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これまでとこれからを考える、60代の住まい選び

2014年3月27日

住宅購入者の主流は30~40代ですが、60代以降の高齢者も住みかえに積極的な人が増えています。「シルバー」という枠にとらわれないマンションや一戸建てなどへの多彩な住みかえ事情や最近の傾向を紹介します。

60~70代でも、住まいの不満を解消・改善するための 積極的購入層が増加

住宅購入者の年齢層を分析すると、初めて住まいを購入するのは30代がもっとも多く、年代が上がるに従ってその数は減っていきます。20代で親元から独立・結婚して賃貸住宅に住み、子どもが小さい30代にマンションを購入。そして、子どもが成長して高校・大学に行く頃、だいたい40~50代で一戸建てに買いかえ、60代以降では住みかえる人が少なくなるというのが一つの流れでした。

ところが、ここ数年、住宅購入者の年齢層に異変が起きているのです。
図1をご覧ください。これは、2011年から2013年まで、各1年間のマンション購入者を年代別に分け、それぞれの割合を示したものです。30代がもっとも多い点は2011年から変わりません。しかし、徐々に40代までの購入者比率が減っていき、それ以降の年代での購入者比率が伸びています。
これはマンション購入者のデータですが、一戸建てでも、同じような傾向を示しています。

高齢化が進むにつれて60歳代以上の住宅購入者が増えるのは当然だ、と思うかもしれません。老後に介護が必要になった時にそなえて"終の棲家"に住みかえる人が増えるとも考えられるでしょう。しかし、60歳代以降の購入者の動機を調べると、狭い・古いなどの「家への不満」を挙げる人の割合が最も多くなっています。(図2参照)。
「高齢化に備える」といった消極的な姿勢より、「住まいを改善したい」という前向きな気持ちが強いわけです。

投資用、事業用、リゾート、田舎暮らし...60代以上の選択肢は多様

賃貸に始まりライフステージごとに住みかえる、いわゆる"住宅双六"のアガリが4LDKの一戸建てだとすると、「家が狭い」という不満があるとは考えにくいでしょう。実際、不満の内容を詳しく聞いてみると、さまざまな動機が聞こえてくるのです。

たとえば「定年で時間ができたので書斎趣味の部屋が欲しい」「一戸建てで部屋数はあっても、各部屋が細かく区切られていたから、これからは広いリビングルームでゆったりと過ごしたい」といった声です。これは、「住まいに対する不満を我慢しない」という傾向が増えているといえるのではないでしょうか。

また、60代以降の購入者では、投資用事業用のニーズも高くなっています。現在、全般的に投資物件の動きは活発ですが、年代が高いほど決断が早いように感じられます。購入対象の物件も、1,000万円以下のワンルームマンションから1億円以上1棟マンションまで幅広く、6,000万~8,000万円の新築アパートを購入しているのも60代がもっとも多い印象です。

事業用というのは、新しく本格的な事業を始めるというより、趣味が高じて「教室」を持つ、昔から夢だった喫茶店を開く、といった感覚です。自宅に併設するというケースも珍しくありません。また、思い切ってリゾート地に住みかえる、田舎暮らしを始める、などのニーズもいまだ根強いものがあります。

30~40代までの住宅購入は「家族(子供)のための暮らし」を第一に考えるのが一般的ですが、60代以降になると「自分の楽しみ」を優先して検討できるようになるため、選択の幅が広がるといえるでしょう。

編集協力:AllAbout

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