物件数ランキング1位は、名古屋市営地下鉄東山線「覚王山」で75物件、2位は鶴舞線「原」で74物件、3位は東山線「池下」で72物件と僅差で競り合った状態である。このように物件数で大きな差がつかず、変化が出にくいのは中部圏のマンション分譲が一戸建て住宅と同じロジックで供給されていたことを示している。それは住環境重視という住まい方そのものに現れる。
中部圏は首都圏や近畿圏とは異なり、投資適性で住宅を選ぶという傾向は強く出ておらず、そのため人気マンション立地は人気戸建て立地とほぼ重なって存在している。「覚王山」「池下」のほかに、桜通線「高岳」(50物件:8位)、鶴舞線「御器所」(43物件:15位)、名城線「総合リハビリセンター」(43物件:15位)なども同様の駅である。
ただし、2013年以降の価格上昇と名古屋駅の大規模再開発事業やリニア中央新幹線の開業を見込んだ開発では、従来の中部圏にはなかった住宅供給の流れ、すなわち、駅近物件や、「名古屋」「栄」至近物件への選好が生じてきている。
物件数ランキング1位は、名古屋市営地下鉄名城線の「上前津」で2,816戸のストックを有している。「上前津」はストック物件数では4位であった。ストック戸数はこの30年間で2.0倍と倍増している。駅周辺はほぼ「商業地域」の用途指定となっており、高層建築に向くエリアである上に、オフィスの集中する「栄」「久屋大通」に近接し名城線一本でアクセスできるという抜群の利便性が発揮された形となっている。
2位は名城線「茶屋ヶ坂」で2,674戸。同駅は物件数ランキングには登場していない。駅周辺を走る出来町通近辺は用途地域では「近隣商業地域」が指定されており、この周辺地域に比較的高層のマンションが供給されている。ストック戸数はこの30年間に3.8倍と大きく増加している。
ストック戸数ランキングでは1位から4位まで名古屋市営地下鉄名城線の鋭気が独占しており、中部圏、とりわけ名古屋市は特定の沿線に集中してマンションストックが積み上がっている傾向が強く出ている。
赤いドットが示しているように「覚王山」は駅に近いエリアからマンション供給が進んだことがわかる。青いドットは赤いドットの外側に広がるように供給されている。
覚王山には歴史的建造物や著名人の別宅などが多いことから、駅周辺では建築規制が強化されていてマンションストックの多くは低層で総戸数の少ない高級物件である。
マンションが供給しにくい環境にありながら、供給がコンスタントに続いていること自体、「覚王山」がいかに人気と憧れを兼ね備える住宅地であるかを示していると言えるだろう。
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