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親子同居より「マンション近居」がウケている理由

2015年10月27日

定年をむかえた親世帯と子育てをする子世帯が助け合える「同居」「近居」が注目されています。それぞれのメリットやデメリットを、実践している人へのアンケートなどを基に、住まい選びの観点からひもときます。

近居者が同居しない理由、同居者が感じる近居のメリットとは?

次に、「近居をしている人」が、同居を選ばなかった理由を紹介しましょう。第1位は「プライバシーを保ちたいから」、第2位が「ライフスタイルが違うから」です(図4参照)。この2つが圧倒的な位置を占めます。年中顔を合わせていると、お互いに気を使いますし、生活時間や家事のやり方が違えば、親子といえども軋轢が生まれやすいということでしょう。

図4.近居している人に聞いた【同居しない理由】(ノムコム「中古マンション最新トレンド」)最近の二世帯住宅では、玄関も別々で完全に独立した2つの住戸になっているタイプもあります。しかし、どうしても生活音が漏れたり、顔を合わせる頻度が高くなり、なかなかプライバシーを保てないといわれます。近居でも、同じマンション内を希望しつつも「隣同士は避けたい階数が別にしてほしい」というケースがほとんどです。

「同居している人」に、最も気になった近居のメリットは何かを質問した項目もあります。もっとも多いのは「ほどよい距離感」です。しかし、続いて挙がった「共働きが可能」、「子育てサポート」は、近居だけのメリットではなく、同居でも得られるはずです。なぜ、このような回答が出るのでしょうか。

断言はできないものの、親子世帯が同居することによって、ある種の行政サービスが受けられなくなるという理由が考えられます。

たとえば、待機児童が問題になっている保育園は、家庭内に児童の面倒をみられる親族がいる場合には入園できないケースが多いようです。"祖父母力"を活かせるからでしょう。ただ、祖父母の中には、ときおり孫の面倒を見るのはいいが、四六時中となると精神的・肉体的に疲労感が溜まるという反応も少なくありません。

また、介護認定にも同居の有無が影響します。こうしたケースでは「同居」という形態を取らず、「近居」にしたほうが良いという判断も出てくるかもしれません。

未来を明るくするダウンサイジングの買いかえと「近居」をセット

住まい方を選ぶ際には、上記のようなシビアな現実も考慮しておく必要があるでしょう。その一方で、「近居」にはさまざまな可能性もあります。最近徐々に増えているモデル的なケースを紹介しておきましょう。

●一戸建てを30年前に購入したAさんご夫婦(夫65歳・妻62歳)の例

・自宅:2階建ての4LDK。子どもが独立した後は、2階にはほとんど上がらず、庭の手入れもおっくうになってきた。買い物などは、坂を下りて駅前まで行かなければならない。

・都心の近くにタワーマンションを購入した長男夫婦の家に何度か遊びに行くうち、「マンションのほうが楽で暮らしやすい。お店も病院も近くて便利」と感じるように。長男からは「一緒に住んでもいい」といわれたが、「息子たちには迷惑をかけたくない」と近居を選択。

 買いかえの資金計画

・自宅の売却代金:およそ8,000万円(ローン残債なし)

・購入物件:長男が住むタワーマンションの1階下の2LDK、5,000万円。

・4LDKの一戸建てから2LDKのマンションへ「ダウンサイジング

・購入資金:売却益からキャッシュで支払い。手元に3,000万円の余裕資金が残る。

ポイントは、ダウンサイジングの買い替えと、キャッシュをある程度残せたことでした。残った3,000万円の一部を「孫の教育資金贈与」に使い、趣味の海外旅行も心おきなく楽しめるようになったとのことです。退職金は、いざというときの老後資金としてまるまる温存できています。

「長い人生の第二ステージを謳歌できる」とAさんは満足し、長男も「これで親に対する不安や気がかりがなくなった」と安堵していました。「いずれ相続するにしても、郊外の一戸建てより、都心のマンションのほうが資産価値も高いし、貸すことも考えられる。いろんな選択肢がある」と将来のプランも練っています。

このように「ダウンサイジングの買いかえ」と「近居」を組み合わせることによって、さまざまな人生の懸案をクリアすることが可能になります。これが「近居」の真のポテンシャルといえるかもしれません。

編集協力:AllAbout

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