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2021.05.06

Kantei eye『眺望価値』調査

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新築マンションの「東京タワービュー」による"眺望価値"は+10%~+25%
タワーマンションの一般的な方向による平均坪単価差を大きく超える値付けが見られる

東京23区のタワーマンション(20階以上のマンション)の方向別坪単価差

東京23区に存在するタワーマンションの新築分譲時平均坪単価を主開口部ごとに見ていく。「東西南北」の4方向のいずれかを主開口部に持つタワーマンションでは、坪単価の高い方から南、東、西、北の順となっている。一番高い南と一番低い北では8.0ポイントの坪単価差がある。東と西はその中間で、南に対してそれぞれ、東が3.9ポイントと西が5.8ポイント低くなっている。

また、中間方向の「南東、南西、北東、北西」を主開口部に持つタワーマンションの新築分譲時の平均坪単価を見ると、こちらも高い方から順に、南東、南西、北東、北西の順となる。その差は、南東に比べ南西が-2.8ポイント、北東が-7.1ポイント、北西が-8.3ポイントとなっている。東京23区平均では「南向き」が高額となる傾向がはっきりと表れており、南方向に主開口部を持つ「南」、「南東」、「南西」の坪単価が高く設定されていることがわかる。

「東京タワービュー」という"眺望の価値"に対する坪単価上昇分は10~25%程度

眺望の価値がどの程度新築分譲時に"価値の差"として加えられているのか見る目的で、東京の代表的なランドマークとして「東京タワー」に注目し、その周辺に存在する11棟のタワーマンション(20階以上)をサンプルとしてランダムに抽出した。

調査対象をタワーマンションに絞った理由は、立地条件(都心への距離、最寄り駅からの所要時間など)の違いによるブレを排除しかつサンプルを数多く取ることができる利点があるからである。住戸単位で主開口部の方向別に分類し、方向ごとに新築分譲時の平均坪単価を比較・分析したところ、「東京タワー」という景観に対しておおよそ10%~25%に該当する価値が加味されていることがわかった。

東京タワーが東向きと北向き住戸の両方向から見えるマンションの例 地図⑨(港区/2010年竣工/36階建て)

高層階では東に20ポイント以上の"価値"を反映している

4階~9階の低層階では、北方向の坪単価が最も低く、最も高い南と比較して5.5~9.7ポイントの差がある。これは物件の北側と西側を走る首都高速道路の影響を受けた結果と考えられる。ただし、南と北の坪単価格差は、東京23区平均差の8.0ポイントと同程度である。19階~30階では東の価格が上がり、南と比べ20ポイント程度高く設定され、最大では23.1ポイント(25階)高く設定している。

東京23区平均では、南を100.0%とした場合、東は96.1%となり、もともと差が3.9ポイントあることから、19階~30階の階層には20ポイント以上の価値が東の方向に反映されている。31階以上の上層階では東と西の坪単価が逆転し、31階以上ではほぼ西向き住戸の坪単価が最高となっている。31階以上では、西向き住戸の中に北向きの副開口部を持つ住戸があること(=東京タワービュー)が影響している。

また、35階と36階は、全方向の坪単価差が約10ポイントの範囲に納まっている。これらのフロアでは住戸数が減り、副開口部を持つ住戸比率が増加したことで、価値の差が小さくなったことと考えられる。

東京タワーが北方向に見える例 地図⑧(品川区/2010年竣工/44階建て)

"眺望の価値"により上層階では「北」と「南」の坪単価はほぼ同じ水準に

8階までの低層階は南向き住戸のみのため、他方向との比較ができない。9階~24階にかけては、南が一番高く北が一番低くなっている。ただし、北側の坪単価比率を確認すると9階では南に対して79.8%だったのに対し24階になると90.5%となり、上層階になるにつれて差が縮まっている。東と西に関しては、9階~22階の坪単価格差に大きな変化がない。

このことから北だけ有意に価格が上がる状況となっていることがわかる。この要因は東京タワービューの「眺望」と考えられる。25階~29階、36階~43階に至っては、南とほぼ同じ坪単価か、場合によっては上回る階もある。

一方で、この物件は東京タワーから最も遠い位置にあり、行政区も品川区であることも考慮に入れる必要があると考える。このタワーマンションの持つビューの価値は、東京タワーに強くフォーカスされているというより、東京の都心を一望できる点にあると考えられる。

東京タワーとレインボーブリッジのビューが高価値になっている例 地図⑪(港区/2006年竣工/33階建て)

「東京タワー+レインボーブリッジ」で「西」に25ポイント以上の"価値"が反映

2階~11階の低層階では、南向きの坪単価が高く設定されており、北向きは最も低くなっている。その差は8~10ポイントで、東京23区全体における南と北の平均差の8.0ポイントから大きく外れてはいない。

若干の差は、北方向にある首都高速道路のジャンクションが見える影響が考えられる程度である。12階以上は東京タワービューの方向となる西の坪単価が圧倒的に高い状態になっている。20階~30階に至っては南に比べて20~25ポイント程度高く坪単価が設定されている。

この物件は西方向に、東京タワーだけでなく、レインボーブリッジを、南にはフジテレビ社屋を臨む。東京23区の平均坪単価では南を100.0%とした場合、西は94.2%で、その差は5.8ポイントであることから、それらを加味すると25~30ポイントの坪単価相当が「眺望」の価値として西向き住戸の価格に反映されていると考えられる。

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提供:東京カンテイ
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