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中古マンション最新トレンド
2015年公示地価を解説 都心部はマンションが牽引
2015年4月28日
中古マンション価格が牽引する都心の地価
今後の地価動向を予測するには、これまでの不動産市場の常識とは異なる新しい視点が必要になってくるかもしれません。というのも、地価公示に添付されている「地価公示価格形成要因等の分析」という分厚いレポートの内容や、四半期ごとに発表される主要都市の高度利用地区の地価動向を調査する「地価LOOKレポート」などを見ていると、地価の動きに関するある変化に気づくからです。
たとえば、2014年第4四半期(10―12月期)の地価LOOKレポートでは、千代田区番町の住宅地に関して「当地区においては当期、マンション開発素地の取引は確認できなかった」という鑑定評価委員のコメントが記載されています。本来の地価調査では、土地取引の事例をベースに評価するのが基本ですが、参照する取引事例がなかったということです。
では何を基に評価しているかというと、新築マンションや中古マンションの価格を参照しているのです。マンションの建物価格は基本的に上昇しないため、マンション価格が上昇しているのは地価の上昇を反映している、というわけです。
千代田区の商業地(丸ノ内・大手町)でも「当地区及び周辺地区における土地取引は多くはないため、地区内の取引事例による地価動向の把握は困難な地区である」と指摘されています。取引事例比較法を基にした従来の鑑定評価が通用しにくくなっている様子が伺えます。
今回の地価公示でも、都心3区の住宅地と商業地は大きく上昇しているデータを示していますが、この結果も、土地の取引事例ベースの数値というより、マンション取引から類推した"予想値"あるいは"気配値"に近いといえるかもしれません。
東京カンテイが発表している「マンション化率」(世帯数に占めるマンションのストック戸数の割合)は、全国平均は約11%程度ですが、都心3区では70~80%に達します。住宅取引のほとんどがマンションということです。つまり、マンション価格の動きが実質的に地価変動の指標になっているのではないでしょうか。
さらにいえば、都心部では新築マンションの供給が少ないため、中古マンションの取引が中心になっています。その価格は今や坪あたり700万円を超え「1,000万円時代に突入する」とさえいわれている状況です。「いつか来た道ではないか」「ミニバブルの再来か」という危惧も指摘されています。
その一方で、都心部におけるマンション取引は、外国人投資家や相続対策目的の富裕層が支えている面が強く、従来の国内実需層をベースにした「適正価格」という感覚が通用しなくなっているのも事実です。こうした、従来になかったプレイヤーが今の日本の不動産マーケットを牽引しているという言い方もできます。その意味では、少なくとも東京五輪が来るまでの4~5年間、都心部における地価を引き上げ続ける可能性もあるかもしれません。
郊外でも「上昇」と「下落」のラインが鮮明に
地価動向を取り巻く変化が及んでいるのは、都心部だけではありません。郊外エリアでも土地の取引事例が収集できない事態が起きているのです。地価公示では、大都市圏の地価が上昇し地方圏や郊外は下落しているというデータが出ていますが、実際の取引状況を正確に反映しているかどうかはわかりません。不動産仲介現場の感覚からすると、実際に取引が成立している事例では、地価公示の下落率よりも大きく下がっているのではないかという疑問もあるからです。
現在の首都圏の不動産マーケットは「都心部/ミドル地域/郊外」の3つのグループで見ていかないといけないと、以前から指摘してきました。この場合の「郊外」は、中古マンションや一戸建ての取引がまだ成立している範囲を指しています。実は、さらにその外側に、取引が停滞しているエリアも存在していることが明らかになりつつあります。
今回の公示地価調査の東京圏・住宅地の変動率マップを見ると、そのあたりのニュアンスが浮き彫りになっています。明らかに「上昇」の地域と「下落」の地域の間に明確なラインが引かれてしまっていることがわかるでしょう。
今後、この関係性がどうなっていくのか、また、取引のない土地の評価をどう表現して行くのか。地価公示制度自体の中味も、変化にさらされつつあるといえるかもしれません。
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