2024/07/05vol.324
野村不動産ソリューションズ実勢調査による2024.7.1時点の首都圏「住宅地価格」の動向
野村不動産ソリューションズが3か月ごとに実施している「住宅地価格調査」から、その概要を報告いたします。
本報告は、「野村の仲介+(PLUS)」各店舗の営業エリアにおいて、調査地点を選択し、通常取引を想定して実勢価格を査定したものの要約です。
調査地点は限定されたエリアから抽出したものですので、本報告書の数値は都県全体の変動率を表すものではありません。
なお、「中古マンション価格」は『マンションデータPlus』にて、推定相場価格や周辺エリアの相場情報をご覧いただけます。
首都圏の住宅地価INDEXは上昇率が拡大、東京区部・埼玉・千葉が上昇を牽引。
首都圏の変動率は+0.9%で、再び上昇率が拡大しました(前回+0.6%)。2020年第4四半期以降、16四半期連続で上昇しています。特に東京区部・埼玉・千葉での上昇が顕著で、首都圏全体の価格上昇を牽引しました。
東京区部
東京区部の変動率は+1.5%となり、上昇率が拡大しました(前回+1.0%) 。2020年第4四半期以降、16四半期連続で上昇し、高い上昇率を維持しています。調査地点の動向をみると、値上がり地点の増加により、価格上昇傾向が強まっています。都心5区では千代田区・中央区・新宿区を中心に価格高騰が続いており、港区・渋谷区では上昇地点が増加しました。都心周辺の文京区・目黒区・中野区・杉並区においても上昇地点が拡大し、都心5区の価格高騰が再び周辺区に広がりつつあります。富裕層による高価格帯物件への購入ニーズの増加等が影響しているとみられます。一方、世田谷区・大田区・台東区・江東区・葛飾区では上昇地点が減少し、練馬区では下落地点が増加しました。
東京都下
東京都下の変動率は前期まで15期連続で上昇していましたが、今回は▲0.1%となりました。調査地点の動向を見ると、値上がり地点は減少(前回9地点→今回2地点)、値下がり地点は増加(前回0地点→今回2地点)しています。前期まで上昇が続いた武蔵野市と府中市・西東京市は横ばいに転じ、八王子市・立川市では下落が見られました。一時的な調整か若しくは継続的な傾向となるか、今後、注視していく必要がありそうです。
神奈川県
神奈川県の変動率は+0.5%となりました。交通利便性が向上した横浜市港北区(日吉)で価格上昇が続いており、川崎市の武蔵小杉・武蔵中原の南武線エリアや新百合ヶ丘と横須賀市・藤沢市等の地点で上昇が見られました。一方、横浜市戸塚区(戸塚)・緑区(長津田)や川崎市多摩区(生田)等の地点では、横ばいから下落に転じ、横浜市港南区(上永谷)・旭区(二俣川)の地点においても、引き続き下落が見られました。建築費高騰の影響から価格上昇に対応できない購入検討者が増加しており、在庫は増加傾向にあります。
埼玉県
埼玉県の変動率は+1.0%となり、再び上昇率が拡大しました(前回+0.5%)。さいたま市北区(北大宮)・大宮区(大宮)で価格上昇しましたが、前期まで12四半期連続で上昇していたさいたま市南区(武蔵浦和)と、朝霞市の地点で下落に転じました。駅徒歩圏の物件については、需要が非常に高く早期に成約する物件も見られ、取引は活況を呈しています。
千葉県
千葉県の変動率は+1.5%となり、大幅に上昇率が拡大しました(前回+0.4%)。前期まで価格上昇が続いていたつくばエクスプレス沿線の柏市・流山市の地点が横ばいに転じましたが、船橋市・八千代市・浦安市で価格上昇しました。建売物件の売行きが好調です。
調査地点数:住宅地169
企画・編集:野村不動産ソリューションズ株式会社 流通事業本部 営業企画部 企画課
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