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ここ数十年で激減している「同居」。「別居」しても「より近くへ」

子どもが独立したあとの親子の住まい方は、どう変わってきたのでしょうか。図1は、そのような親の世代である65歳以上の家族形態の変化を表しています。

1980年代には断トツに多数派だった「子夫婦と同居」の割合が、この30年ほどでおよそ4分の1となりました。代わってほかの形態がじりじりと増え、なかでも「夫婦のみの世帯」が全体の4割近くにのぼります。「子夫婦と同居」は「単独世帯」よりも少なく、子供が配偶者を持った場合、親子は「別居」するのが、現在の家族形態の中心になっていることが分かります。

1980年以前は、このグラフの数字よりずっと多くの世帯が「同居」していたでしょう。といっても、現在のような親世帯と子どものうち誰か1人の世帯と一緒に住む「二世帯同居」というよりも、複数の世帯が同居する「大家族」だったのではないでしょうか。そのような大家族も、1960～70年代の高度経済成長期に核家族化が進み、徐々に同居が減って行きました。このころの別居は、親子の距離が地方と都会に分かれる「遠居」が多かったでしょう。

1980年代に入ると、地方から都会に出て来て結婚した団塊世代が「職場に近いアパート→近郊のマンション→一戸建て」といった"マイホームすごろく"の上がりを迎えました。そして現在、その子どもたちの"団塊ジュニア"が独立、結婚して住まいを構え始めています。

その際に、親元の一戸建てに「同居」するか、親とは離れて「別居」するかを選択することになります。1980年代の別居とは違い、地方と都会ほど遠くはない「近居」となります。その「近居」も、細かく見てみると、徐々にその「近さ」に違いが出ているようです。

親子の住まい方に関する調査データをご覧ください（図2）。ここでは仮に「1時間以内で行き来できる範囲」を「近居」、それ以上を「遠居」としてみます。
「現在の住居」（グラフ左）でもっとも多いのは、27％を占める「車・電車で1時間以上」の「遠居」です。次いで「近居」の19％、そして「同居」が15％となっています。

対して、将来の希望を聞いた「将来の住居」（グラフ右）では「近居」が3割近くに上り、将来の住居として「遠居」を希望する人はかなり少ないという結果が出ています。さらに「近居」の中でも、「徒歩10分以内」の回答は、「現在」では3％であるのに対し、「将来」では8％と増加分が最も多くなっています。「なるべく近いところに住みたい」という意向が読み取れるのではないでしょうか。

同居より近居の満足度が大幅に高い

「遠居」の希望が少ない理由は明らかでしょう。子の側から見ると「離れて住んでいる親が気がかり」という心配や「子育てのサポートが欲しい」という切実な悩みが大きく、親側からは「孫の成長を身近なところで見守りたい」という気持ちがあるからでしょう。これらの要望は「同居」でも「近居」でもかなえられるはずですが、なぜ近居希望者のほうが多いのでしょうか。

実際に同居や近居をしている人たちを対象に調査した野村不動産アーバンネットの「同居・近居調査」を基に考えてみましょう。まずは図3をご覧ください。

これは、実際に近居または同居している世帯に、これから希望する居住形態を訪ねたものです。このなかで「今のままがいい」という答えは、それぞれの現状に満足しているといえます。つまり、近居に満足している人は84％、同居に満足しているのはおよそ68％で、近居の満足度のほうが大幅に高いのです。

また、「同居している人」のうち、「近居がしたい」、「どちらかというと近居がしたい」を合わせるとおよそ17％になり、同居している人の6人に1人は「近居」に惹かれていることがわかります。その一方で「近居している人」のうち「同居したい」という人はゼロ、「どちらかといえば同居がしたい」も、わずか5％そこそこです。

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