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2020.07.30

Kantei eye 【近畿圏】新築・中古マンションの市場動向

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近畿圏の新築・中古マンション坪単価、新型コロナ下でも高値安定

2020年の第2四半期新築戸数は前年同期比-53.8%の1,980戸、中古戸数は+10.4%

【新築・中古マンション坪単価の推移】
新築・中古マンション坪単価の推移(※数値一覧は次頁に掲載)を見てみると、依然として不動産デフレ後の価格大底圏にあった2005年当時は、年間を通じて新築・中古マンション価格ともに目立った変化は見られなかった。同年の第4四半期における新築マンション価格は146.4万円で、150万円を上回るのは翌年以降となる。

新築物件と「築5年以内」の中古物件との価格差は30.7万円とほぼ首都圏と同程度であり、やはりミニバブル期や直近にかけての価格高騰局面では価格差の縮小傾向が認められる。

一方、築11年を超える物件では築年数に応じた価格差が生じているが、この差は新築マンション価格が本格的に押し上がることとなる2013年以降の価格高騰局面を通じてさらに拡大していく。近畿圏でも程度の差こそあるが、新築・中古マンション価格は2008年にかけて上昇傾向で推移し、中でも「築5年以内」は新築との価格差が最も縮まっていた。

新築マンション価格は2007年の第4四半期に175.9万円を記録し、翌2008年を通じては概ね160万円台の高水準で推移していた。一方、同時期の「築5年以内」の価格水準は140万円台で、これはミニバブル期以前の新築価格と同程度に相当する。

近畿圏においても新築マンションの価格高騰や売り渋りによる供給戸数の減少が起こっていたわけだが、購入予算レンジに対してシビアな地域性であることも考慮すれば、築浅物件がこれまで以上にマンション購入ニーズの受け皿として役割を果たしていたことは想像に難くなく、結果的に築古物件よりも大幅に価格水準が上昇したものと考えられる。

ミニバブル期の価格高騰度合いは首都圏ほど強くなかったこともあり、価格調整はさほど進まなかったが、国内景気の先行きが見通せない状況であったことに変わりはなく、その後は上振れることもなく推移していった

2009年以降の新築マンション価格は一時的に160万円を下回る場面もあったが、170万円前後の水準を概ね維持し続けていた。中古マンションにおいては、躯体や設備の状態と価格面とのバランスの良さから比較的購入ニーズを集めやすかった「築10年以内」や「築20年以内」で緩やかな価格上昇が認められるものの、それ以外では2012年にかけて弱含みで推移していた様子が見て取れる。

この頃を境に築20年以内と築20年超の中古マンションでは価格水準が拡大していき、その差は2013年以降の価格高騰局面で一段と大きくなっていった。

2013年以降、新築マンション価格は上昇傾向で推移し、2015年の第3四半期には200万円の大台を突破、その後は毎年10万円程度ずつ上昇していった。2019年の第4四半期には248.7万円と、価格上昇局面前(=2012年の第4四半期)に比べて4割以上も上昇することとなる。

一方、中古マンションの推移を見ると、上昇度合いのみならず本格的な上昇にシフトした時期も異なっているわけだが、集まる購入ニーズの多寡に応じて概して築浅物件ほど上昇度合いも大きく、トレンドが上向き始めたタイミングも早かった。

直近にかけての価格高騰期(2012年の第4四半期→2019年の第4四半期)を通じて新築との価格差が縮まったのは「築5年以内」のみで、その推移は34.0万円→13.2万円となっている。

それ以外の築年帯では築年数が古いほど差が拡大する傾向にあり、築古物件に相当する「築30年以内」や「築30年超」に至っては新築との価格差は150万円以上にも及んでいた。

2020年に入ってからの価格推移に大きな変化はなく、依然として高水準を維持している。2019年の第4四半期には大手デベロッパーの戸数シェア拡大も影響して250万円目前まで迫っていた新築マンション価格は、翌2020年の第1四半期には235.7万円、第2四半期には235.1万円とやや水準を下げている。

ただし、水準自体は相変わらず高く直近の中においても大きく下振れたわけではなく、あくまで大手デベロッパーの戸数シェアが拡大する前の水準に戻ったためと見る方が妥当である。

一方、中古マンションにおいては2020年に入ってからも総じて横ばい~強含みで推移しており、"表面上の売出価格"を見る限りでは新型コロナ禍によるネガティブな影響は今のところ受けていない。

【新築供給戸数および中古流通戸数】
マンション市場における戸数の推移(※数値一覧は次頁に掲載)を見てみると、2013年の第3四半期には消費増税前の駆け込み需要の発生によって新築マンションの供給戸数は8,678戸まで急増し、マンション市場における戸数シェアも一時的に33.6%まで持ち直したが、その後は反落して5,000戸程度まで減少していた。

一方の中古流通戸数は2013年の第1四半期に19,066戸を記録して以降は一貫して減少傾向で推移することになり、2014年の第3四半期には15,000戸を割り込む結果となった。

中古流通戸数が減少傾向に転じた背景は概ね首都圏と同様で、これらは価格上昇局面で見られる特徴的な動きの一つである。2018年の第1四半期にはマンション市場の総戸数は25,588戸に達していたが、現時点においても2012年当時に記録したピークを上回るまでには至っていない。

新築マンションの供給戸数は5,000戸を割り込む場面も見られたが、街の面的な再開発を契機に居住エリアとしてのポテンシャルや認知度が高まった大阪市中心部において大規模タワーマンションの開発が継続的かつ活発に行われていることもあり、四半期ベースの戸数規模は概ね5,000戸~6,000戸の水準を維持し続けている。

一方の中古流通戸数は緩やかに増加してはいるものの、価格高騰した東京23区に比べて投資ハードルが低く収益の面でも妙味があるために投資目的で購入されるケースも増えており、マーケットでは流通戸数が過剰に滞留することもなく一定の需給バランスが保たれているようだ。

近畿圏の新築マンション市場においても10%への消費増税を前にした特需は全く起こらず、それにより総戸数自体を一時的に減少させてはいたが、基本的には2019年の1年間を通じて25,000戸をやや下回る水準で安定推移していた。

新型コロナ禍の影響を受け始める2020年の第1四半期には新築供給戸数と中古流通戸数で相反する動きを見せ、続く第2四半期には中古流通戸数も減少に転じている点は首都圏と同様である。

各戸数の前年同期比を見てみると、新築供給戸数が-53.8%と首都圏並みに急ブレーキが掛かっているのに対して、中古流通戸数は購入検討者の様子見ムードやそれによる流通物件の滞留を示唆する形で+10.4%と逆に増加している。

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提供:東京カンテイ
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