや妹にも分けやすくしました。
対策しなければ特例が使えず、相続税の納税を余儀なくされ、現金が減り、老朽化した自宅の維持に困るところでした。ですが、自宅を売却して新たな賃貸住宅を取得した結果、節税ができ、分けやすくなり、賃料も増え、相続が楽にできるようになりました。対策を実行した結果、相続税は、1,152万円節税できました。
Tさん(60代女性)の父親は80代後半。母親は10年ほど前に亡くなり、父親は独身の長男と二人暮らしをしていましたが、長男が先に亡くなり、いよいよ老人ホームに入所しました。他県に嫁いだTさんが、毎週、父親の様子を見に帰郷しています。
長男から父親の財産を引き継いでみて、Tさんは多額の預金があることに驚きました。父親も会社員でコツコツ貯金をしていたようですが、母親の生命保険や独身の長男の預金を相続したため、1億円以上の額になっていたのです。他に自宅などの不動産もあります。
Tさんに他に家族はいないため、相続争いはありませんが、このままでは多額の相続税がかかるため、不安になり、相談に来られました。
父親の状態を確認すると、認知症の手前、ぎりぎりのところの様子。早急に、節税対策をすることを提案しました。子供の立場で段取りをしないと父親自身では進めることができません。
時間をかけずに節税対策をするには、現金で収益不動産を購入すること。そうすることで借金をせずに確実な節税効果が得られます。
司法書士による父親の意思確認も済み、現金で収益マンション(オーナーチェンジ物件)を4つ購入することができ、財産評価を3分の1に下げることができました。この間、2ヵ月程度。ともあれ、間に合ってよかったとTさんはほっとされました。
現金がある場合はすぐに対策をとることができ、節税効果が確定しますが、問題は本人の状態次第。認知症になる前の決断が必要です。すぐにでも、というケースが多くなりそうです。
公認 不動産コンサルティングマスター、相続対策専門士。日本初の相続コーディネーターとして1 2000件以上の相続相談に対処。感情面、経済面に配慮した“オーダーメード相続”を提案し、家族の絆が深まる「夢相続」の実現をサポートしている。NHK「あさイチ」」、TBS「はなまるマーケット」、フジ「とくダネ」などに出演。新聞、雑誌の取材も多数。「相続税を減らす生前の不動産対策」(幻冬舎)など著書多数。
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