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中古マンション最新トレンド
中古マンション流通、歴史は50年。どう変わった?
2014年1月24日
ネットの登場で不動産流通業が激変、物件の選び方・買い方にも変化
この半世紀の間に起きた最大のエポックといえば、インターネットの登場でしょう。ITの活用によって不動産流通業はガラリと変わりました。
前述した「レインズ」は業者間の情報ネットワークですが、インターネットは広く一般に開かれたネットワークです。これによってユーザーは、不動産会社に足を運ばなくても、自分で物件情報にアクセスできるようになったのです。その結果、ネットでじっくり比較検討して絞り込んでから、リアルな物件を見て選ぶというスタイルが定着しました。
インターネットのウェブサイトが充実してくるのは、ブロードバンド化が進み、豊富なビジュアル情報が載せられるようになった90年代後半以降からです。たとえば、1999年に野村不動産が開設した「ノムコム」があります。不動産会社の自社ホームページに物件情報を掲載した例は既にありましたが、会社のホームページとは別に独立して立ち上げた不動産専門の物件情報サイトとしては、先駆けといえるのではないでしょうか。
その中でも特に注目されたのが「室内パノラマ画像」です。中古マンションなどの室内の映像を360度移動しながら動画のように見られる機能で、いわば"バーチャル・オープンハウス"ともいえます。新築マンションのようにモデルルームのない中古マンションでも、ひとつひとつの物件の部屋の中まで詳細にチェックできるものとして画期的なサービスといえるでしょう。
その後も、ITの進化につれて様々な付加価値サービスが登場します。手前味噌ではありますが、ノムコムを中心にその変遷をたどったのが図2です。地図に加えて、周辺の生活利便施設のポイントや航空写真を配信するサービスでは、現地に行かなくても物件周辺の状況・環境を確認できます。対象物件から、最寄り駅や学校などへの距離測定、土地の高低差まで表示する「勾配グラフ」のサービスなども、ユーザーにとって役立つ情報を得られ有効な機能です。
その他、投資用不動産の専門サイト、女性向け住みかえサイトなど、物件種別や目的、ライフスタイルに応じて物件を選べるサイトも好評です。携帯電話やスマートフォン向けのサイトも登場し、ユーザーの利便性を高めるITを活用した物件情報サイトは、2010年頃まで大きく進化を見せてきました。
バーチャルからリアルへ原点回帰、安心安全な取引に近づく
ネットの世界で続いてきた変化のスピードが落ち着いてきた半面で、ここ数年は、不動産流通の原点回帰ともいえる現象が起きています。リアルな部分で、ユーザーの不安を払拭するサービスの提供です。
たとえば2012年秋頃から業界各社が取り組み始めた「検査保証サービス」があります。これは、建物または設備機器の「検査」をして、物件の引渡し後1年以内に故障や不具合が発生した場合に、保証会社または不動産会社が修理費用を「保証」をするというものです。
中古住宅の場合、「物件の良し悪しがわからない」「物件見学などの際には気づかなかった問題が後から起きたらどうなるのか」といった不安を持つ人が少なくありません。このような不安を払拭して納得した上で購入したいというニーズに応えるサービスといえます。
こうした「安心安全」を求めるニーズは、1995年の阪神淡路大震災、2005年の構造設計偽装問題、2011年の東日本大震災など、一連の自然災害や事件などを通じて高まってきました。これに対して国も、住宅政策の基本を新築供給偏重から中古ストック重視へ転換し、中古住宅流通を活性化するために、住宅性能表示制度、住宅瑕疵担保責任保険、中古住宅売買瑕疵保険などの制度を次々に整備してきました。ただ、制度の中身はよくても、手続きやコストなどが原因で必ずしも活用されていない面もあります。
そこで不動産会社自身が率先して、安心安全な不動産取引を促進するための民間サービスを拡充する動きが出てきたといえるでしょう。今後も、付加価値サービスが続々と登場してくるはずです。
また、建物の品質性能という物理的な面に加えて、トラブルなく売買手続きを進めたいという「取引の安全性」も求められています。それは、知識やノウハウを持った信頼できるプロの不動産会社をパートナーにしたいという意識につながってきます。
こうしたニーズに応えるには、宅建業法などの法規制をクリアすることに留まらず、ユーザーの高い期待を先取りするサービスを提供していかなければなりません。実務に携わる営業担当者の資質もますます向上させていく必要があるでしょう。
不動産流通業の半世紀を駆け足でたどってきましたが、求められる本質は今も昔も変わりません。ユーザーと共に安心安全な取引を進めるための信頼感です。少しでもそのゴールに近づいていると信じたいと思います。
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